ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第38話彼を信じる

エイトは不振な顔を浮かべながら
レクトの顔を眺めていた


驚愕したその眼差し、何かを察したような顔、そして...ただ一定の方向を見て動かないままだ


すると『ぐるぉぉぉーー!!』っと雄叫びをあげたモンスター
レクトは無言のまま静かに立ち上がり白銀の剣を鞘から抜き取り『エイト援護を頼む!』っと言った


驚きながらも『え、えぇ...分かったわ』っとエイトは言う


地面を強く踏みつけたレクトは瞬く間の速さで、モンスターとの間合いを一瞬で縮めた
斧を振り落とされるモンスターにレクトは白銀の剣を使い弾き飛ばした
バランスを崩した瞬間に、エイトの放つ矢が次々と突き刺さりその合間にレクトがスキルを放つ


青紫色の綺麗な一筋の線が横走り
そしてHPバーにひびが入りモンスターはなにかに吸い込まれるように消えた


レクトは『エリアを変えようか』っと言いながら背中にある鞘にチンっと収めた


エイトは、何かレクトの様子がおかしいことにやや感じて履いた


さっきのスキルにしろ、エリア移動提案にしろ...レクト、何そんなに急いで慌ててるのかしら...?っと思い留めてレクトの背中を追うようについて行く


レクトがさっきはなった初等スキル《スパイク》は、システムアシストがなくても簡単に放てるのだが...彼は少し起動を早めた性で精度がやや落ちていた


街の通りを歩く二人だったがーー


『ぎゃあぁぁぁーー!!』っと悲鳴が響き渡る
二人は足を止めて後ろを振り向くと、さっきまで戦っていたARメンバー達が一人意識を失い地面に倒れているのが目に止まる


二人は顔を合わせ頷き、その子のそばにいる人に『大丈夫か?』っと走りながら声を掛けた


近くまで走り反応を確かめたが、一向に反応示さない


一人の少女は『は、はい...大丈夫ですが...この子全然目を覚まさないのです』っと心配そうな顔で言って、エイトが『ちょっと、この子...意識レベルないんじゃ...?』っと開いたウィンドウ越しに言った


意識レベルとは、VR系ギアにダイブする時に脳から発生する脈の波動をキャッチして生きてるかどうかを測る機能の一つだ
意識レベルが低下すれば強制ログアウトされる、それはVRでの話だ。ARは、自身がアバターとなり行動を起こすのでそんな機能はない


だが、これは明らかにおかしい
さっきまで戦っていたのに突然意識を失っていた
HPバーもそれほど削れてはいない...どうゆう事だ?っとレクトは顎に手を添えながら考えていると
エイトが『思い当たるなにか無いかしら?』っとその少女に問いかける


すると首を傾げながら『うーん...分からないですね...』っと答えた少女。エイトは『そう...』っと静かに言った


数分後、少女は『あっ』っと口にした。エイトは『なにか思い出したのかしら?』っと言った


目を瞑りながら淡々と話し出す少女、その話を聞いてエイトは驚愕してレクトを振り向き言う


『レクト、原因がわかったわ』っと言ったが『自動販売機に頭を入れて気絶したんだろ?うん、それはわかる気がーー』っと言いきる前にエイトがレクトの足を強く踏みつけ『んぎゃァーー!?』っとレクトは声を上げてケンケンしながら街灯の鉄の棒に掴み『い、痛いだろうが...!』っと言いながら苦笑いをする


エイトは『そんな珍事件起こすとすればあんただけよ?それで、少女のいう事だと...本来当たり判定がない場所に当たったら気を失ったらしいわよ』っと遠回しに言う
レクトは『当たり判定が出ない場所...?VRの俺達には無いな...ん?なんかおかしいな』っと首を傾げつつ言うとエイトは『VRには体全てが当たり判定でARには、ギアが付いてる部分...詰まり左右の腕のどちらかには本来は当たり判定が無ければでないわ。だけど今の状況だと...それが可能となっているわ』っと目をキリッとさせながら言った


少女はその話を聞いて驚愕した眼差しで立っていて自身が持っていたペットボトルを地面に下ろしながら『う、うそ...それって...当たってしまったら..?』っと動揺を隠せない口取りで言った


エイトは『ギアに当たれば...本当にデットアウト...死ぬわ』っと告げた瞬間、少女は力が抜けたように地面に座り込みながら『死ぬ...?じ、じゃ...目の前にいる私の...友達が...?』っと震え声を上げていた
エイトはただただ静かに頷き
レクトは唇を噛み締めながら悔み切れない感情が滲み出ていた


