とある能力者と無力者の消失記憶

双葉エレン

第13話打ち破った

強い突風が吹き付けて思うように近づけないーー
『くそっ、どうしたらいいんだ?』
『風か切れない...むしろ受け流されてしまう』
『僕の魔術でも無理がある...』
どんどん力が高まり始めるーー
迂闊に近づけば...弾かれて天国行きだ...
だが、一か八か...このボロ右手で触れれば...全てが終われる
空は一歩、また一歩近づくーー
『馬鹿か?』
『お前に足りてない物っ前言ったよな...覚えてるか?』
『あぁ』
『あの少年は、生半な『覚悟』を背負ってる訳じゃない...何かを背負った覚悟と変えようとする『意思』が強い。』
少しでも足元をずらせばどこかに飛ばされそうな突風と強風が空に向かって強く吹き付けるーー
諦めるな、一歩前に進むんだ
蜜柑を救える唯一の希望があるこのーー右手にかけるだけだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
右手に前に差し出して走り出す空
風圧をどんどん壊して吸収していくーー
『うおぉぉぉぉりぁぁぁぁ!!』
蜜柑に触れようとした時、バチンと電気が体に走るーー
『ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ...!』
傷口が酷く痛み出して右手を握る
『ちっ...奴が唯一の頼み...耐えてくれ』
くそっ...さっきのは、一体なんだ...?
だけどな、このまま引き下がるわけには...いかーー
視線がぶれ始める、ふらつきながら立ち上がる
『貧血気味だよ...どうする?』
『さっきの戦いの後だし無理がない...か。私達は何も出来ない、こうやって見てる以外な...』
ぐるぐる回り、気分が悪くなりつつあるが...まだしっかりと感覚は残ってるーー
『諦めるわけには行かない...!』
右手を前に差して風圧を相殺しようとしたが...
お互いぶつかり合って大地を削り出すーー
『ダメか...だが...』
本の一瞬だけ、空間が通れそうな場所を見つけていたーー
右手を前に差し出していた手を引いてとっさに走り出す空
風穴がしまるまでこの数秒で走りきらなければーー
自分おろか、蜜柑すら危ない
締まり迫る風穴を走りながら飛びこみ右手を伸ばしたーー
『届けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』


バキャンーーー!!


強い光を放ち周りを目をくらませたーー
『なっ...!?』
『触れたようにもみえたが...』
光が消え始めて、周りが見渡せるようになったーー
二人の視線の先には、空の背中に背負われた蜜柑の二人の姿が目に映った


『これで文句ねぇだろ?』
すやすやと眠ってる蜜柑の姿を二人は見つめて喜んでいた


『あれが俺に足りなかったものか...』
『覚悟と決意そして...諦めないこれに私達は負けたのさ。』
蜜柑を二人の前に降ろした空、そのままどこかに歩きだそうとしていたーー
『まて、君...そんな体でどこへ行こうとしてるんだ?』
『ほっとけない物を破壊するのさ...まぁ、体はヤバイけどな』
すると少女から何かを投げてきたヤツを手に取るーー
『なんだこれ...?』
『回復アイテムみたいなもんよ、それがあれば傷口は治る』
『いいのか?』
『べ、別にあんたの為じゃないから...それに仮が一つできちゃったしね』
きょとんとして少女を見つめた
『な、何よ?』
『案外イイヤツだなお前』
『なっ...!ち...ち、ち違うわよ!ただ心配なだけで!アンタがくたばろうが知ったこっちゃないからね!あとお前じゃない、私は風月風香だから覚えときなさいボロ雑巾』
ボロ雑巾は余計だろ...
空は手に包帯を巻き付け始めた
念のため保健室から取ってきたんだけど、まさかこのタイミングで使うとは...
『じゃ、俺は行く...蜜柑を頼む』
『ふ、ふん!お前に言われなくてもちゃんと見とくわよ』
体を惹きつりながら、倉庫の壁を手に当てながら先に進むーー
一瞬だけ、頭をよぎった記憶
蜜柑はおれをこの街に何らかの形で留めていた
一度出会ってるようだが、蜜柑からもそんな話聞いたことがない
記憶が曖昧がありよく分からない
ただ、何の目的で...こんな場所にいるのかよく分からないが
とにかく救えって事かーー
道が段々開けてきて、もはや建物すらない場所にーー
『あった...これか?』
空に向かって一本の柱見たいな建物が一つだけそびえたっていた
これを壊せば、南側は...元に戻る
北区、東区、西区、南区、そして中央区...五つのブロックに分かれてる学園都市ーー
それぞれに設置されてる気力を抜き取る機械が存在する
一番簡易型で簡単に見つかるのが...南区だった
『ヨーソロー!』
破壊音が鳴り響き、気力を抜き取る装置を破壊させた
『よし...あとは...四つか...』
体が限界に達していた為、倒れて寝てしまったーー


          

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