ダンジョンの街に住むミノタウロスとゾンビの日常

ソリィ

ダンジョンの街に住むミノタウロスとゾンビの日常

「小説のお題決めったー」にて、「SORYIは『牛と死体が玄関で狩るお話』を書いてください。 」というお題で書いたものです。
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そこは、様々な種族が入り混じり共にダンジョン攻略を目指す街。
その街に住み着き、一生を過ごす者も居る雑多な場所。


「ルト!大丈夫?怪我してない?大丈夫?」
「大丈夫だよ。ミルクは心配性だなあ」
街の門から、1人の男がゆったりと歩いてくる。
ゆらゆらと光が揺らめく宝石が埋め込まれた剣を佩くその男は、人間に見えるのだが、アンデットの1つである魔物のゾンビである。
だが、彼は正式なダンジョンの街の住民である。
生前?の記憶をはっきりと憶えている特殊なアンデットで、名前はルト。ちなみに、生前は男だったそうだ。
魔法剣士であり、伝承にも語られる大昔の英雄である。普段はとても穏やかな気性で、住民にも受け入れられている。


そんなルトを過剰なぐらいに心配する彼女…ミノタウロスと呼ばれる亜人であるミルクは、2足歩行の牛と言った容貌の女性である。


2人はペアを組み、ダンジョンを探索するハンターとして活動している。
よく未発見のダンジョンを見つけ、2人だけでも攻略が可能でも、情報を公開して他のハンターにもダンジョンに挑む権利を与える珍しいパーティである。


「さあ、今日も探索に行こう」
「そうだね! どの辺りに行く?」
「うーん…こっちに何かある気がするから、行って見ようか」


****
数時間経ち、太陽が中天に差し掛かった頃。
2人はダンジョンである洋館を見上げていた。
「やっぱりルトは凄いねー」
「そう?」
「勘で新ダンジョンを見つけるは充分凄いよ」
「はは、そう言って貰えると嬉しいな」
「じゃあ、入ってみる?」
「そうだね。ちょっとした力試しと行こうか」


キィィィ…
音を立てながら、ゆっくりと扉が開く。
「ぐるるる…」
「…わお」
「これはこれは…」
ミルクが唖然とし、ルトが口角を吊り上げる。ルトはバトルジャンキーなのだ。
扉が開いた先には、ミルクに似た牛のモンスターが臨戦態勢で唸っていた。
「…!」
魔物がミルク達目掛けて突進して来る。
→ミルクはキラキラとした目でルトを見ている。
「はあっ!」
-ザシュッ-
ルトは裂帛の気合で以って魔物を両断した。
「ルト凄ーい!」
「ミルクにカッコイイ所を見せられて良かったです…」
ミルクの賞賛にルトは安堵の溜め息を付き、その言葉にミルクが頬を染める。


「……あ、この牛は食べられるね」
「そうなんだ。時間も丁度良いし、お昼ご飯にしようか」
「そうだね」


「あれ、そういえば」
「なに?」
「その牛、ミルクが食べたら共食いにならない?」
「わたしはヒトであっちは魔物。一緒にしないでよ、もう」
「ご、ごめん」


***
「あ、あれ…」
「ん?って、あれ?」
「「進めない……」」
「うーん。透明な壁で先に進めなくなってるみたいだね」
「そっかー…。あの先にお宝っぽいのも見えるのに、行けないのかー……」
「少なくとも僕達が突破は無理だ」
「残念だねー」
「そうだね。そろそろ帰ろうか。組合にここを報告しなくちゃ」
「うん。帰ろう」


2人は日の光を浴びながら、仲良く手を恋人繋ぎにして家に帰りましたとさ。


おしまい。

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