魔法の世界で、砲が轟く
第四十九話 航空機の始まりの物語
新庄は真一達から招集を受け、ベラリンへ到着した。
新庄はコノミやキム爺の存在を真一に知らせており、今後のことを彼らと直接話し合う予定である。
「へ~、魔法がない人間はこうやって生活を営んでいるんだね」
コノミは興味深そうにベラリンの町を見渡した。彼女らは魔法があるのが普通の空間で生活していたためにこういった町を見たことが無いのであろう。
「我が主と面会するのは1200頃の予定だ。それまでは自由にしていて良いぞ」
「新庄のおじちゃんはどうすんの?」
「俺は他にやることがあるからついて行けん」
「何やるの?」
興味津々にコノミが聞いてくる。
「見に来るか?」
「うん!」
「おい、シム爺はどうする?」
「わしもこれと言ってやることはないし、お前らについて行くことにするよ」
そう言って三人はベラリン郊外の第一独立師団基地に向け歩き出した。
「ここは……」
コノミが声を落として尋ねた。
そこは多くの白い石が立っており、その石には名前が刻まれている。
「ここ我が同胞が眠る場所だ」
言葉少なげに語る新庄にそれ以上コノミが声を掛けることはなかった。
新庄がやろうと考えていたのは墓参りだ。
今までの葬式は新庄はコットン国にいた関係で参加できず、ベラリンに戻ってきて最初にやろうと決めていたことであった。
その墓の中でも端の方の木陰にひっそりと佇む墓があった。そこには一輪の花が添えられている。
「……」
黙ってそこまで行き、新庄は持ってきた手桶の水で墓を清める。
ぱしゃっ ぱしゃっ
水を掛ける音だけがそこに響いていた。
「誰のものなの?」
「我が主の尊き友人であった近藤 譲殿のものだ」
コノミの質問に新庄は静かに答える。
水で清めた後、持ってきた花を別の花入れに刺し手を黙って合わせる。
(譲殿、遅ればせながらただいま帰還いたしました。お守りすることができず、申し訳ございません。今後は全力で真一殿達をお支えしていきます。どうか安らかに)
祈りを終え、新庄はコノミ達を引き連れ集団墓地を出た。
再び町に戻った新庄達は、待ち合わせ場所である陸軍省の建物に向かった。
現在、真一達が率いる第一独立師団は陸軍と同時に運用されることや作戦の連携の関係上近くにいた方が良いと言うことで、陸軍省の中に司令部がある形となっている。
陸軍省の建物に着いた三人は身体検査や身分証の確認を終え、中へと入る。
中は大きな広間が一つあり、天井や周囲の壁には絵画が飾られている。その広間にある柱に司馬懿が立っていた。
「これは司馬懿殿、どうも」
「これは新庄大佐。お元気そうで何よりです」
簡単な挨拶をしたところで新庄は二人を司馬懿に紹介した。
「こちらの少女はコノミ、そしてこちらの方はシム爺です」
「これはようこそおいでくださいました。私は司馬懿と申します。どうぞ宜しくお願いいたします」
「宜しく!」
「宜しくお願いします」
司馬懿は少しの間二人を見つめた後、二人を真一の部屋に案内した。
「こちらになります」
一階の廊下にある一室に真一の執務室はある。
「司馬懿、入ります」
「どうぞ」
案内された部屋を開けると部屋の奥に設置された机で真一が執務をこなしていた。
入ってきたのが新庄が連れてきた二人だと気付いて、真一は執務を辞めて立ち上がる。
「ようこそお越しくださいました。どうぞおかけください」
そう言って三人を部屋のソファーに案内した。
「本日は遠路はるばるありがとうございます。私はジーマン国独立第一師団師団長の秋山真一と申します。宜しくお願いします」
「わたしはコノミって言います!宜しく!」
「わしはシム爺という。宜しく」
「さて、今回は我が軍に協力をお願いしたいわけですが、あなた方からはコノミ殿に対する治療でよろしいですか?」
「ええ、構いません」
「分かりました。ではこの国一の腕を持つ医師に任せますので、どうぞご安心ください」
「かたじけない」
そう言ってシム爺は頭を下げた。その顔はようやく緊張から解放されたような顔をしている。
「それでは司馬懿、コノミさんを病院へ」
「はい。分かりました。ではコノミさんこちらへいらっしゃい」
「え、でもシム爺が……」
「わしはもう少し話さなければならないことがある。先に行って待っておれ」
「うん」
そう言って司馬懿達は出て行った。
「さて、いきなりだが、本題に入っていきます。シム爺殿、貴殿は我が軍に協力をしていただけるとのことでしたが、あなたには航空機の研究を行っていただきたい」
真一はいきなり本題へと切り出した。
「分かっております」
「あなたが所持している航空機については既に我が軍の方で極秘裏に回収を行いました」
「ほう、手回しが早いですな」
皮肉交じりにシム爺が言う。
真一はその皮肉を無視して話を続ける。
「この航空機について話していきましょう」
こうして真一達は史上初の軍用機の開発を目指していくための話し合いを始めるのであった。
