楽しむ異世界生活

フーミン

14話 ソルナントの悩み

 まさかこんな所で再開するとは思いもしなかったな。
 できれば美少女が良かったけど、仕方ないか。


「えっと、レムさんだっけ。僕の事はソルって呼んで」
「よろしくソル。ソルも最近この学園に?」
「うん。親が無理矢理ね……はは」


以前と違って、随分と明るくなったな。
 というより、俺を見た瞬間明るくなったようだ。


「それにしても奇遇だね」
「そう……だね」


ソルはニコッと笑って、立ち上がろうとする。
 しかし立ち上がったと思いきや、フラッと倒れてしまった。


「ちょっ!大丈夫!?」
「う、うん。いきなり頑張りすぎたみたい……」


どうやらさっきまでは無理して明るくなっていたようだ。


「全く、無理しなくて良いからね?」
「ごめん……」


ソルをベッドに寝せて、その横に座った。
 ネロは頭の上で丸まっている。


『レム様、1つよろしいですか?』
『ん? どうした?』
『ソルナントって人、どうやら魔眼以外にも能力を使っていたようです』


魔眼以外に?
 特に異常は感じないが、何を使っているというのだろうか。


『どうやら、運命を操る能力を持っているようですね。
 レム様をこの部屋に招いた。もしくはこの学園まで導いたのはソルナント君かも知れません』


運命を操るって、凄いな。
 どんな魔力の操り方をしたらそんな事ができるのやら。
 ソル君の方を見ると、まだ体調が悪そうにしている。


「ねぇソル君。僕に何か出来る事があればするよ?」
「い、いいの?」
「何か困ってる様子だし、運命を操ってまで僕に用があるなら気になるしね」
「どうしてそこまで分かっちゃうかなぁ……。あはは」


ソルは苦笑しながら起き上がり、真剣な目つきに変わる。
 少しすると、顔を赤らめて目を逸らす。


「で、できれば僕と付き合ってくれないかな……。
 も、勿論一時的にでも良いからさ!」
「理由は?」
「実は……」


話を聞くと、この学園の他の生徒にいじめられているらしい。
 そして彼女を作ることができたらイジメない。
 そういう事を言われたらしい。


「僕、魔眼のせいで人から嫌われるんだよね。
 でもレムさんは かっこいい って言ってくれた。
 あの時僕は正直、すごく嬉しかったんだ。もし彼女にするならレムさんが良いって思って……。
 無理ですよね……」


ん〜……。目的はイジメを無くすためでしょ?
 とりあえず彼女さえ作ればイジメがなくなるなら、俺は協力できるけど。
 果たしてそのイジメっ子達は本当にイジメをやめるだろうか。


「う〜ん……。イジメを無くすのは難しいと思う」
「ですよね……」
「でも。僕がソル君を守ってあげるくらいならできるよ」


俺がそういうと、ソルの表情が明るくなり、真っ白な目が見開かれる。


「ほっ、ほんと!? ありがとう!!」


ソルは俺の手を握って喜んでいる。
 すると、部屋のドアがノックされた。


「どうぞ〜?」
「失礼するよ〜。君が新入生のレムさんかな?」
「ええ、そうですけど」
「よしよし間違えてなかった」


先輩らしき髪の長い男性は、ガッツポーズして1人で盛り上がっている。
 そういえば職員の人が後から先輩が来るって言ってたし、この人だろう。


「学園内を案内しにきたんだけど、今から行くかな?」
「はい大丈夫です、行きます。ソルはどうしてる?」
「あ、えっと。一応僕も暇なので行きたいです」
「それじゃあ、二人ともおいで」


俺達は、まず学園内を案内してもらう事にした。
 


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