楽しむ異世界生活

フーミン

19話 ガードが薄い

 次の日の朝、ソルを起こさないように制服と下着を脱いで、持ってきた衣服に着替える。
 下着を付けるのも慣れたものだ。最近は胸も少しずつ膨らんできているが、未だ貧乳だ。
 自分の下半身を見るのにも抵抗はなくなった。
 着替えた服は、極普通の白いショートパンツにブカブカの白い服。素材はよく分からない。
 脱いだ衣服は水の中に放り込んで、ローブを着てソルが起きるのを待つだけだ。


「僕が起こそうか?」
「いや、ソル君は疲れてるだろうからゆっくり寝せてた方が良いよ」


 ソルはスースーと寝息を無てながら、ときどき寝言を言いながら寝ている。
 起きてくるまで暇だったから、ずっと寝顔を間近で見ていたのだが。


「うわぁっ!!」


 ソルが目を覚まして、目の前の俺にビックリして頭をぶつけた。


「いたたたた……おはよう」
「お、おはよう。もう着替えてたんだね」
「結構早く起きたからな。ソルも早く着替えよう」


俺は自分のベッドに座って、ソルが着替え始めるのを待った。
 ソルが自分の着替えを手に持つと、動かが止まった。


「あの……見られてると恥ずかしいんだけど」
「え? ああ、ごめんごめん。別の方向いてるね」


できればこのまま見ていたかったのだが、俺は仕方なく壁の方に、体育座りをしながら向いていた。
 ソルの着替えも終わり、早速俺とソルはデート場所の屋上へとやってきた。
 剣は念の為持ってきている。
 屋上には木製のイスが並んであって、外の景色を眺めることができる。


「天気悪いね……」
「そうだね」


あいにく今日の天気は曇り。灰色の空に暗い景色が合わさり、とてもデートとは言えない。
 しばらくイスに座って外の森の景色を眺めていると、ソルが俺との距離を縮めてきた。


「ね、ねぇレムちゃん」
「何?」
「僕達って付き合ってるんだよね……?」


まあそういう事になっちゃったわな。俺も断れなかったし。


「その……さ。恋人みたいな事しない?」
「手を繋ぐとか?」
「うん……それもあるんだけど……。ちょっと目瞑ってくれる?」


俺は言われた通り目を瞑った。何が始まるというのだろうか。
 待っていると、俺の唇に柔らかい何かが当たった。
 ビックリして目を開けると、顔を真っ赤にしたソルが目の前にいた。


「え……。いまのってキス?」
「うん……」


俺のファーストキスはソルに奪われたようだ。
 前世でもキスをしたことがなかった俺は、顔が熱くなっているのを感じる。
 少しガードが薄すぎたようだな。


「えっと。レムちゃん…可愛い…よ」
「え、あ、ありがとう」
「おいお〜い! なんだそこの2人。俺が屋上で一服してたらイチャイチャしやがって〜」
「なっ! アキヒトお前いたのかよ!!」


なんて野郎だ。俺とソルはアキヒトの存在に気づかなかった。
 もしかしてアキヒトの能力って他にもあるのでは?


「なんだなんだ? 二人とも付き合ってんのか?」
「付き合ってるというか……結果的にそうなったって訳で、別にソルが可愛いからって理由じゃないからね?」


アキヒトは唯一、俺の中身が男だという事を知っている。
 そこらへんは、しっかりフォローしてくれるだろう。


「そうだな。どっちかというとソルナントが積極的に攻めてるように見える。
 レム、お前は女なんだから男は敵だと思え。いつ襲われるか分からないぞ」


ご最もです。
 女ということをしっかり自覚しないとな。

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