そう、それが死ぬデスゲームだからだーーー


少女の鳴き声は、数分間こだました、人々は彼女をただ見つめて通り過ぎるだけだ
レクトは俯き椅子に座ればエイトは空を見上げる...そんな状態で一時間が過ぎ去った


午後8時半、歩く人が一時間前よりかすかに減ったなっと思う時間帯、目を開けない安らかに眠った少女の遺体は...救急車によって運ばれて行った、少女を置いていき去っていった


その時に、救急隊員は『これで犠牲者は何人目だ...?』っと口からこぼし真向かいにいるもう一人の救急隊員が『もう50人ぐらいだな...。最先端MRもデスゲームの要となったし、こっから先の世界はゲームが消えるんだろうな』っと言いながらタンカーを持ち上げて救急車の中に入って行った


3人は言葉を失う最中、そんな救急隊員の話す部分だけ思い返す


更に一時間経過して午後9時半、街並みは緩やかな人々の通りになったなっと思った時間帯、ようやく少女から口を開いた


『あのですね...』
『ん?』
『私もその...パーティーに入れてくれませんか?』目元身赤く腫れ上がらせた少女はモジモジしながらそう言った
『俺は、別に構わないが?』っと疑問形に答えたレクト
『私は、レクト次第だから』っと髪の毛を弄りながら言う
『ありがとうございます!』っと言い放ち、パーティーに参加する


小柄で見た目通りの水色のブレザー着こなした少女、名前はアリサ


レクトはその名を見て戸惑いながら『アリサって...あのVRMMOの子...?』っと問いかける
アリサは『はい、確か武装無双って言うゲームで無敗の覇者に何でか勝てた人...ってもしかしてそのレクトさん!?』っと驚愕しながら言う


当時レクトが見ていたアリサの見た目、野武士のように背丈が高いければ胸幅の違いもある
こんな小さい小柄な子に負けたっと考えると虚しい...っと思った


当然アリサが驚くにも無理がなく、その武装無双は大半が女性プレイヤーが多く潜んでいる
レクトは、その...女装として女性アバターを作り遊んでいた
アリサの正反対で小柄な体を活かした技を使っていた
お色気を使ったりして大半の男性ユーザーが紛れてるのも察していた計算で、ロリコン男子を駆逐するように射止めていた
男性とわかりやすいアバターは、巨乳、低身長、美顔の3本柱で結成されて合成されている
それ先わかればお色気だけでも悩殺出来るから勝負は一瞬で終わる


中には原石みたいなブス顔が入るがそいつはB専が好きなんだなぁっと思いながらのアッパーっと言った感じにどんどん上に行き勝ち残っていた
もちろん、女性プレイヤーとも戦っていたがやけにレズ感が強い子が草生えてる見たくわんさかいる


だが、そんな中にも一人だけ違う子がいた...それがアリサっという子だった
戦ってみたら、何故か一瞬の隙に負けたしまった
そして今、こんなか弱そうな子だとは知らなかった俺は...絶頂に好みすぎるドンピシャに脳死判定が出そうだーーっとよそに女子二人レクトの変顔を見ながら


『えーと?レクトさん?』
『だめよ、今彼は...自分の世界に入ってるわ』
『そ、そうなんですか?』っと言った会話になりエイトは
『まぁ、それよりね...親とかに連絡しなくてもいいの?』っと言い
『あ、忘れてました...ちょっと待ってくださいね...』っと言いながらアリサはウィンドウを開きメールをホロキーボードで打ち始める


数分後シングルタッチして送信完了が画面に表示されてアリサは一息つく


次々とボスエリアが、解放され
その合間に救急車のブザー音が街をこだまする
心配そうな表情を浮かべるアリサにエイトは手を握りながら『大丈夫、きっと彼が救うわ』っと笑みを浮かべながらいう
アリサは『彼に救えるって確信あるのですか?』っと鋭い質問に『確信なんてないわ、数時間前に出会ったばかりだしね』っと答え『なら何故...?』っと疑問をさらに持ちかけてきたアリサに『信じてるっとしか言えないわ、どんな困難が待ち受けようとも彼は恐れる様な顔してない...だからそれを信じる。これ以上でも以下でもない正当な理由で他にはないわ』っと答えてレクトに視線を向けるエイト。その眼差しは、信頼を寄せているように感じ取れた


信頼してるんですね...彼はたしかに強いのは知っている
でも、ナィーブな部分があるから
いつ壊れてもおかしくないのに...
何で強いんだろう...?
私も彼見たくなれるかな?っとアリサは密かに思い留めた






          

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