朝起きたら妹が魔王になってました
第24話「アリセルトラ武具店」
祭りの夜は明け、俺たちは冒険者ギルドに向かう準備を進めていた。
「ユミスは防具とか持ってるのか?」
「持ってないよ」
やはり買わねばならないらしい。そういえばミクも持っていなかったはずだ。王都で色々と買っていく必要がありそうだな。
「鍵乃ー、準備できたかー?」
「うん、大丈夫だよ!」
「それじゃ、王都まで出発だ」
幸い、村の祭りに来るための観光用の竜車が手配されていたのでこれに乗って王都まで向かうことにする。
「うーむ……そもそも本当にクエストを消化しないと国から出られないのだろうか」
「シャスなんとかさんも言ってたし、本当なんじゃない?」
そもそも腕の立つ冒険者じゃないと国から出られないというルールはあるのだろうか、少々不自然な点があるようにも思える。
当然国家間の繋がりや輸出入など交易は行われているだろうし、このルールが存在するならば商人なども腕利きの冒険者ということになる。
「というかこの国に今、国王はいないんじゃないか……?」
俺たちを互いに殺し合わせるという使命を果たせなかった城内の人々全てはこの世界の掟に基づいて、皆消滅した。つまり、国王はおろか城には現在誰一人いないことになる。
「これって結構まずいんじゃねーの」
「さっきから独り言多いのですよ」
「あ、すまん」
いずれ確かめてみる必要がありそうだな。
「ユミスはどんな魔法が使えるんだ?」
「治癒魔法なら……ほとんど使えるかな。あとは、結界もちょっとくらいなら創れるよ」
「意外と頼もしいんだな」
「意外とは失礼な、これでも立派な神様なんだからね!?」
はいはい、と適当に流していたら王都に到着したようだ。
「じゃあまず装備からだな……ん?」
何故か、目を奪われた。オッドアイの黒猫が誘うようにこちらを見ている。何か着いて行かなければいけないような気がした。
「みんな、着いてきてくれ」
「突然どうしたの?」 
黒猫は路地裏を歩き続けた、時々こちらの方を向き、着いてきているか確認しながら。
「ここは……」
【アリセルトラ武具店】
黒猫に案内されて着いたのは小さな武具店だった。タイムリーな出来事に思わず言葉を失う。
「とりあえず入ってみるか」
扉を開けるとゴチャゴチャした店内が広がり、店員らしい人はいなかった。
「いらっしゃいませ」
「ん? ミクなんか言ったか?」
「言ってないのですよ」
「いらっしゃいませ!」
「ユミス?」
「しゃべってないよ!!!」
「あーあー、ごほん、いらっしゃいませ!!!」
「鍵乃だったのか、冗談もいいかげんに…」
突然視界が揺らいだ、頭を叩かれ、振り向くと瞳の色が左右で違う女の子がいた。
「いらっしゃいませ。四回目だぞ、燈矢」
「君はもしかしてさっきの猫? ってかなんで俺の名前知ってんだよ!」
「後ろの人達は知らないけどね、ボクはずっと昔から君のことを知っているよ」
「何言って……」
「また会えたね、初めまして、ボクはアリセルトラ。君の親友さ」
「お兄ちゃんってロリコンだったんだね」
「こんなちっちゃい子と知り合いだなんて……」
「ド変態なのです」
「待て待て! 俺はコイツなんて知らないぞ! 何言ってんだお前」
アリセルトラと名乗る自称俺の親友で見た目小学生の猫になれる女の子が現れるという完全に脳みそキャパオーバー状態のこの状況。訳が分からない。
「まぁ、その辺に座ってよ」
「友達の家かっ!」
「だから、友達だってば」
「俺はお前のこと知らないの」
「うん、知ってる」
「今の燈矢はちょうど百回目の燈矢だからね」
もう意味が分からなすぎて頭が爆発しそうだ。早く終わってくれ。
「君が鍵乃ちゃんだね、いきなりで悪いんだけど身体触っていいかな」
「ふぇっ!?」
有無を言わせず鍵乃の全身をまさぐるアリセルトラ。うーん、エロい。
「君たちも!」
「「ふえぇぇぇ……」」
ミクとユミスも全身を蹂躙された。あ、ヤバイ鼻血出そう。
「ふむふむ、こんなものか。じゃあ燈矢、ギルドに用があるんでしょ、用を済ませたらまたおいでよ。いいものあげるから」
「意味分からん……」
突然現れた黒猫を追いかけてしまったのは、彼女が親友だからなのだろうか。
