魔王LIFE

フーミン

48話 大規模転移

いつものように、することの無い俺はミシェルが持ってきた鏡を調べている。
ㅤ魔力を持っている事以外は普通の鏡だ。俺の美しい顔が綺麗に写る。特に問題は無さそうだが、魔力を持つという事は絶対に何かがある。


「生きてる……とか?」


そう思って、指でコンコンと叩いてみるが反応はない。
ㅤま、こんな物が生きてたらビックリして心臓止まるわな。


ㅤとりあえずは、しばらくこの鏡を日用品として使っていこう。いつか何かが分かる日が来る。


ㅤ俺は鏡をコートの内ポケットに入れて、皆が働いてる場所へと転移した。


ーーーーー


「お、進んでるね〜」


毎日働いてくれるお陰で、かなり街らしくなってきた。


「あ、王女様」


俺の事が大好きな女性集団。ファンクラブとでも呼ぼうか。そいつらが早速話しかけてきた。


「どう? 何も問題はない?」
「はい。順調に進んでいってます」
「順調過ぎて怖いくらいですよ」


確かに。放っておいたらネズミランドくらいの物ができそうな勢いだ。
ㅤ少し皆を休ませた方が良いだろうか。


「体調は大丈夫?」
「お、王女様に心配されるとは……だ、大丈夫です!」
「私も大丈夫です!」


ん〜……全然元気そうだ。こんなに毎日働いてたら疲れも溜まりそうなんだがな。


「王女様は気になさらず、見守っていてください」
「そうですよ!」
「う……わ、分かった。じゃあ何かあったら言ってね」
「「はい!」」


ファンクラブは俺への忠誠が強すぎて……ありゃダメだな。


ピクッ 「んっ?」


なんだ?


ピクッピクッ


内ポケットに入れた鏡が動いてる?
ㅤ取り出してみると、何も異常はない。


「まさか本当に生きて……?」


恐る恐る様子を見てみるが、何も変わった事はない。
ㅤ動きも止まっている。


「王女様〜、どうしたの?」
「あ、チヒロ丁度良いところに。ねぇこの鏡なんだと思う?」


たまたまチヒロが来たので聞いてみる。


「ほら、オークに豚」
「豚? それは王女様が作ったの?」
「ん〜ん、子供が拾ったらしい。魔眼で見ると分かるけど、魔力持ってるんだよね」
「……確かに」


チヒロは魔眼持ち。確かサハルも魔眼を持ってるんだったか?
ㅤ魔眼を持っているのは俺合わせて3人だ。


「物に魔力が……」
「これが何なのか調べてるんだけど……」
「あれ? ルトちゃんとチヒロちゃん。そんなところで鏡見つめあって、ガールズトークか?」


お、フェンディアも来たか。


「そんなところに集まって、仕事はしなくて良いのかい?」


サハルもやってきた。
ㅤなんだ……丁度異世界人が集まったな。
ㅤミソラさんは地上にいるから来れないけどな。


「集まりすぎ……」
「その鏡、不思議だね」
「やっぱりサハルも分かるよね」
「ん? 俺にゃ全然分かんねぇぞ」
「この鏡魔力を持ってるのよ」
「魔力を? ……それが何かあるのか?」
「……はぁ……」


人が集まりすぎて何が何だか分からないな。


「い、一旦落ち着いて……」
「「落ち着いてる」」


落ち着いてないのは俺だけかよ。


「いま、この鏡が何なのか調べてるんだよ。裏面にはオークと、豚。その間に横線」
「ん〜……オークが豚になるとか?」
「魔力吸い取ってみる?」
「割ろうぜ」
「あああぁぁ! そんな一斉に喋らないで!」


俺は聖徳太子じゃねぇんだぞ。
ㅤそれに『割る』っていう選択肢は却下だ。


「とりあえず、魔力を吸い取るのも鏡を割るのもダメ!」
「ん〜……多分だけど、魔道具の一種だと思うわ」


魔道具?


「確かに。魔道具は有り得るね」
「魔道具ってなんだ?」


俺とフェンディアだけ分かってないようだ。悔しい。


「ちょっと貸してくれる?」
「何するの?」


チヒロに鏡を渡す。


「ここで使うのは危ないんじゃないのかい?」
「ただの鏡よ。そんなに危険な物じゃないはず」


何が起きるんだ……?


ㅤ次の瞬間、鏡が発光した。その光はあたり全体を覆った。


「な、何!?」


俺は咄嗟に近くにいた人物の腕を掴んだ。
ㅤ突然、めまいと吐き気に襲われたからだ。


「……」


目を開くと、何も変わった様子のない景色。


「……何が起きたの……?」
「光るだけなのかもしれないね」
「なんじゃそりゃ」


3人は、期待して損した。というような顔だ。


「……ちょ、ちょっと待って!?」
「どうしたんだい?」
「何かあった?」
「……あ、あれ……」


俺は空を飛ぶ普通では有り得ない物を指さした。
ㅤ大きな音をあげ、空を飛行する物体。


「……飛行機……?」
「なんでこの世界に?」


飛行機が雲の上を飛んでいるのだ。
ㅤこの世界には飛行機なんて存在しないはず。


「何が起きてるの……?」


鏡を見て、俺はなんとなく察してしまった。
ㅤオークの位置と豚の位置が入れ替わっている。


「……もしかすると。この鏡は世界と世界を繋ぐ魔道具なのかもしれないね」


ってことは……俺達は元の世界に来たのか? じゃあなんで……この大地も一緒に?
ㅤヴァンパイアやドワーフ、エルフ達も上空の飛行機に驚いている。


「ルト様〜!! なんなんですかこれ!」
「リアンッ! それが……もしかすると、別の世界にこの大地ごと転移したみたいなの」
「ふぇぇっ!?」


それも、この大地全てを……。

「魔王LIFE」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く