朝起きたら妹が魔王になってました
EX1「ラブバトル!」
ネグラフィリアに向かうことが決定したが、この国のルールでクエストをクリアしないといけないらしい。いまいちピンとこないし、何のためにあるのかわからないルールだが、決まりには従わないといけない。
「ティナさーん、クエスト受けに来ましたー」
「あ、こんにちは弓形さん」
いつも通り冒険者たちで賑わっているギルドで、いつもお世話になっている受付嬢に声をかける。
「この国から出たいんですけど、おすすめのクエストってあります?クエストボード見ても何が何だかさっぱりで」
「ふむふむ……そうですね~こんなのどうでしょう」
【飛竜の卵納品】
(あっ、見たことある)
「こちらのクエストは飛竜ラフロイグの卵を納品するクエストです。今の季節にちょうど卵を産むんです。旬の高難度クエストですよ」
「なるほど、じゃあそれでお願いします」
「契約金は一万リシアになります」
「高くないっすか」
「高難度クエストになると腕利きのお金持ち冒険者しか受けませんし」
なるほど、冒険者ギルドもなかなかに商売上手なんだな。
「あ、それとひとつ聞きたいんですけど、なんでこの国から出るためにクエストこなさなきゃいけないんですか?」
「そんなことも分からないんですか? レイフィリカだけが多種族国家だからですよ」
「と、いいますと?」
「つまり、ほかの国では原則他種族の入国は禁止されていますし、なにより危険だからです。ただの人間が獣人や悪魔に勝てると思いますか?」
なるほど、未熟な冒険者を失わないための措置ってことか。クエストをこなす冒険者が減るのはギルドとしても大きな損失になるし。
「でも、クエストをこなして立派な冒険者になれば大丈夫なんでしょ?」
「このギルド公認の徽章を身に着けていればどの国へでも入国することができます」
「分かりました。じゃあこれで」
「女神リシアのご加護がありますように~」
さて目的地はっと……
【飛竜の谷】
わかりやすいネーミングだな。報酬金は二万リシアか……しょっぱいな。
「おまえらー行くぞーってあれ?」
遠くの方でナンパされている鍵乃が見えた。まずい。
「おい! そこの兄ちゃん、離れろ死ぬぞ!!」
「なぁ、いいだろ? お嬢ちゃん……フヘヘ……ん?」
思いっきりナンパ男にタックルをかます。危ないところだった、ほっといたら鍵乃かミクにやられていたかもしれない。
「なんなんだよぉ……」
ナンパ男はそそくさと逃げて行った。人助けっていいもんだな。
「おい、クソ兄貴。なにか私に言わなきゃいけないことがあるんじゃないのか?」
「ミクも同感なのです」
「なになに? どしたの?」
「鍵乃ちゃんが怖いです。何その言葉遣い、背筋凍りそう」
「ナンパされてる私より、ナンパしてる人を心配するなんて……」
「あ、嫉妬? かわいいなぁ、まったく」
「あぁん?」
「誠に申し訳ありませんでした」
ひとしきり茶番を終えたところで皆にクエストの説明をする。
「へー、飛竜さんってどんな感じなんだろ」
「飛竜ラフロイグは炎と風を操る神龍なのです。アドラヌスのペットなのです。面白いのが卵から生まれるのが竜とは限らないところなのです」
「なにそのガチャドラ。あとアドラヌスって誰?」
「炎の神なのです。あと一度ユミスにフられているのです。あれ? 二度でしたっけ?」
「そういうことは言わなくてもいいでしょ。まったく。あの人は炎の神だから一緒にいると燃えちゃって……」
「そこまで聞いてないけど、説明ご苦労様」
「あっ……///」
自分で気づかなかったのか、可愛い。まぁ、植物と炎じゃ相性悪いだろうな、かわいそうに。
「じゃ、さっさと行くか。モ〇ハンじゃ、そんなに難しくないし大したことないだろ」
「れっつごー、なのです」
竜車に乗って飛竜の谷に向かう。道中に目立った障害も無く、すんなりと進んだ。
「なんだあれ……」
「「「おーっ」」」
目の前にはメラメラと立ち上る炎の竜巻があった。
「無理だ。リタイアしよう」
「早くいこ、お兄ちゃん」
「なかなかに絶景なのです」
「あつい……燃える……」
こんなの無理じゃねーか。どうやって谷底に下りればいいのか皆目見当もつかない。しかもめちゃくちゃ熱い。暑いじゃなくて熱い。
「分かったから引っ張るのやめろ。服がちぎれそう」
「はーっはっはっ!!!! ようこそ飛竜の谷へ!!! 我が名はアドラヌス!!! 卵はやらんわっ!!!!」
「ヤラセか何かですか?」
めちゃめちゃうさん臭くて暑苦しい火だるま男が渦の中から出てきた。アドラヌスって誰だっけなんか聞いたことあるような……
「ヤラセちゃうわ!!!! はっ!!! ユミスさん!!!! なんで下界にいるんですか!!!!」
「あっ!!! 思い出した!!! ユミスにフラれた人だ!!!」
「やかましいわっ!!! なんだお前、ユミスさんに馴れ馴れしいな」
「ユミスは俺の嫁、になりかけた人だ」
「お前もフラれてんじゃねーか!!!!」
「いや、俺がフッたの」
「あたしフラれてたの!?」
「いや、好きだよ」
「えへへ……」
バカップルみたいな会話をしていると、途端に炎の勢いが増し、アドラヌスの体が深紅に染まる。
「許せん……俺よりこんなヒョロヒョロクソもやしを選ぶだなんて……」
「おい、落ち着けって! 熱い熱い!」
「かかってこいクソガキ……お前が勝ったら卵をやろう。そして……」
