シルバーブラスト Rewrite Edition
0-5 新天地と別れ 3
二人ともシャワーを浴びて落ちついた頃、ようやく落ちついて話すことが出来た。
ちなみにお腹も空いていたので、腹ごしらえを先に済ませた。
マティルダもトリスも料理などは出来ないし、外部の人間と関わる訳にもいかないので出前を取ることも出来なかったが、レヴィアースはそこも予め予想していたらしく、準備万端だった。
冷凍庫の中に保管されていたレトルト食品達は、電子レンジで温めるだけで美味しく食べられるものばかりだった。
それぞれで好きなものを食べて、そして冷蔵庫の中に入っていた飲み物も沢山飲んだ。
「ふう~。こんな美味しいもの、初めて食べたよ」
「うん。美味しかった」
二人とも満足そうに笑っている。
命の危険が通り過ぎると、ようやく安心出来たのだ。
ただのレトルト食品だったが、物心ついた頃からまともな食事をしたことがなかった二人にとっては、最高の食事だった。
いつもは堅くてパサパサしたパンや、冷め切ったスープなどを食べていたのだ。
戦う為の最低限の栄養を摂取させる為のビタミン剤なども一緒に飲んでいたが、それでも満足のいく食事というのは、記憶にある限りでは初めての経験と言えた。
「あとはレヴィアースさんが来るのを待てばいいんだよな?」
「うん。明日には来ると思うけど」
「……マティルダ」
「?」
「その、レヴィアースさんのことなんだけど、本当にこのまま信じていいと思うか?」
「いいんじゃないか?」
「……あっさりしているんだな」
「だって、疑う理由が無い」
「無いのか?」
「だって、レヴィアースが居なかったら、私達はジークスを抜け出すことなんて出来なかっただろうし、間違いなくあのまま死んでいたと思う。トリスのことも助けられなかった」
「……それはそうだけど」
確かにその通りではある。
しかしそれを承知の上で最低限疑って警戒するのが、今後の自分達の身を守ることに繋がるのではないかと思うのだ。
ありのままを信じるには、トリスはレヴィアースのことを知らなさすぎる。
「レヴィアースのお陰で助かったことは事実だし、こうして美味しい食事にもありつけた。人並み……みたいな生活を出来てると思う。まだ、始めたばかりだけど」
「……そうだね」
「だから、疑うよりも信じた方がいいと思うんだ」
「もしも、裏切られたら?」
「その時に考える」
「いいのか? それで」
「だって、私達は無力だから」
「………………」
「どこかで、誰かを信じないと、きっと何も出来ない。今の私達はレヴィアースの手を借りないと、これからどうしていいのかさえ分からないんだから。だったら、信じるしかないじゃないか」
「それもそうか」
「そうだよ。だから私はレヴィアースを信じる。裏切られるとは思わないけど、その時はその時でどうするかを考えればいいんだよ」
どうするか考えればいいと言いながら、そうなる可能性については微塵も考えていないようだ。
心からレヴィアースを信じているのだろう。
それがマティルダの直感なのだろう。
トリスも本心ではレヴィアースを信じている。
彼の態度、表情、そして言葉。
心が見えやすい人だったと思う。
何を考えているのかが、とても分かりやすい。
きっと素直な性格なのだろうと思った。
こちらを騙すよりも、こちらを助けたいという気持ちの方が透けて見えたぐらいだ。
「うん。そうだな。まずは信じないと始まらないよな」
「そうだよ」
パタパタと揺れるマティルダの尻尾。
どうやらレヴィアースのことを考えるだけで嬉しいようだ。
こんな穏やかで嬉しそうなマティルダは初めて見る。
新鮮ではあるけれど、なんだか複雑な気持ちになった。
どうしてそんな気持ちになるのか、トリスには分からない。
だけどもやもやした気持ちはなんだか不快で、マティルダからそっと視線を逸らしてしまうのだった。
「?」
そんなトリスを見てマティルダが首を傾げるが、細かいことは追求されなかった。
