魔王LIFE
32話 幸せの意味
「という事なんだけど、サハルどう思う?」
リベルトと一緒にサハルの部屋に来て、事情を説明した。
「ん〜まあ右腕程度なら良いけど、僕のルトが他の男に取られるのは困るな」
「なるほどな。ヒロインを手に入れる為には魔王を倒さなければならないのか」
リベルトもなんとなく理解した様子だ。いや、殺したらダメなんだけどな。
「とりあえず。日本人同士仲良く協力しましょう」
サハルとリベルトの仲が悪くなった場合、最悪お互いが死ぬ可能性がある。リベルトは転生のプロ。それなりに強いだろうし。
「なるほど。協力か……じゃあ面白い話がある」
「「面白い話?」」
俺とサハルは、リベルトの話に耳を傾けた。
「一度死んだ転生者、そして転移者を前世に戻す方法、だ」
「戻れるのか?」
「戻れるが、そこに問題がある」
「問題……」
「一つの世界を管理しているのは神だ。しかし世界の中に直接入って管理している訳では無い。
ㅤその管理者。つまり魔王を倒さないといけない」
魔王……その言葉に俺とサハルを目を合わせた。
ㅤそう、既に魔王はここに集まっているからだ。
「それは……俺達に死ねといっているのか?」
サハルが不機嫌そうに呟いた。
「別に二人共死ねとは言ってない。魔王が1人死ぬと、世界と世界を繋ぐ扉が一時的に開かれる」
それはつまり……リベルトと俺が付き合うからサハルに死んでくれと言っているような物だ。
「残念だけど。そんなの私は望めないわ」
「そうか。それはとても残念だ」
やはり、リベルトは危険人物として注意しておいた方が良いだろうか。
「そうそう、1つ言っておきたいことがある」
「変な事を言ったら殺す」
サハルが若干怒ってるな。
「魔王は、転生者でも転移者でもない可能性がある。ということだ」
「っ!」
リベルトが言っている事は、つまり俺に当てはまる。
ㅤ俺はたまたま記憶を持って魔王として生まれた。それだけなのかもしれない。
「……つまり。転生者でも転移者でもない魔王を殺せば、無事に皆元の世界に戻れるという事か?」
「ま、この世界にいる魔王は2人だけなんだけどね」
リベルトがニッコリしながら、俺を見つめた。
「リアン。リベルトを連れ出して」
「分かりました」
ドアの外に待機していたリアンに、リベルトを別の場所に移動させるよう命令した。サハルはまだ良く分かってない様子だ。
ㅤ俺はテーブルに置かれた紅茶を1口飲んで、1つため息をついた。
「ルト。どういうこと?」
「……もしかしたら、私は転生者でも転移者でもなんでもない。ただ記憶を持ってこの世界に来ただけなのかもしれない、ってこと」
簡単に、サハルにそれを伝える。
「っ……僕はルトに酷いことを言ったね……」
「大丈夫。まだそう決まった訳じゃ…………」
いや……確実に俺はこの世界の住民だ。俺は元男で、今は女。でも、それを伝えると……皆が離れていきそうで怖い。
「確証はないけど……サハルが元の世界に戻りたくなったら。私を殺すのが最前なのかもね」
俺は戻る世界がない。それだけの理由だ。
「いや、僕は元の世界に戻ろうなんて思わないよ。
ㅤリベルトも、ルトが元の世界に戻れない事を知っていてあの事を話した。つまり、二人の関係を確かめたかったんじゃないかな」
「確かめたい……?」
それはどういう事だろうか。
「僕だって最初は、元の世界に戻れるなら戻りたいと思ったさ。だから……ルトにあんな酷いことを言ってしまった。
ㅤでも、殺さなければいけない相手がルトだと分かったら、元の世界に戻るより悲しいと思ってね」
サハルはそんなに俺の事を思ってくれているのか。
「帰るべき場所は、故郷じゃなくて大事な人の傍。だからね」
「ふふ……ありがとう」
サハルの言葉が、俺には凄く嬉しかった。こんなにも必要とされている俺。サハルがいるだけで、俺は生きる意味がある。
ㅤ俺はこの世界で生きることが、無償の幸せだ。
「ま、リベルトのやり方は僕も気に入らなかったから、少しお仕置きをしにいこう」
「な、何するの……?」
またお漏らしさせんのか?
