ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第62話蘇る意思

轟音が鳴り響く、坂田は槍を回転させて薙ぎ払う。飛び散ったウイルスを切り裂くーー
黒い戦士からエンカウントをするように周りから次々と姿を現すスライム型のウイルス。これを切り裂くために作られた坂田が握る『槍』
ウイルスに対して分散する事が出来る
だが、突属性にあたる槍はスライム型にはあまり効かない、突く以外の攻撃は有効だ。だから効果は五分五分だ



システム改良する為の、上書き作業はあと数分で終わる見込みを、鉄製で出来た小型のディバイスが緑色に点滅を知らせる。


『あと少しか...』
それと、同時に透も、足元の砂を蹴り
右手首に装着されてる鉄製のリングに触れて起動させる。
銀色に鈍く光り右腕全体が硬化する


『少しばかり、本気をだ』


高鉄音、火花が吹き散らせる
黒い戦士が放つ一撃を、受け止める坂田と透。そして、鉄筋コンクリート製の床を滑らせる。


周りの鉄骨は切り裂かれ壁のコンクリは吹き飛ぶ、骨組みが剥き出しになる。破壊力は異常なクラスだ...、相手するだけで気力や、体力が一瞬で消し飛ばされる。
当然、生身の体で相手ができるレベルじゃない


『くっ...まだ...だ』
『諦めが悪いのは...どうやら同じ様だね...』


身体がいくら悲鳴をあげようとも
けして屈しない、諦めない...
その意気込みは、揺らがない眼差しが言い語ってる様だ。
そして、ブザー音が鳴り響くーー


システムアナウンスが起動され機械的な音声で言い放つ


《システム上書き完了。今より起動準備に取り掛かりますーー》


ブゥンっと何かが起動するような音を放ち、黒い戦士に向かって拘束器具が飛ばされて、絡み、コンクリの床に突き刺さる。


『さて、時間か...』


なぜか、風が吹き始める
坂田と透の白衣をゆらゆらと揺らす
そして、天井から眩い光線が一気に黒い戦士に降り注ぐーー


眩い光を腕で目を隠しつつ
『行けるか...?』っと言う
だが、透はグラサンかけて言う
『質力が足りんな...このままだと...弾かれるぞ』


その言葉通りに、強い光の光線は黒い戦士を消し去る事が出来なかった
電流がバチバチと鉄骨を横走る
気悪感が漂い始める...黒い戦士は首筋に重力を感じるように頭を下を向ける


『ちっ...消すまでは行けなかったか』
『ちょっと不味いね...』
『何が不味い...?結果か?』
『いや、そんなもんじゃない...アレを喰らって何もないって話は無い』
『それって、つまりーー』
『帯電放射って言葉を知ってるだろ?体に電気を蓄えて、外側に放つ事を意味する。つまり、今はまさにその時なんだ』


床のコンクリをズンっと言う力強い音を放ち、そしてゆっくりと顔を上げて口を開いて瞬間ーーー


黒い光線が行き良いよく放たれ、坂田と透に向かって一直線に飛ばされる


『来ちゃったね...MRにしちゃ...ドラゴンの業火に焼かれそうな気分になれるとは...中々だ』
『感心してる場合か!逃げるぞ』
『何処にだよ』
その問投げに、坂田の足が止まる
透は、前を向きながら言う


『逃げても、この攻撃をまあ放たれる。それに、この場所は元工場跡地...火薬とか薬品に触れたらこの場所は爆心地みたいになるに違いない』
『阻止できるのか?いや、それを聞いたら研究者じゃないな...悪いが、俺は...逃げさせてもらうぞ』


