ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第47話悪化するAROの世界

すべてが終わりを告げた...
そう思えるのは、空斗達のみ


始まりを告げた弾丸は、徐々に後味を残す苦味と渋みの様にその場をとどまる。
舌で感じた味は、水で流し消そうとする...。だが、苦味や渋みは消えても...辛味だけは口内に燃え上がる辛さや痛み...酷ければ痺れは時間が立たなければ消えやしない。


口に入れたものは、消して逃れるはずがないーー。


『デスゲームに変わってしまった、このARO...。私の中で一番最初に触れた拡張世界を、また奪うつもりかしら...?』


興味本位...それがアザとなる意味。
あの騒動が始まりと過ぎなかった
提供中止すらせず、継続的に運営をしつつける。
結果、暴動に走るユーザーが続出し
拡張武器なんて持たない...正真正銘のサバゲーな殺し合いにはや変わり。


彼...空斗が1位の座に座り
序列ランクが一つ繰り上がり
狙われやすさがはね上がれば、戦場と言わんばかりの奇声を上げるバカもいる。


ゲームなんて、所詮ゲームだろ?っと言う奴もいるけど...正直現状的にいえば...ゲームでも何でもない。
卑怯なユーザーが、卑怯なことを繰り返す限り消えやしない...。


私は実物主義じゃない...いや、実弾で殺り合うつもりなんて無い


『はぁ...ようやく退院かぁ...』


あの事件、私は...あの危険な男に負けてゲームではない実物の刃物で一撃腹に受けてしまった
致命傷は免れたけど、『あと少し深かったら死んでいた』っと鶏頭へアースタイルの医院長にそう告げられた。


病院に安静を余儀なくされて2週間弱のこの日...退院が許された。
事実上、腹の傷口はまだ完全に塞がってはなく...あくまでも仮退院。
縫った傷口は多少痛む程度、無理しない過酷な運動をしなければ問題ない


しばらく遊べない...いろんな意味でだけど。どうもスッキリしないわ...


そう言いたくなるのは理由がある


何故なら、旧東京都にそうゆう危ない事件に陥ったのにも関わらず...新海上都市でもある新設東京都は全く動かない。


いや、適切にいえば...騒動で動じるような行動などが全くない
そして、今でも遊びたくなるようななCMコマーシャルを普通に流してる
違和感を感じないっと、言ったらおかしいレベルなのだ。
それに、決定的にメディアに知らせてない。水面下状態でこの事件を収めている、権力者がそう仕向けてるに違いないと疑わずには居られない。


そう思うほど、新都市に隠された謎に気になりる。
だが、そこの場所に行くには...カード券が必要らしい。


打つ手がなく、結局は...この事件自体を終わらせるのがせっいっぱいだ。


はぁ...、結局はそれしかない。
でも、実力執行なんて私には...


そう思って、自分が通う校舎を目の当たりにして見上げた
いつもと違う面影を見せ付ける校舎...
不思議と嫌な気配を感じさせる
それと同時に忍び寄る影。


ガッーー!!


あれ...?ここは...?


ぼやける視界の先に、一人の男が気だるそうにソファーに座りこちらを見ていた。


『気が付いたか?』
ぼやけた世界はやがて元に戻り
ハッとした顔で周りをキョロキョロする。
見覚えがある床や机、そして、吹き抜けるような外の景色ーー
そう、紛れもなく...自分の教室だ


そして、目の前にした男は...自分の教師。どうゆう事?っと思わせる様な状態に出す言葉がないーー。


『どうゆう事?って言う顔してんな。答えは簡単に簡略的に言うとな...AROにハマった。っと答えようか?』
さらに付け加える様に話し出す男性教師
『そうだね、取り敢えず...殺っておいた。リアルで殺し合いなんてこんな爽快なんて初めてだな』


な、何を言ってるのーー?


『まぁいいか、セナ...いや?瀬那晴香たしかお前...旧序列3位だよな。どうだ、俺と組んで見ないか?』


瀬那はいきなりの誘いに更に混乱する
今の状況も、実際のところは『教室』だけで周りがどうなっているのさえも分からない。
状況を収集するのにやっとのぐらいだ
だから、答えられる言葉は限られてる


『...あなたとは組まない』
『へぇ?お前の苦しみを解放してやったんだが...。どうやら無駄だったらしいな』
男性教師の意味ありげな発言に瀬那は
ようやく自分の状況を把握する
自分自らの生徒を殺して、瀬那が来るのを待っていた
教室内は血鉄臭いニオイが充満していて瀬那の鼻腔を刺激していたのだ


嫌な奴を粛清する...間違ってはいない
でも...、こんな事は絶対間違ってる...!


自身に手や足に紐で結えてる椅子を動かそうにも、その力すらない。


『ふん、所詮バーチャル好きとリアルゲームとは成りあわんな。目の前で死なない敵と実際に死ぬ敵、どちらが爽快で愉快なんだろうなーー?』
瀬那は、男性教師の発言に割って入る
『そんなの殺さない方に決まってるじゃない!』
『ほう?』
『ゲームよ?健全的で誰でも楽しく遊べる世界よ。なんで、実物的に人を殺さなきゃならないのよ?そんなことしてもただ...自分の快楽を求めてるだけに過ぎないじゃない...っ!』


瀬那の脳裏には、楽しかったあのAROをチラつかせて言った
高まる感情も、溢れだしそうになったが耐えて飲み込んだ



『なら問うぞ?デスゲームとやらは...なぜそう呼ばれてる?システム的になのか?それとも、人をいや...バーチャルアバター自体を消し去ったからか?』
『...分からないわ』
『だろうな、ただデスゲームは一つの秒針が狂えばすぐにでも起きる。仮想世界で起きたあの事件から約1年半を超えたばかりだ...世界的にも脅威を与えた...が、そのお陰か?都民の約半数以上県外に引っ越した。結果的に腰抜けた雑魚は消え失せた、まぁ...目障りな奴は消えてないがこの機会に便乗しないわけには行かねえだろ』


