魔法の世界で、砲が轟く
第八十三話 クロノス
その後、ジーマン軍は主力の第一独立師団を失った上、それを撃破する際に大きな痛手を被ったことから撤退を始めた。
これに追い打ちを掛けるように魔王軍は総攻撃を開始。
これを打ち払う力はジーマン軍には残されておらず、そのまま攻撃部隊は殲滅されてしまう。これで完全に継戦能力を失ったジーマンは魔国に無条件降伏を申し出て、ついにジーマンは滅びる。
魔法と科学の両方の技術を獲得した魔国に敵うはずもなく、その後すぐにコットン国は魔国に降伏。
ついに大陸を制したのは魔国となったのである。
この時の勝利に大きく貢献したのは先の戦闘で降伏した第一独立師団の残兵と勇者、そしてスーザン等であった。
勇者達が魔王と取引した内容は大陸の統一。その代わりとして勇者達を元の世界へ返すこと。
この内容は無事達成されたことにより彼らは国の英雄として歴史に名を刻まれ、惜しまれながらも元の日本へと帰還することとなる。
これを行うには魔国に伝わる秘伝の魔法があり、これを使うことによって帰還が出来た。
また、第一独立師団の残兵は帰ることもできた。しかし、彼らは移管することを選ばず、静かな余生を送り、この魔国に骨を埋めたという。
しかし、彼らの名の中には秋山真一、近藤譲、加藤幸一、伊藤守そして司馬懿の名前は存在しなかった。
また、この魔国の勝利を決定づけた要塞での戦闘を森の名前をとって魔国ではこう名付けられた。
「コマの戦い」
ここには古戦場後として今でもその時の戦闘で破壊された戦車や装甲車、要塞がそのままの位置で置かれており歴史好きな人間の人気なスポットになっている。
その地に今、一人の初老の男が訪れている。魔国を大陸の覇者にまでした人物、魔王クロノスである。
「ここはいつまで経っても様相を変えないな」
衰えを全く感じさせない声で言う。
彼は既に魔王を引退し、次の魔王への引き継ぎを済ませているため、厳密にはもう魔王ではない。
しかし、その能力の高さから二つ名のような形で魔王とされているのだ。
「ええ。そうですね」
横にいたスーザンが言った。
彼は相変わらず、変わっていないが流石に魔王の前と言うこともあって普段のオカマっぷりは出していない。
「ここで儂は初めてお前に会ったのじゃな」
「ええ。それで唐突に魔王様と会わせてくれなんて言うから驚きましたよ。しかも本当に魔王様が来るんですもん」
「何、自分のことは自分がよく知っているんじゃよ」
そう言ってカラカラと笑う。
「何せかつて自分がやった行動に会わせて動けば良いだけですからね。とは言ってもそれを実行するには大変な努力が必要でしたけど」
「儂もまさか努力だけで魔王になるとは思ってもみなかったからの」
「もしかしたら仲達ちゃんはそこまで予期して動いていたのかもしれませんね」
「本当に司馬懿には世話になった」
二人は話しながら、ある場所を目指していく。それは一般の観光客が行くような主立った場所ではなく、さらに森の深いところにある場所だ。
「お、あったあった」
そう言いながら、クロノスは一台の破棄された戦車に近づいていった。
その近くに小さな石碑が建てられていた。
「ちょうどここじゃよ。司馬懿が倒れていたのは」
神妙な顔つきでクロノスは言った。
「花を……」
クロノスはスーザンに言った。
スーザンは手に持っていた一輪の花を手渡す。
その花を石碑へと置き、二人は合掌をした。
「静かに眠れ、司馬懿」
そう言ってから真一は再び立ち上がった。
「さて、行くか」
「ええ」
二人はその場を後にした。そこには小さな石碑と一輪の花だけが残されている。
その石碑にはこう書かれていた。
ここに司馬懿、加藤幸一、伊藤守の三名、そして名も無き戦士達が眠る
秋山・クロノス・真一
これに追い打ちを掛けるように魔王軍は総攻撃を開始。
これを打ち払う力はジーマン軍には残されておらず、そのまま攻撃部隊は殲滅されてしまう。これで完全に継戦能力を失ったジーマンは魔国に無条件降伏を申し出て、ついにジーマンは滅びる。
魔法と科学の両方の技術を獲得した魔国に敵うはずもなく、その後すぐにコットン国は魔国に降伏。
ついに大陸を制したのは魔国となったのである。
この時の勝利に大きく貢献したのは先の戦闘で降伏した第一独立師団の残兵と勇者、そしてスーザン等であった。
勇者達が魔王と取引した内容は大陸の統一。その代わりとして勇者達を元の世界へ返すこと。
この内容は無事達成されたことにより彼らは国の英雄として歴史に名を刻まれ、惜しまれながらも元の日本へと帰還することとなる。
これを行うには魔国に伝わる秘伝の魔法があり、これを使うことによって帰還が出来た。
また、第一独立師団の残兵は帰ることもできた。しかし、彼らは移管することを選ばず、静かな余生を送り、この魔国に骨を埋めたという。
しかし、彼らの名の中には秋山真一、近藤譲、加藤幸一、伊藤守そして司馬懿の名前は存在しなかった。
また、この魔国の勝利を決定づけた要塞での戦闘を森の名前をとって魔国ではこう名付けられた。
「コマの戦い」
ここには古戦場後として今でもその時の戦闘で破壊された戦車や装甲車、要塞がそのままの位置で置かれており歴史好きな人間の人気なスポットになっている。
その地に今、一人の初老の男が訪れている。魔国を大陸の覇者にまでした人物、魔王クロノスである。
「ここはいつまで経っても様相を変えないな」
衰えを全く感じさせない声で言う。
彼は既に魔王を引退し、次の魔王への引き継ぎを済ませているため、厳密にはもう魔王ではない。
しかし、その能力の高さから二つ名のような形で魔王とされているのだ。
「ええ。そうですね」
横にいたスーザンが言った。
彼は相変わらず、変わっていないが流石に魔王の前と言うこともあって普段のオカマっぷりは出していない。
「ここで儂は初めてお前に会ったのじゃな」
「ええ。それで唐突に魔王様と会わせてくれなんて言うから驚きましたよ。しかも本当に魔王様が来るんですもん」
「何、自分のことは自分がよく知っているんじゃよ」
そう言ってカラカラと笑う。
「何せかつて自分がやった行動に会わせて動けば良いだけですからね。とは言ってもそれを実行するには大変な努力が必要でしたけど」
「儂もまさか努力だけで魔王になるとは思ってもみなかったからの」
「もしかしたら仲達ちゃんはそこまで予期して動いていたのかもしれませんね」
「本当に司馬懿には世話になった」
二人は話しながら、ある場所を目指していく。それは一般の観光客が行くような主立った場所ではなく、さらに森の深いところにある場所だ。
「お、あったあった」
そう言いながら、クロノスは一台の破棄された戦車に近づいていった。
その近くに小さな石碑が建てられていた。
「ちょうどここじゃよ。司馬懿が倒れていたのは」
神妙な顔つきでクロノスは言った。
「花を……」
クロノスはスーザンに言った。
スーザンは手に持っていた一輪の花を手渡す。
その花を石碑へと置き、二人は合掌をした。
「静かに眠れ、司馬懿」
そう言ってから真一は再び立ち上がった。
「さて、行くか」
「ええ」
二人はその場を後にした。そこには小さな石碑と一輪の花だけが残されている。
その石碑にはこう書かれていた。
ここに司馬懿、加藤幸一、伊藤守の三名、そして名も無き戦士達が眠る
秋山・クロノス・真一
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