槍をコンクリの床に突き刺して、刃にそっと片足を乗せる
透は、止めもしないければ、消して後ろを振り向く気配がない


そして、坂田は、槍にある撮ってに触れて空高く飛び上がる
透に目掛けて飛んでくる黒い光線は、ぐにゃりと進路を空に向け変えた
空に逃げた坂田に一直線に飛ぶ


『なに?!』っと言う
そして、脳内にさっきの会話が蘇る
『逃げる』って言った時に『何処に』って言う問い投げ。
そして、『元工場跡地』で『火薬』や『薬品』に引火したら『爆心地』になるーー
そして、坂畑は即座に理解する。
透がいった意味、それは...
『陸地にいても危険だが、空中の方がもっと危険』だった
ヘイトは、攻撃者とは限らず...敵から距離を離した味方も狙われやすい
つまり、坂田は敵から逃げることを選んだ=ヘイトが飛びダゲが付けられる
結果は、攻撃は透ではなく坂田に飛ばされる事を意味する。


『ちっ...自業自得か?』
首を振り、『いや、因果応報か...』っと口にした瞬間、黒い光線が坂田を包み込んだーー


その光景を透が眺め、無言で視線を戻す。黒い戦士は、ニヤニヤと勝ち誇った様な顔を浮かべる


『ふん、お前も中々な悪だな...。僕からにすれば、いい事だが...役割を勝手に横取りされるのはーー』
真横にある剥き出しの鉄骨を振り殴りながら怒りに満ちた顔で言う
『気に入らないね!!』


右手拳を握りしめて、突進する
次々飛んでくる攻撃を、殴りながら
走り進み、コンクリの床を強く踏みつけて高く飛び上がる


そして、大きく右手を後ろに引き
半身反るように振り抜くーー


突く様に右手を前に伸ばす、黒い戦士の顔に直撃した。
たが、顔ではなく黒い戦士の左手のひらで握られる。
押す力を全開にする透ーー


『うぉぉぉぉぁぁぁぁーー!!』


ピシピシと亀裂が走る右手の硬化鉄
空気が圧縮音が鳴る、コンクリの床が亀裂が走り、透と黒い戦士の間の空間が捲れ上がる。


押す右手、悲鳴を上げる硬化鉄
歯を食いしばり全力で力を放つ
そして、空気が破裂する音と共に黒い戦士の顔に的中、風圧が起こる。


当たったが...なんだこの妙な気配...?


湧き上がる禍々しい黒いオーラ
意図もしない衝撃が走る
腹部に黒い人筋の柱が貫かれている
噎せ返るように口から血が吐きでる


『しくじった...クソっ...!』


黒い柱を掴み、右腕全体に纏う硬化鉄で殴り砕く。
コンクリの床に着地して、フラつきながら前に屈み片膝を付く。


『クソな結果...。クソな結末か...研究者の力を使っても、まるで歯が立たねぇ...。勝てねぇ...なーー!』


霞む視界の先に、映す凶悪な黒い戦士
非力なぐらいに、力の差を感じた
どんな戦法でも、こいつには勝てない
いくら頭を使い、いくら開発したソフトでも遠く及ばない
これが、ウイルスを蓄積されたアカウントの力だーーー。


遠のく意識、透はゆっくりとコンクリの床に倒れ込む、ヒヤッとした床を頬に付けて自分の絶命へのカウントを感じ始める最中でーー


すると、どっからともなく、誰かが歩いてくる音が鳴り響くーー


重くなりつつある瞼をゆっくりと開けると...絶命したっと思われた空斗の姿が目に止まる。
これは何かの幻影か?っと思って居たが...『死ぬ前に、お前に言っときたいことがある』っと声が飛ばされた。
口を開けるような力はなく、薄暗くなる視界に合わせるように空斗の言った


『お前の父親に何度か救われた、そして、今回は透...お前にも救われた。言いたくないが、ありがとうな』


その言葉は、あまりにも馬鹿げている
酷いことしたに、感謝されるような覚えはない。
むしろ、救われたのは僕自身なんだ
感謝すべきは、いや、賞賛に値するぐらいの強さを持つ君に感謝を述べたいぐらいだ。
その言葉を言えずに、重くのしかかる瞼と意識は...閉じて息も止まる