新庄はコノミやキム爺の存在を真一に知らせており、今後のことを彼らと直接話し合う予定である。
「へ~、魔法がない人間はこうやって生活を営んでいるんだね」
コノミは興味深そうにベラリンの町を見渡した。彼女らは魔法があるのが普通の空間で生活していたためにこういった町を見たことが無いのであろう。
「我が主と面会するのは1200頃の予定だ。それまでは自由にしていて良いぞ」
「新庄のおじちゃんはどうすんの?」
「俺は他にやることがあるからついて行けん」
「何やるの?」
興味津々にコノミが聞いてくる。
「見に来るか?」
「うん!」
「おい、シム爺はどうする?」
「わしもこれと言ってやることはないし、お前らについて行くことにするよ」
そう言って三人はベラリン郊外の第一独立師団基地に向け歩き出した。
「ここは……」
コノミが声を落として尋ねた。
そこは多くの白い石が立っており、その石には名前が刻まれている。
「ここ我が同胞が眠る場所だ」
言葉少なげに語る新庄にそれ以上コノミが声を掛けることはなかった。
新庄がやろうと考えていたのは墓参りだ。
今までの葬式は新庄はコットン国にいた関係で参加できず、ベラリンに戻ってきて最初にやろうと決めていたことであった。
その墓の中でも端の方の木陰にひっそりと佇む墓があった。そこには一輪の花が添えられている。
「……」
黙ってそこまで行き、新庄は持ってきた手桶の水で墓を清める。
ぱしゃっ ぱしゃっ
水を掛ける音だけがそこに響いていた。
「誰のものなの?」
「我が主の尊き友人であった近藤 譲殿のものだ」
コノミの質問に新庄は静かに答える。
水で清めた後、持ってきた花を別の花入れに刺し手を黙って合わせる。
(譲殿、遅ればせながらただいま帰還いたしました。お守りすることができず、申し訳ございません。今後は全力で真一殿達をお支えしていきます。どうか安らかに)
祈りを終え、新庄はコノミ達を引き連れ集団墓地を出た。
再び町に戻った新庄達は、待ち合わせ場所である陸軍省の建物に向かった。
現在、真一達が率いる第一独立師団は陸軍と同時に運用されることや作戦の連携の関係上近くにいた方が良いと言うことで、陸軍省の中に司令部がある形となっている。
陸軍省の建物に着いた三人は身体検査や身分証の確認を終え、中へと入る。
中は大きな広間が一つあり、天井や周囲の壁には絵画が飾られている。その広間にある柱に司馬懿が立っていた。
「これは司馬懿殿、どうも」
「これは新庄大佐。お元気そうで何よりです」
簡単な挨拶をしたところで新庄は二人を司馬懿に紹介した。
「こちらの少女はコノミ、そしてこちらの方はシム爺です」
「これはようこそおいでくださいました。私は司馬懿と申します。どうぞ宜しくお願いいたします」
「宜しく!」
「宜しくお願いします」
司馬懿は少しの間二人を見つめた後、二人を真一の部屋に案内した。
「こちらになります」
一階の廊下にある一室に真一の執務室はある。
「司馬懿、入ります」
「どうぞ」
案内された部屋を開けると部屋の奥に設置された机で真一が執務をこなしていた。
入ってきたのが新庄が連れてきた二人だと気付いて、真一は執務を辞めて立ち上がる。
「ようこそお越しくださいました。どうぞおかけください」
そう言って三人を部屋のソファーに案内した。
「本日は遠路はるばるありがとうございます。私はジーマン国独立第一師団師団長の秋山真一と申します。宜しくお願いします」
「わたしはコノミって言います!宜しく!」
「わしはシム爺という。宜しく」
「さて、今回は我が軍に協力をお願いしたいわけですが、あなた方からはコノミ殿に対する治療でよろしいですか?」
「ええ、構いません」
「分かりました。ではこの国一の腕を持つ医師に任せますので、どうぞご安心ください」
「かたじけない」
そう言ってシム爺は頭を下げた。その顔はようやく緊張から解放されたような顔をしている。
「それでは司馬懿、コノミさんを病院へ」
「はい。分かりました。ではコノミさんこちらへいらっしゃい」
「え、でもシム爺が……」
「わしはもう少し話さなければならないことがある。先に行って待っておれ」
「うん」
そう言って司馬懿達は出て行った。
「さて、いきなりだが、本題に入っていきます。シム爺殿、貴殿は我が軍に協力をしていただけるとのことでしたが、あなたには航空機の研究を行っていただきたい」
真一はいきなり本題へと切り出した。
「分かっております」
「あなたが所持している航空機については既に我が軍の方で極秘裏に回収を行いました」
「ほう、手回しが早いですな」
皮肉交じりにシム爺が言う。
真一はその皮肉を無視して話を続ける。
「この航空機について話していきましょう」
こうして真一達は史上初の軍用機の開発を目指していくための話し合いを始めるのであった。
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