大人になるにつれて。

アビコさん。

大人になるにつれて。

大人になるにつれて現実的になり、想像の世界は薄くなってくる。
学生時代に思い描いたようなファンタジー小説は微塵も頭に浮かんでこない。


あの頃の方が表現力も豊かであり、読んでいてワクワクさせるような物語を書けた。
当時のノートを取っておけばよかったなと感じる。
そういった夢物語を数多く読んでいたことも影響するだろうが、それ以上にあの頃は将来とか未来に夢を馳せていたのかもしれない。


自分の中では特にそういった面を持ち合わせているつもりはなかったが。
いや、結構悩みながら書いていた気がする。


当時、親からネットの契約を切られてしまい、どこの世界とも繋がっていないWindows98のパソコンを起動させては、Wordを立ち上げて何かしら物語を書いていた。
別にどこかに発表する訳でもなく、誰かに見せるわけでもなかったが、書きたくてしょうがなかった事を覚えている。
また、休日を誰とも遊ばずに、そのような活動で消費していることに若干の後ろめたさも抱えていた。


同級生は集まって、カラオケに行ったり、ボーリングをしたりと外で遊ぶことに興じていた。
しかし、自分としてはそんな時間が非常にもったいなく、また、お金の無駄といった印象があった。
嫌な子どもである。


それよりも自分の時間なのだから、好きに使ってしまいたい。そう考えていた。
例えば、ずっとテレビゲームをやったり、漫画を1日読みふけったり、イラストを描いたり、それこそ物語を書いていたりした。
その時間が自分にとっては非常に至福であり、自分と向き合う貴重な時間であった。
意識はしてなかったが、自分自身と遊ぶことの習慣ができていた。
常に誰かとつるんでないと生きていけないような人よりは、自分の方が立派に生きているんじゃないかとちょっと思っていたりした。
そうやって自分の世界を構築していたからこそ、想像力が育っていたのだろう。
悩みながらでも、それなりに、面白い物語をかけていた気がする。
今となっては、そんなことは出来ず、ただ、エッセイのような物を書くのが精一杯だ。
ブログで書いてもいいのだが、このサイトで書いたほうが何だか、小説家のような気持ちで少しだけ楽しい。



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