「全裸で踊ってもらうよ」
「うわぁ……」
流石にそれには俺も引いた。
「じゃ、僕は行ってくる」
「分かった。私は部屋に戻ってゆっくりしてるよ」、
お互いにその場から転移した。
ーーーーー
「はぁ……」
ベッドで横になり、サハルに言われた言葉を脳内再生する。
ㅤ『大事な人』『大事な人』…………。
「ふふふふ……」
その言葉を思い出すだけで、恥ずかしさと嬉しさに笑ってしまう。
ㅤ俺は完全に女の子。たまたま男だった頃の記憶を持っているだけで、俺は女なんだ。何もおかしいことじゃない。
「サハルが……好き……」
俺はサハルが好きで、サハルが生きているだけで俺は幸せ。
ㅤなんとなく、俺は幸せの本当の意味を知った気がした。
リベルトと一緒にサハルの部屋に来て、事情を説明した。
「ん〜まあ右腕程度なら良いけど、僕のルトが他の男に取られるのは困るな」
「なるほどな。ヒロインを手に入れる為には魔王を倒さなければならないのか」
リベルトもなんとなく理解した様子だ。いや、殺したらダメなんだけどな。
「とりあえず。日本人同士仲良く協力しましょう」
サハルとリベルトの仲が悪くなった場合、最悪お互いが死ぬ可能性がある。リベルトは転生のプロ。それなりに強いだろうし。
「なるほど。協力か……じゃあ面白い話がある」
「「面白い話?」」
俺とサハルは、リベルトの話に耳を傾けた。
「一度死んだ転生者、そして転移者を前世に戻す方法、だ」
「戻れるのか?」
「戻れるが、そこに問題がある」
「問題……」
「一つの世界を管理しているのは神だ。しかし世界の中に直接入って管理している訳では無い。
ㅤその管理者。つまり魔王を倒さないといけない」
魔王……その言葉に俺とサハルを目を合わせた。
ㅤそう、既に魔王はここに集まっているからだ。
「それは……俺達に死ねといっているのか?」
サハルが不機嫌そうに呟いた。
「別に二人共死ねとは言ってない。魔王が1人死ぬと、世界と世界を繋ぐ扉が一時的に開かれる」
それはつまり……リベルトと俺が付き合うからサハルに死んでくれと言っているような物だ。
「残念だけど。そんなの私は望めないわ」
「そうか。それはとても残念だ」
やはり、リベルトは危険人物として注意しておいた方が良いだろうか。
「そうそう、1つ言っておきたいことがある」
「変な事を言ったら殺す」
サハルが若干怒ってるな。
「魔王は、転生者でも転移者でもない可能性がある。ということだ」
「っ!」
リベルトが言っている事は、つまり俺に当てはまる。
ㅤ俺はたまたま記憶を持って魔王として生まれた。それだけなのかもしれない。
「……つまり。転生者でも転移者でもない魔王を殺せば、無事に皆元の世界に戻れるという事か?」
「ま、この世界にいる魔王は2人だけなんだけどね」
リベルトがニッコリしながら、俺を見つめた。
「リアン。リベルトを連れ出して」
「分かりました」
ドアの外に待機していたリアンに、リベルトを別の場所に移動させるよう命令した。サハルはまだ良く分かってない様子だ。
ㅤ俺はテーブルに置かれた紅茶を1口飲んで、1つため息をついた。
「ルト。どういうこと?」
「……もしかしたら、私は転生者でも転移者でもなんでもない。ただ記憶を持ってこの世界に来ただけなのかもしれない、ってこと」
簡単に、サハルにそれを伝える。
「っ……僕はルトに酷いことを言ったね……」
「大丈夫。まだそう決まった訳じゃ…………」
いや……確実に俺はこの世界の住民だ。俺は元男で、今は女。でも、それを伝えると……皆が離れていきそうで怖い。
「確証はないけど……サハルが元の世界に戻りたくなったら。私を殺すのが最前なのかもね」
俺は戻る世界がない。それだけの理由だ。
「いや、僕は元の世界に戻ろうなんて思わないよ。
ㅤリベルトも、ルトが元の世界に戻れない事を知っていてあの事を話した。つまり、二人の関係を確かめたかったんじゃないかな」
「確かめたい……?」
それはどういう事だろうか。
「僕だって最初は、元の世界に戻れるなら戻りたいと思ったさ。だから……ルトにあんな酷いことを言ってしまった。
ㅤでも、殺さなければいけない相手がルトだと分かったら、元の世界に戻るより悲しいと思ってね」
サハルはそんなに俺の事を思ってくれているのか。
「帰るべき場所は、故郷じゃなくて大事な人の傍。だからね」
「ふふ……ありがとう」
サハルの言葉が、俺には凄く嬉しかった。こんなにも必要とされている俺。サハルがいるだけで、俺は生きる意味がある。
ㅤ俺はこの世界で生きることが、無償の幸せだ。
「ま、リベルトのやり方は僕も気に入らなかったから、少しお仕置きをしにいこう」
「な、何するの……?」
またお漏らしさせんのか?
「全裸で踊ってもらうよ」
「うわぁ……」
流石にそれには俺も引いた。
「じゃ、僕は行ってくる」
「分かった。私は部屋に戻ってゆっくりしてるよ」、
お互いにその場から転移した。
ーーーーー
「はぁ……」
ベッドで横になり、サハルに言われた言葉を脳内再生する。
ㅤ『大事な人』『大事な人』…………。
「ふふふふ……」
その言葉を思い出すだけで、恥ずかしさと嬉しさに笑ってしまう。
ㅤ俺は完全に女の子。たまたま男だった頃の記憶を持っているだけで、俺は女なんだ。何もおかしいことじゃない。
「サハルが……好き……」
俺はサハルが好きで、サハルが生きているだけで俺は幸せ。
ㅤなんとなく、俺は幸せの本当の意味を知った気がした。
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