ゼロから始める異世界救済

ゲーマー黒の剣士

10話 大切な仲間達

                           ー数分後ー

シェレールの部屋から出た俺は、書庫で本を借りてから自室に戻り色々な本を読み漁っていた。
「ふぅ……見事なまでに読めんな」
それもそのはず、この世界の言葉を習ってないのだから当たり前だ。
「さて、そろそろ寝るかな…」
本ばかり読んでいたせいか、異様に眠くなってきたので、大人しく寝ることにした。
そして、俺が寝る準備をしていると…

コンコン
「…?」
扉をノックする音が聞こえた。
(こんな時間に、一体誰だ?)
「和人…まだ起きてる…?」
「美琴?こんな時間になんの用だ」
「話があるの。恵も一緒に来てるんだけど…」
「…はぁ、分かった。入っていいぞ」
俺が承諾したあと、雪篠と美琴が入ってきた。
「それで?話ってなんだ?」
「…シェレールの部屋での話なんだけど…シェレールが言ってたことって、あんたの過去のことよね?話したの?」
「少しだけな」
「そう…あのね、和人が部屋を出てったあと、シェレールから色々聞いたのよ」
「聞いたって、何を?」
「あんたと二人で話してた事全部よ」
(『全部』と言うことは、洗いざらい全部話したってことか)
「…そうか。それで?」
「『それで?』って…申し訳ないとは思わないの?可哀想じゃない…それに、あんただって辛いんじゃ…」
「フッ……俺も、ずいぶんとお人好しになっちまったな…。本当なら、シェレールの計画なんて耳も貸さずに、お前らと一緒にこの城から脱出するはずだったんだがな…俺にもまだ、諦めてきれない所があるんだろうな」
「和人…」
美琴が辛そうな目で俺を見ている。
「シェレールには…悪いと思ってる。でも、時には現実を見せてやらなきゃいけない時だってある。あぁゆう奴は、放っておくと自滅するからな。今の内に言っておいた方がましなんだよ」
「…和人君は、本当に優しいね」
今まで俺達の会話を聞いていた雪篠が、少し悲しそうな声で呟いた。
「…優しい…か。どうなんだろうな…俺にもよく分からん」
「フフッ…確かに、和人君は自覚なさそうだよね。でも私は、その優しさに助けられたんだよ。私は、和人君の優しさに救われたの」
「……言いたいことはそれだけか?」
「フフッ…もしかして照れてる?」
雪篠が笑いながら俺に問いかけてきた。
「……照れてない」
「本当に?」
「本当だ…。で?他にも用事があるんじゃないのか?」
「もう…確かに、他にも用事があるよ 。そうだよね、美琴ちゃん」
「えぇ。和人、召喚された時に話してたこと、覚えてるわよね?」
「あぁ。これからどうするかってことだろ?」
どうやら2人は、これからの事について話をしに来たらしい。
「えぇそうよ。それで?結局どうするの?」
「そうだな…あの時にも言ってたが、とりあえずは様子見だろうな。向こうが何をしてくるかわからない以上、下手に動くのは得策じゃない。今は、大人しくしておくのが正解だろうな」
「そう…分かったわ。明日シェレールにも伝えておくわね」
「あぁ、ありがとう。さて…そろそろ消灯の時間じゃないか?」
「あ…ほんとだ。部屋に戻らないと…」
「そうだね。それじゃあ、私達は自分の部屋に戻るね。おやすみ、和人君」
「あぁ、おやすみ」
こうやって、俺達は異世界での初めての夜を過ごすことになるのだった…







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