ちなみにお腹も空いていたので、腹ごしらえを先に済ませた。
マティルダもトリスも料理などは出来ないし、外部の人間と関わる訳にもいかないので出前を取ることも出来なかったが、レヴィアースはそこも予め予想していたらしく、準備万端だった。
冷凍庫の中に保管されていたレトルト食品達は、電子レンジで温めるだけで美味しく食べられるものばかりだった。
それぞれで好きなものを食べて、そして冷蔵庫の中に入っていた飲み物も沢山飲んだ。
「ふう~。こんな美味しいもの、初めて食べたよ」
「うん。美味しかった」
二人とも満足そうに笑っている。
命の危険が通り過ぎると、ようやく安心出来たのだ。
ただのレトルト食品だったが、物心ついた頃からまともな食事をしたことがなかった二人にとっては、最高の食事だった。
いつもは堅くてパサパサしたパンや、冷め切ったスープなどを食べていたのだ。
戦う為の最低限の栄養を摂取させる為のビタミン剤なども一緒に飲んでいたが、それでも満足のいく食事というのは、記憶にある限りでは初めての経験と言えた。
「あとはレヴィアースさんが来るのを待てばいいんだよな?」
「うん。明日には来ると思うけど」
「……マティルダ」
「?」
「その、レヴィアースさんのことなんだけど、本当にこのまま信じていいと思うか?」
「いいんじゃないか?」
「……あっさりしているんだな」
「だって、疑う理由が無い」
「無いのか?」
「だって、レヴィアースが居なかったら、私達はジークスを抜け出すことなんて出来なかっただろうし、間違いなくあのまま死んでいたと思う。トリスのことも助けられなかった」
「……それはそうだけど」
確かにその通りではある。
しかしそれを承知の上で最低限疑って警戒するのが、今後の自分達の身を守ることに繋がるのではないかと思うのだ。
ありのままを信じるには、トリスはレヴィアースのことを知らなさすぎる。
「レヴィアースのお陰で助かったことは事実だし、こうして美味しい食事にもありつけた。人並み……みたいな生活を出来てると思う。まだ、始めたばかりだけど」
「……そうだね」
「だから、疑うよりも信じた方がいいと思うんだ」
「もしも、裏切られたら?」
「その時に考える」
「いいのか? それで」
「だって、私達は無力だから」
「………………」
「どこかで、誰かを信じないと、きっと何も出来ない。今の私達はレヴィアースの手を借りないと、これからどうしていいのかさえ分からないんだから。だったら、信じるしかないじゃないか」
「それもそうか」
「そうだよ。だから私はレヴィアースを信じる。裏切られるとは思わないけど、その時はその時でどうするかを考えればいいんだよ」
どうするか考えればいいと言いながら、そうなる可能性については微塵も考えていないようだ。
心からレヴィアースを信じているのだろう。
それがマティルダの直感なのだろう。
トリスも本心ではレヴィアースを信じている。
彼の態度、表情、そして言葉。
心が見えやすい人だったと思う。
何を考えているのかが、とても分かりやすい。
きっと素直な性格なのだろうと思った。
こちらを騙すよりも、こちらを助けたいという気持ちの方が透けて見えたぐらいだ。
「うん。そうだな。まずは信じないと始まらないよな」
「そうだよ」
パタパタと揺れるマティルダの尻尾。
どうやらレヴィアースのことを考えるだけで嬉しいようだ。
こんな穏やかで嬉しそうなマティルダは初めて見る。
新鮮ではあるけれど、なんだか複雑な気持ちになった。
どうしてそんな気持ちになるのか、トリスには分からない。
だけどもやもやした気持ちはなんだか不快で、マティルダからそっと視線を逸らしてしまうのだった。
「?」
そんなトリスを見てマティルダが首を傾げるが、細かいことは追求されなかった。
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