魔法の世界で、砲が轟く
第十五話 予感
「ねぇねぇ、お母さん、あの本を読んで!」
「分かったわ」
 昔々、あるところに大きな1つの国が有りました。
 その国には魔法のとてもできるけど勉強が苦手な人、魔法も知識の両方ともある人、知識がとてもあるけど魔法ができない人の3人種の人達がいました。
 最初は仲良く暮らしていましたが、だんだん仲が悪くなり喧嘩をするようになりました。
 それを悲しく思った神様はそれぞれに土地を与え、3つの国を作らせました。そして人々から喧嘩は無くなり、平和な時代が訪れました。
 めでたし、めでたし。
「あら、寝てしまったの?こんな所では風もひくでしょうし、ベッドで寝ましょう」
「我々は輸送隊の護衛ですか。」
 李典はそう呟き、輸送隊の通るルートを確認した。
「明日から護衛に入るのだが、何か怪しくないか?」
 司馬懿は地図を見ながら聞いた。
 この二人はどちらも曹操に仕えていたため、顔馴染みなのだ。
「このルート、あまりにも危険な所を通っている。こんなんでは、攻撃してくれと言わんばかりだ」
 というのも、輸送隊のルートは街を出たあと、森を抜けて谷を通り、平原を越えて城に着くようになっている。これでは、伏兵を潜ませ放題だ。
「しかし、ここ以外では時間が掛かりすぎる。危険だが、このルート以外は無理だ」
「分かっております。しかし、森や谷となると騎馬兵は使えませんな。敵は魔法も使えるのに、こちらは盾隊と弓兵、歩兵のみで戦わねばならんとは…」
「敵は魔法でも遠距離からは命中率の問題で使えない。故に伏兵となると目視距離からの魔法などの攻撃か、弓の攻撃のはずだ」
 カイゼルから魔法の遠距離攻撃は当たらないと聞いていたのだ。
「となると前世の頃と同じようにしていれば良いということですな」
「そうだが、何か引っ掛かる。一応警戒は怠るな!」
「御意!」
 そう言うと李典は部屋を出ていった。
「何も起こらないと良いが…」
 司馬懿は不安を書き消すように呟いた。
 しかし、優秀な人間の勘というのは本人の希望の有無に関わらず、当たるものである。
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