魔王LIFE

フーミン

40話 ルトの初戦

次のバトルはトゥーリ対レミー。まあ俺も知らない人なんだけどな。
ㅤトゥーリは獣人族で、水着審査の時に見たが、筋肉がかなりある。ただ頭は悪そうな顔をしているので、力任せな戦い方が得意だろう。
ㅤレミーはサキュバス。ツインテールの髪には花形のリボンが着いている。サキュバスというのは男を誘惑する種族らしい。水着審査の時には、かなり歓声が上がっていた。


ㅤ武器は一本の剣。サハルが頑丈な剣を用意してくれる。


「はぁぁぁっっ!!」


トゥーリが早速、大振りにレミーを斬りつけようとするも簡単に避けられた。それもそうだろう。どこに剣が下ろされるのか一目瞭然。少し動けば避けれると判断して避けたレミーは、すぐさま攻撃に移った。
ㅤ腹目がけて一突き。それをまともに受けたトゥーリはその場に倒れた。


「大丈夫なの?」
「どうやら、あの剣は何も斬れないように作られてるようね」


へぇ〜サハルはそんな物も作れるのか。


『勝者! レミー!!』
「あはっ♪ 一瞬で終わっちゃった!」


レミーはくるりと一回転して、観客席に一礼すると待機室へと戻っていった。


「あっさり終わったね」
「そんな物よ。ランダムに選ばれるトーナメントは、相手との力の差が大きい場合が多いの。勝ち進んでいく事に、自分より強い相手と戦うことが多くなるから、最初はどんどん進んでいくわ」


よく知ってるな。


『次! ルト対フィリア!』
「あっ、行ってくる!」
「行ってらっしゃい」
「ほら、行くよフィリア」
「うわぁぁっ!」


観客席から場へと飛び降りると、二人の手元に突然剣が現れた。転移系の魔法? よく分からないが便利だ。


「お、御手柔らかにっ!」
『……始め!』


ついに俺の初戦だ。観客達からも期待の声が聴こえる。
ㅤ最初はあまり手の内を見せない方が良い。普通に攻めていくか。


「行くよ」
「は、はいっ!」


すぐにフィリアの横へと回る。
ㅤそのまま肩へと剣を振り下ろす。勝ったな。


「わあぁっっ!?」
「え?」


フィリアが咄嗟に防御の姿勢を取り、勢いよく俺の剣は弾かれてしまった。


「「おおぉぉぉおっ!」」


客席からも驚きの声が上がっている。


「あ、危なかったぁ……」


フィリアの今の動きは無意識? にしては洗練された動きだったな。たまたまか?


「つ、次は私から行きます!」


今度は俺が防御側になった。フィリアが俺の体めがけて次々と剣先で突いてくる。しかしミシェルとサハルに鍛えられた動体視力の前には通用しない。
ㅤ数発の刺突を避けた後、剣を持つ手を上から手刀で叩く。その勢いで剣を離したフィリアはかなり焦っている様子だ。


ㅤそのまま足元にある剣を、足で空中に浮かせて掴む。


「あ……」
『勝者! ルト!!』


このバトルは、相手を戦闘不能。もしくは武器を奪えば勝利となる。


「「おおおぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!」」
「ま、負けてしまいました……」
「ナイスファイトだったよ。私の攻撃を弾いた時はビックリしちゃった」


落ち込むフィリアを慰めるように、肩を叩いて待機室に戻った。


ㅤ待機室には、俺とフィリアの戦いを見た他の選手達が居て、周りにゾロゾロと集まってきた。


「流石王女様です!」
「かっこよかったですっ!」
「キャー!」


か、カッコいい? 前世でもそんな事言われなかったぞ。ま、まあいいか。嬉しいしな。
ㅤ頭を後ろを撫でながら えへへ と笑っていると、突然後ろから抱きつかれた。


「お疲れ様ですっっ! ルト様!」
「ちょっ、リアン離れて」
「嫌です! 私はルト様の物ですから!」


どうやら他の女性に絡まれている俺を見て嫉妬したのだろう。


「はぁ、観客席行くよ」
「はいっ!」
「フィリアも来る?」
「い、いえ! お二人でどうぞ!」


遠慮なく。リアンと一緒にチヒロの元に向かう。


「お疲れ様」
「あれ? この人と知り合いになったんですか?」
「まあね。チヒロさんだよ」
「むぅ……チヒロさんが綺麗だからって……」


また妬いてる。


「大丈夫。私にとってリアンが一番大事だから」


そういって頭を撫でると、気持ちよさそうに目を細めた。


「ちょっと、私の近くでいちゃつかないでくれる?」
「ああごめんごめん。それで、どうだった?」


チヒロの横に座って、俺の戦いの感想を求めた。


「王女のくせに戦闘には慣れてるのね」
「魔王だからね」
「でも、あのフィリアとかいう子もかなり凄いわよ」
「そうなの?」


まあ攻撃を弾いた時はビックリしたけど、普通に弱かった……って言っちゃ悪いか。


「実力はあるけれど……体が着いてこれないって感じだったわ。きっと鍛えたら凄いわよ」
「ふぅん」
「興味無さそうね」
「いやほら。今から戦う人が気になってね」


名前を呼ばれる前から、既に場に出てストレッチしている。
ㅤ赤髪に一本の角が生えた少女。服装は露出がかなり高いが、動きやすそうでもある。
ㅤハーフパンツに黒スパッツ。足にはかなりの筋肉が備えてある。


「オーガね」
「意外と可愛いんだね」
「私も最初のイメージはムキムキ巨体の怪物のイメージだったわ」


俺もそうだった。でもあの子は可愛い鬼だ。


『次! カグラ対ポーラ!』


金髪のエルフがやってきた。あれがポーラだろう。


「これは面白い戦いになりそうね」


チヒロは両膝に肘を乗せて、試合観戦に集中した。
ㅤ何が面白くなるのか俺にはサッパリ分からないけど、チヒロには何か感じるのだろう。もしあっさり終わったら馬鹿にしてやろう。


『始め!』


始まりの合図が鳴ると、カグラがポーラに一礼した。
ㅤポーラも少しだけ驚いていたが、合わせて一礼。お互いに礼儀正しいな。


「行きますっ!」


カグラが左手から火の玉を生み出し、ポーラへと投げつけた。
ㅤすぐに魔法で防ぐポーラだが、大きな炎によって視界が塞がれる。その隙に後ろへと回り込んだカグラが大きく飛び上がり、剣を構えてグルグルと周り出した。まるで車輪のように回るカグラの体に赤い炎が纏われる。
ㅤそのまま、ポーラ目がけて落下。


ㅤ激しい爆発音と砂埃に、場の光景が全く見えなくなった。


「何が起きてるんでしょうか」


リアンも前のめりに試合を見ていたが、何も見えなくなると俺の方を向いた。


「煙が無くならないと分からないね」
「まだ戦いは続いている。中で戦っているわよ」
「見えるのか……?」
「魔眼」


そのいうチヒロの目は赤い光を発していた。
ㅤ魔眼は便利だな。俺も今度魔眼作ってみるか。


「いまどっちが押してる?」
「カグラが一方的に攻めてるわね。ポーラはどこから来るか分からない攻撃を一生懸命察知して防御してる」


うわぁ……ポーラ辛そうだな。
ㅤ一体これからどうなるんだ。

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