空斗は、電子バルスを力強く握りしめてコンクリの床に向かって突き刺す
強い光が空斗を包み込み、そして、薙ぎ払うーー。


空斗の姿は、黒くて短いコートと軽装な服やズボンそして、鉄製の黒い靴...
左右の方には青黒い剣と真っ白な剣を装備して居た。
ナイツ・オブ・ソードオンラインで着ていたものと同じ姿で物で、多少淡い光が全身に身に纏う。


空斗は、左右の肩にある剣を抜き取り
ゆっくりと構える
黒い戦士は、不気味な笑みを浮かべながら空斗へと突進するーー


突進か...まぁまぁ俺って感じだな


空斗は、二つの剣を握りながら、こちらも走り出して、黒い戦士の攻撃の間合いを読んでスライディングして、壁に足を付けて跳ね返るように飛び上がりスキルを放つーー


《ダブル・シャイン》


左右から高密度の衝撃波を飛ばすスキル、遠〜中距離攻撃で射程が長い


二つの衝撃波が、黒い戦士の背中に直撃したが...向こうも同じく黒い衝撃波を振り抜く。
空斗は、右手の剣を前にして左手の剣を背中に置きそのまま突っ込む。


黒い衝撃波を、砕きそのまま黒い戦士の心部に突き刺さり、頭上から左手の剣を振り落とすーー


だが、黒いオーラでカバーされて弾き飛ばされる。
コンクリの床に着地して、さらに追撃を行う為に、走り出す


壁を震わす速さで、黒い戦士に間合いを詰め寄り、最上位スキルを放つ


《ナイツ・オブ・ソードスラッシュ》


左右の剣を、目にも止まらない速さで連撃を叩き込んだ後に爆発的な一撃を放つスキル。
タイトル名と似たスキルで、恐らくこれが最強スキルではないかと当時の人々は言っていた。


それが今、まさにーー
黒い戦士に向けて放たれたのだ


連撃は、彼が振り回す限り続き
その回数に応じたトドメの一撃は倍に増す...。淡いフェクトが光散らす


ギャリギャリっと鉄を擦らせる音が鳴る中、空斗の攻撃は止めることが無い
黒い戦士は、その威力に押され始め
黒いオーラがバキバキと音を立てながら破壊されて砕け散って行くーー


隙を与えるな!
ターンの暇を与えるな!
緩めるな、叩き込むんだ!
俺達の全力をーー喰らわせるんだ!!


その意志が強くなるほど、加速していく攻撃速度。淡いフェクトが金色と黄色がよりいっそう強くなる。
ふらつき始める黒い戦士、撒き散らすウイルスは空斗の斬撃で消失
翻弄され、押されていく黒い戦士はついに壁際まで追い込む。


強い光を刃から放ち、そして、トドメの一撃を突く。黒い戦士は腹部から爆発並の衝撃を受けて体をくの字で壁を貫き吹き飛ばされた。


すると、ある数値が目の前に映される
どうやら、黒い戦士のウイルスの個体数の様だ。さっきので大半砕け散り...ウイルスは1個となっていた。
つまり、立ち上がるのもアバターを動かすことも...できないことを意味していた。


空斗は、ゆっくりと歩き、伸び切る自分のアバターを眺めるながら
『お疲れだな...これでお前はもう使えなくなる。長かった旅路を支えてくれてありがとうなーー』


空斗は、蘇る記憶を思い出しながら
悲しそうな眼差しを浮かべながら自身のアバターの心部に剣を突き刺した。


ピシピシと亀裂が走り、そして、砕け散りながら空に粒子を飛ばして消えていったーー


空斗は、その姿を空を見上げながら
頬をつたわりながらこぼれ落ちる雫2滴がコンクリの床に落ちた。

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