魔法の世界で、砲が轟く
第七話 国王の苦悩
「そうか。四人は大したことのない実力であったか」
 コットン王は呟く。
「ええ。やはり、あれだけの人数となるとそのような人間も出てくるかと」
 グールは抑揚のない声で話す。
「ならば、始末するか。これが内外に知れ渡れば我が国の面子に関わる」
王がそう言うと
「それはなりません。彼らのスキルは未知数であるとの報告が有ります。下手に手放すと貴重な戦力を失う事になります」
 宰相であるツェッペリンが、話した。
 彼は30歳の若さで宰相に着いた極めて優秀な人物で、建国以来の名宰相と唄われた人物である。
「しかし、これを放置するのは如何なものか」
コットン王が答えたのに
「我が国の面子と貴重な戦力、どちらが大切かお分かりになるでしょう。ここは面子は捨てるべきです」
「分かった。そうしよう、魔王と戦うときは戦力が多いに越したことはないからな」
「良いのですか、ツェッペリン様に本当の事を言わなくて」
グールが問いかける。
「彼らは優秀すぎるスキルを持っている。しかし、その強大すぎる力はいずれ我が国そして世界を滅ぼすだろう。ツェッペリンは、そこが見えていないし、見えていても感謝して利用すれば大丈夫だとしか考えられんだろう。奴は良くも悪くも信義を重んじ、情に流される人間だ。統治者は時に非情な決断を迫られる時がある。今のような乱世ならば、なおさらだ。再三それを言ったが、奴は直せなかった。今回のような非情な決断を奴は出来んだろう。ましてや、二十歳にも届かぬ子供を手に掛けるなどな」
 そう寂しそうに呟くと、王は窓の外を見ながら言った。
「私は地獄に行くことになるだろう。しかし、それでこの国が救えるというなら悪魔にでもその魂を売ろう。あの子達には本当に悪いことをする」
 そう涙した。
「その地獄行きに私もお供しましょう」
「いや、ダメだ。これは私が決断し、私自身の手で下さねばならん。」
「しかし…」
「ダメだ!」
 今までで、一番の大声を上げた。
「それだけはならん。私が決めたんだ。これは私がやる」
 そのあまりの怒気に飲み込まれ、グールは黙って一礼して部屋を出ていった。
その扉をしばらくコットン王は見つめて呟いた。
「お前が出ていった日もこんな感じだったな、リーフィアよ。」
    
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