先生...貴方は間違ってる。
気に食わなければ、人を殺す...
便乗しない、する。そんな話では消して済まされないわ。
自分は、自分の野望に飲まれた哀れな獣...そう例えるに値する


『瀬那最後だ...俺と組まないか?』
瀬那は、微かな笑みを浮かべながらこう答えた
『あんたにはついて行かない』


すると男性教師は、ため息をついて
瀬那の結えた手や足の紐を解き
そして、男性教師に転がした黒い拳銃が瀬那の足元に転がりぶつかる


『消えな、そいつはやる。うまく生きていれば...いや、次会う時には敵同士だ。』
瀬那は、足元にある拳銃を手に取り
無言で教室の外に出た。


心の悲鳴を顕にするように、雲行きは怪しくなり...やがて雨が降り始める
そんな中を、必死に走る。
走って、走って、走って...何が何だか訳分からなくなった。
瀬那は不意に足を躓き、地べたに滑るようにコケる


地表は生温い温度を感じさせ、撃たれる雨は冷たく肌にあたる


どうしたらいい...?
私に、出来ることは...止めること。
でも...私は人を殺したくない。


静かに降り注ぐ雨脚の音は、時には同じく感じさせる。
梨紗は、空斗が眠る病室に居た
仮想世界では会えるが、実物とは会えない...。そんなことを思えば思うほど目から涙がこぼれ落ちる


気にも止めなかった、あの些細な行動がこうゆうことに繋げてしまった事を...自分自身を責めてしまう。


私...何でいつもこうなんだろう?


悔やみきれない気持ちで、どうしたらいいのかさえも分からない
そう思い描いた時、鳥頭ヘアースタイルの医師がドアを開けて入ってくる
空斗の顔を見るて言う


『ふむ、もう少しかかるか?』
まるで問いかけるような言い方だった
そして、梨紗の方を振り向き
緩い笑みを浮かべたながら言う


『君、この子の彼女さんかな?』
『へっ?い、あ...は、はぃ!?』
梨紗は思わず声を裏返してしまう
鳥頭ヘアースタイルの医師は微かに笑いなながら言う
『そんな驚くことは無いだろ?まぁ、君の顔を見ればわかるよ』
『うっ』
『青春かぁ、羨ましいなぁ...。僕も時間が戻ればやり直したいなぁ』


鳥頭ヘアースタイルの医師はそう告げたあと速やかに部屋を抜け出て言った
その直後、着信音がなる
梨紗は、ポケットからスマホを取り出して画面を眺める
メールが一件入っており、内容を開くと差出人は空斗で件名が来て欲しいっと書かれていた


今やメールアドレスで仮想世界から電子機器やSNS等にメール等が送信ができる。
突然の呼び出しだけあり、慣れた手つきでギアをカバンから取り出して部屋隅っこに背を壁に寝そべる様に背もたれして起動する


フェルマール変道、今はこの道を攻略中なのだ。
何故呼び出しをされたのかは、ご存知空斗の緩みそうな顔で大体はわかる


四つの塔に隠された財宝ーー
白銀に光るエックスカリバー、青紫に咲き誇る刃を尖らせる青紫バラの短剣
雷を宿いし矛、雷帝の槍
無色透明に無数の光を放つ、クリスタル杖。
それらの場所に踏みは入るには幾つ物の試練がある。
その為に、キーとなるトリガーを探し求めていたレクト達...。


だが、エクストラクエストの為なかなか現れないのが現状だ
それで、アリスが呼ばれた理由...


『変道を越えるにはどうしたらいい?』だった。
空も飛べるから、そんなこんなんじゃないと思うっと簡略的にそう思うアリス。
だが、険しい表情をレクトは浮かべる


『何そんなに...悩むのよ?』
『いやぁ、変道だけに変動するんだよ』
つまらないシャレに、アリスはウィンドウを開きログアウトボタンを押そうとした。
すると、レクト『待って、待ってくれ!今のは流石に悪かった』っと謝罪を口にした。
アリスは、ウィンドウを閉じてじろりとレクトを見つめながら言う


『で、そんなことを告げるためじゃないはずだよね?』
『も、勿論だよ...。ほら、これを見てくれ』


レクトが差し出したのは1枚の地図
その方位には、四つの城が描かれ
その中央には...変なモンスターが描かれていた。


『何これ...汚い地図』
『一番最初のツッコミはそこですか』
レクトは、更に話す
『絵が気にならないか?』


確かに、意味ありげに四つの城の中央に描かれている。その間には、領土とする種族の住む村、そして、今いる位置とその絵のモンスターと丁度重なる場所だ。
予測からして、平地にはない、つまり...空上か地下のどちらかになる
それと財宝とどうゆう繋がりがあるのか...謎なのである


ただ、私からにすれば...彼はただの好奇心の塊だから...絶対に『なぁ、倒さないかこいつ』とか言うよ


そして、アリスの予想が的中する
目を点としながら瞬きを二、三回する
レクトは、超絶土下座をしており
ため息をついて答える以外方法がない
がーー


『いや、レクト...君がリアルで目覚めない限りそれは無いわ』
『なんだと!?』
『無茶をしない、それで君はいったい何回死にかけたわけ?』
『...アリス』
『べ、別に心配してるわけじゃないんだからね!勘違いしないでよ!』
『あぁ、分かったよ』


この話はこれにて終わりを見せた
揺るがせない世界は、やがてプレイヤー自身に迫り来る

          

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