本領発揮

くそっ、やつの右手にはめてるグローブ...力自体をすべて遮断させるみたいだな...時間稼ぐにも稼げないな
『おいおい、逃げてばかりじゃなくて...俺に攻撃してこいよ！』
『ぐはっ...て。てめぇ！』
剣を振り回すが、全然刃がついじてない
むしろ、攻撃自体を全て読まれて無効化される
パターンや、行動すべてにおいて...研究済みって事か...最悪だな...
『へっ...じゃあこれならどうだ』
VRのヘットギアを外して地面に置く湖斗
仮想化が溶けてもと通りの服装に戻る
『あ？なんの真似だ？まさか命乞いじゃねぇよな？』
無言で上着を抜き下ろすと、床に亀裂が生まれて鈍い音を出した
『やっぱーー』
研究者の視界から一瞬で消えて背後に回って何かを背中にぶち当てた
何かが弾けるような音が響きわたる
『こっちがしっくりくるなぁ！』
粉々に砕け散った研究者の死体を見向きもせず、あの装置の場所へ行きドアをこじ開けたーー
『おい、そこにいるのは分かってるが...今の俺じゃ見えねぇ。今のうちに身体に馴染ませとけーー』
次々に試験管が、破裂し始めて中からこの世界にはいない魔獣がどんどん出てくる
『妙な小細工してたみたいだし、真面目に俺の余力も限界に近いな...こんな知らねぇ獣たちに囲まれて死ぬくらいならーー』
魔獣の群れに向かって走り出す
『せめて楽しませてくれよなぁ！』
魔獣群れを次々に切り裂いたり破滅させたりしてどんどん進んでいくーー
だが、それでもまだ足りない方だ...一人では限界がある


時間稼いでもらってるけど...どうやって入ればいいの...？って思ってたけど...なんかふれると吸い込まれーー！！？
『くぞがァ...くたばりやがれ！』
返り血を浴びながら、数しれずの魔獣を相手にどんどん気力すら薄れてくる
そして、魔獣からの攻撃を受けつつもなお反撃をする
数十分フルで戦いそして能力を使いまくり意識も危うくなるそんな状態だ
ふらつきながら、敵を倒して倒してそして...不意を突かれて壁まで飛ばされてしまう
もはや立てる力や気力すら残ってない
一歩づつ魔獣が近づき鋭い爪を振り落とそうとする素振りをして来たーー
数か多すぎたな...まさかよくわからねぇ生物に囲まれて死ぬのかぁ...笑えねぇ冗談だな...
『凍て尽きなさいーー！』
『ガルルっ！？』
魔獣の足元から徐々に凍りつき始める
身動き取れないまま凍りついてしまった
ほかの魔獣たちは、残骸の物が突き刺さっさてたり壁に強く打ち付けられて死んでいる物まで計り知れない位の数がそこらじゅうに転がっていた
『生きてる？』 
『ったく...遅かったじゃないか…』
『体を馴染ませるのに手間がかかったの...君の力には驚かされるよ』
『隠すつもりは...なかったが...』
湖斗の肩を引っ張り寄せて歩こうとしたが...自分の身長の低さに膝打ちして倒れ込んだーー
『馬鹿だろ...まぁ、普通なら...逆だが...』
『うっ、うるさいわ！高いのはそんなに偉いのか？』
『はいはい...背もだけど...胸も大きくなってからもう一回同じ事を...いでででで！！？』
少女は湖斗の傷口を突っついていた
『おちびて足りてない部分で悪かったわね...』
『あぎゃぁぁぁぁぁ！！その凍てつく指で何度も...ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！』
後々思いだしたけど、名前氷結って書かれていた
下か上の名前かは定かじゃないけど..
『むふんー！どうだ参ったか？』
『......！(言葉に表せない痛み)』
すると何処から衝撃音が鳴り響くーー
壁に寄りかかっていた湖斗は、上を見上げて呟いた
『なんか...地上で起きてる...な』
地響きが鳴り響く地下ーー


地上では、ある魔獣が姿を現していた
二足歩行で左右に大きな剣を二本持ちながらゆっくりと歩みを始めるーー
『私の最終兵器、スピリッツ・エックス・デス・サイズ...まさかこれ程の威圧感の存在感を放つなんて。』
『遂に目覚めたんでぇすかぁ？』
『アルツィブか...気かがりだったが貴様の力は一体？』
『始祖十家ってご存知ですぅか？』
『始祖十家？』
『名前に全て意味があるぅ、一ノ宮、北上、水月、四洞院、五橋、六城、七ノ儚、八王子、空城、五十光...そして、始祖が零乃名前が下に行くほど強いと言われてるんですぅ』
『...で、何が言いたい？』
『無情っていうんでしょうかぁ？』
『はぁ？意味わかんーー！？』
アルツィブは、笑いながら有紗の腹を手で突き刺して抜いた
『苦痛顔ですねぇ？』
『裏切ったな...アルツィブ！』
『裏切ってなんていませぇんよ？ただ貴方の血が欲しくてぇ...我慢出来なくなりぃましたぁ』
『なんだと...？血が欲しいために...私を殺す...その為に近づいたのか...？』
耳を手に当てて嘲笑うかのようにこちらを見つめている
『んん？気づくのが遅すぎですぅねぇ？』
『始祖...の話...そして、私を...殺す為に...か？』
『僕は元々零乃家出身てますぅね...違いますよ、貴方血を舐めたいだけぇんん、久々の血はうまい...』
『変態に...殺されるなんて...な』
ビルからしたに落下した有紗、その後継を楽しそうに眺めながらエックスデスサイズを見つめるーー
『主をなくした魔獣ですぅかぁ？それとここがぁ異世界ですかぁ...あんまり変わりがありませぇんねぇ』
手についた血を舐めながら、辺りを見渡すアルツィブーー
そして、つまらなそうな眼差しで呟く
『つまんなぃなぁ、血の焦がした匂いしかしなぁい...僕かえっるかぁな？』
月明かりが照らす...ゾンビと巨大魔獣だけを残し消え去ったアルツィブーー