「そして?」
「俺が勝ったらユミスさんを貰う!!!!!」
「ティナさーん、クエスト受けに来ましたー」
「あ、こんにちは弓形さん」
いつも通り冒険者たちで賑わっているギルドで、いつもお世話になっている受付嬢に声をかける。
「この国から出たいんですけど、おすすめのクエストってあります?クエストボード見ても何が何だかさっぱりで」
「ふむふむ……そうですね~こんなのどうでしょう」
【飛竜の卵納品】
(あっ、見たことある)
「こちらのクエストは飛竜ラフロイグの卵を納品するクエストです。今の季節にちょうど卵を産むんです。旬の高難度クエストですよ」
「なるほど、じゃあそれでお願いします」
「契約金は一万リシアになります」
「高くないっすか」
「高難度クエストになると腕利きのお金持ち冒険者しか受けませんし」
なるほど、冒険者ギルドもなかなかに商売上手なんだな。
「あ、それとひとつ聞きたいんですけど、なんでこの国から出るためにクエストこなさなきゃいけないんですか?」
「そんなことも分からないんですか? レイフィリカだけが多種族国家だからですよ」
「と、いいますと?」
「つまり、ほかの国では原則他種族の入国は禁止されていますし、なにより危険だからです。ただの人間が獣人や悪魔に勝てると思いますか?」
なるほど、未熟な冒険者を失わないための措置ってことか。クエストをこなす冒険者が減るのはギルドとしても大きな損失になるし。
「でも、クエストをこなして立派な冒険者になれば大丈夫なんでしょ?」
「このギルド公認の徽章を身に着けていればどの国へでも入国することができます」
「分かりました。じゃあこれで」
「女神リシアのご加護がありますように~」
さて目的地はっと……
【飛竜の谷】
わかりやすいネーミングだな。報酬金は二万リシアか……しょっぱいな。
「おまえらー行くぞーってあれ?」
遠くの方でナンパされている鍵乃が見えた。まずい。
「おい! そこの兄ちゃん、離れろ死ぬぞ!!」
「なぁ、いいだろ? お嬢ちゃん……フヘヘ……ん?」
思いっきりナンパ男にタックルをかます。危ないところだった、ほっといたら鍵乃かミクにやられていたかもしれない。
「なんなんだよぉ……」
ナンパ男はそそくさと逃げて行った。人助けっていいもんだな。
「おい、クソ兄貴。なにか私に言わなきゃいけないことがあるんじゃないのか?」
「ミクも同感なのです」
「なになに? どしたの?」
「鍵乃ちゃんが怖いです。何その言葉遣い、背筋凍りそう」
「ナンパされてる私より、ナンパしてる人を心配するなんて……」
「あ、嫉妬? かわいいなぁ、まったく」
「あぁん?」
「誠に申し訳ありませんでした」
ひとしきり茶番を終えたところで皆にクエストの説明をする。
「へー、飛竜さんってどんな感じなんだろ」
「飛竜ラフロイグは炎と風を操る神龍なのです。アドラヌスのペットなのです。面白いのが卵から生まれるのが竜とは限らないところなのです」
「なにそのガチャドラ。あとアドラヌスって誰?」
「炎の神なのです。あと一度ユミスにフられているのです。あれ? 二度でしたっけ?」
「そういうことは言わなくてもいいでしょ。まったく。あの人は炎の神だから一緒にいると燃えちゃって……」
「そこまで聞いてないけど、説明ご苦労様」
「あっ……///」
自分で気づかなかったのか、可愛い。まぁ、植物と炎じゃ相性悪いだろうな、かわいそうに。
「じゃ、さっさと行くか。モ〇ハンじゃ、そんなに難しくないし大したことないだろ」
「れっつごー、なのです」
竜車に乗って飛竜の谷に向かう。道中に目立った障害も無く、すんなりと進んだ。
「なんだあれ……」
「「「おーっ」」」
目の前にはメラメラと立ち上る炎の竜巻があった。
「無理だ。リタイアしよう」
「早くいこ、お兄ちゃん」
「なかなかに絶景なのです」
「あつい……燃える……」
こんなの無理じゃねーか。どうやって谷底に下りればいいのか皆目見当もつかない。しかもめちゃくちゃ熱い。暑いじゃなくて熱い。
「分かったから引っ張るのやめろ。服がちぎれそう」
「はーっはっはっ!!!! ようこそ飛竜の谷へ!!! 我が名はアドラヌス!!! 卵はやらんわっ!!!!」
「ヤラセか何かですか?」
めちゃめちゃうさん臭くて暑苦しい火だるま男が渦の中から出てきた。アドラヌスって誰だっけなんか聞いたことあるような……
「ヤラセちゃうわ!!!! はっ!!! ユミスさん!!!! なんで下界にいるんですか!!!!」
「あっ!!! 思い出した!!! ユミスにフラれた人だ!!!」
「やかましいわっ!!! なんだお前、ユミスさんに馴れ馴れしいな」
「ユミスは俺の嫁、になりかけた人だ」
「お前もフラれてんじゃねーか!!!!」
「いや、俺がフッたの」
「あたしフラれてたの!?」
「いや、好きだよ」
「えへへ……」
バカップルみたいな会話をしていると、途端に炎の勢いが増し、アドラヌスの体が深紅に染まる。
「許せん……俺よりこんなヒョロヒョロクソもやしを選ぶだなんて……」
「おい、落ち着けって! 熱い熱い!」
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「そして?」
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