「ユミスは防具とか持ってるのか?」
「持ってないよ」
やはり買わねばならないらしい。そういえばミクも持っていなかったはずだ。王都で色々と買っていく必要がありそうだな。
「鍵乃ー、準備できたかー?」
「うん、大丈夫だよ!」
「それじゃ、王都まで出発だ」
幸い、村の祭りに来るための観光用の竜車が手配されていたのでこれに乗って王都まで向かうことにする。
「うーむ……そもそも本当にクエストを消化しないと国から出られないのだろうか」
「シャスなんとかさんも言ってたし、本当なんじゃない?」
そもそも腕の立つ冒険者じゃないと国から出られないというルールはあるのだろうか、少々不自然な点があるようにも思える。
当然国家間の繋がりや輸出入など交易は行われているだろうし、このルールが存在するならば商人なども腕利きの冒険者ということになる。
「というかこの国に今、国王はいないんじゃないか……?」
俺たちを互いに殺し合わせるという使命を果たせなかった城内の人々全てはこの世界の掟に基づいて、皆消滅した。つまり、国王はおろか城には現在誰一人いないことになる。
「これって結構まずいんじゃねーの」
「さっきから独り言多いのですよ」
「あ、すまん」
いずれ確かめてみる必要がありそうだな。
「ユミスはどんな魔法が使えるんだ?」
「治癒魔法なら……ほとんど使えるかな。あとは、結界もちょっとくらいなら創れるよ」
「意外と頼もしいんだな」
「意外とは失礼な、これでも立派な神様なんだからね!?」
はいはい、と適当に流していたら王都に到着したようだ。
「じゃあまず装備からだな……ん?」
何故か、目を奪われた。オッドアイの黒猫が誘うようにこちらを見ている。何か着いて行かなければいけないような気がした。
「みんな、着いてきてくれ」
「突然どうしたの?」 
黒猫は路地裏を歩き続けた、時々こちらの方を向き、着いてきているか確認しながら。
「ここは……」
【アリセルトラ武具店】
黒猫に案内されて着いたのは小さな武具店だった。タイムリーな出来事に思わず言葉を失う。
「とりあえず入ってみるか」
扉を開けるとゴチャゴチャした店内が広がり、店員らしい人はいなかった。
「いらっしゃいませ」
「ん? ミクなんか言ったか?」
「言ってないのですよ」
「いらっしゃいませ!」
「ユミス?」
「しゃべってないよ!!!」
「あーあー、ごほん、いらっしゃいませ!!!」
「鍵乃だったのか、冗談もいいかげんに…」
突然視界が揺らいだ、頭を叩かれ、振り向くと瞳の色が左右で違う女の子がいた。
「いらっしゃいませ。四回目だぞ、燈矢」
「君はもしかしてさっきの猫? ってかなんで俺の名前知ってんだよ!」
「後ろの人達は知らないけどね、ボクはずっと昔から君のことを知っているよ」
「何言って……」
「また会えたね、初めまして、ボクはアリセルトラ。君の親友さ」
「お兄ちゃんってロリコンだったんだね」
「こんなちっちゃい子と知り合いだなんて……」
「ド変態なのです」
「待て待て! 俺はコイツなんて知らないぞ! 何言ってんだお前」
アリセルトラと名乗る自称俺の親友で見た目小学生の猫になれる女の子が現れるという完全に脳みそキャパオーバー状態のこの状況。訳が分からない。
「まぁ、その辺に座ってよ」
「友達の家かっ!」
「だから、友達だってば」
「俺はお前のこと知らないの」
「うん、知ってる」
「今の燈矢はちょうど百回目の燈矢だからね」
もう意味が分からなすぎて頭が爆発しそうだ。早く終わってくれ。
「君が鍵乃ちゃんだね、いきなりで悪いんだけど身体触っていいかな」
「ふぇっ!?」
有無を言わせず鍵乃の全身をまさぐるアリセルトラ。うーん、エロい。
「君たちも!」
「「ふえぇぇぇ……」」
ミクとユミスも全身を蹂躙された。あ、ヤバイ鼻血出そう。
「ふむふむ、こんなものか。じゃあ燈矢、ギルドに用があるんでしょ、用を済ませたらまたおいでよ。いいものあげるから」
「意味分からん……」
突然現れた黒猫を追いかけてしまったのは、彼女が親友だからなのだろうか。
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