魔王LIFE
20話 絶望
それから、俺はいつの間にか気を失っていたらしく、いつの間にか豪華な装飾が施された部屋にいた。
ㅤ俺は白くて綺麗なドレスをしていて、金色のベッドの横はヒール。左手の薬指に綺麗な宝石が填められた指輪を着けていた。
「な、何……?」
魔王に連れ去られたはずなのに、何故このような状況で目を覚ましたのだろうか。
ㅤふと、部屋を見渡すとベッドの横のランプが乗ったテーブルに紙があった。それを手に取り、書いてある内容を読む。
□■□■□
おはよう、ルト。突然の状況に驚いているだろう?
ㅤあまり心配するな。僕は君に危害を加えるつもりは無い。勿論、君が僕に危害を加えることも無い。何故なら、左手の薬指。それに呪いをかけていてね。攻撃をしようとすると強制的に電流を流して動けなくするんだ。
ㅤさて本題だが。君には僕の国の王女、そして僕の婚約者となってもらう。
ㅤそれさえ理解してくれれば、君を困らせるような事はしないよ。十分な生活を送らせてあげるよ。怠惰な君にはその方が嬉しいだろう?
ㅤ詳しい話は後からにしよう。
ㅤby.サハル
■□■□■
それを読んだ俺は、紙をビリビリに破いて投げ捨てた。
「冗談じゃねぇっ!!」
思いっきり叫んだ。しかしその声を聞いている者はこの部屋にいる俺。そして部屋に入ってきたサハルにしか届いていない。
「やぁ、よく眠れたかい?」
「このっっ……」
ニコニコと笑うサハルの顔を見ると、心の奥底から怒りの感情が込み上げてくる。
「そう怖い顔をしないでくれ、僕は君の "ダーリン" なんだから」
「ダーリッ……気持ち悪い事言うんじゃねぇ……」
「まあそうイライラするのも仕方ないね。でも段々とここでの生活が好きになってくるだろう。君を洗脳以外の方法で、僕のお嫁さんにしてみせるよ」
こんな奴の嫁になってたまるか。ミシェル……早く助けに来てくれ……。
「あ、そうそう。特別に君の大事なリアンとかいう女の子を、君の身の回りのお世話をさせることにした。ありがたく思え」
「リアン!? 早く会わせてくれっ!」
リアンがいるのなら、少しでも早く会いたい。
コンコン「失礼します」
聞き慣れた懐かしい声で、リアンが部屋に入ってきた。
「この度、ルト様のお世話をさせて頂くことになりました。リアンと申します。以後よろしくお願いいたします」
「リ……リアン……?」
リアンの様子がおかしい。まるで……初めて会ったような、俺の事を忘れているような……。
「おかしな行動をされると困るからね」
「お前のせいかよっ……くそがぁっ!!」
「おっと」
「があ゛っっ!?」
「紙は読んだかい? 攻撃しようとすると電流が……あぁ、バラバラに破かれているね」
くそ……俺は抵抗することも出来ないのかよ……。この怒りを何にぶつけたら……。
「ストレスが溜まったら、この子を殴るといい」
サハルがそういってリアンを前に出した。
「どこまでも……侮辱しやがって……」
「すまないな。君が不自由のない自由な生活を送れるよう、今後君の要望を聞いていくつもりだ。何なりと言ってくれ」
「リアンの記憶を戻せ……」
「それは無理だ。何故なら二人の為でもあるからね」
くそ……こいつは何をしたいんだ。
ㅤ俺を訳の分からない状況に入れて、更にはリアンの記憶まで消して……俺は何したらいいんだ……。
「話ができる状況じゃないみたいだね。僕は部屋から出ていくとしよう」
「早く出てけっ!!」
サハルが部屋から出ていき、残ったのは俺とリアンだけだ。
ㅤリアンは部屋にある花瓶やテーブルを拭いたりしている。
「リアン……」
「はい。なんでしょうルト様」
「本当に……覚えてないのか?」
「覚えてない、とは何のことか分かりませんが、ルト様とは今初めてお会いしました」
本当に覚えてないのか……。
ㅤ俺は寂しさと怒りと、様々な感情が渦巻いて涙を流してしまった。
「どうしたのでーー」
「触るな」
リアンが別のタオルで俺の涙を拭こうとしたが、つい強い言葉で払ってしまった。
「ご無礼を申し訳ありません」
頭を下げてリアンは謝った。まるで俺が悪いみたいに……いや、今のは俺が悪いのか……もう何が何だか分からない。
ㅤもう……どうしたら良いのか分からない。
「1人にさせてくれ……」
「分かりました。では、失礼しました」
俺は1人、ベッドで横になり泣いた。
ㅤ本当に、何もかも終わった。仲間を悲しませ、ミシェルを悲しませた。ただ絶望感しか心に残っていない。
「くそっっ……くそっ……」
指輪も外れない。窓は開かないし、部屋には何も無い。魔法は使えるものの、壁などを破壊しようとすると電流が流れて動けなくなる。
ㅤ俺はここで、ただ生活することしかできない。
ㅤ涙が止まらない。
ㅤ俺は白くて綺麗なドレスをしていて、金色のベッドの横はヒール。左手の薬指に綺麗な宝石が填められた指輪を着けていた。
「な、何……?」
魔王に連れ去られたはずなのに、何故このような状況で目を覚ましたのだろうか。
ㅤふと、部屋を見渡すとベッドの横のランプが乗ったテーブルに紙があった。それを手に取り、書いてある内容を読む。
□■□■□
おはよう、ルト。突然の状況に驚いているだろう?
ㅤあまり心配するな。僕は君に危害を加えるつもりは無い。勿論、君が僕に危害を加えることも無い。何故なら、左手の薬指。それに呪いをかけていてね。攻撃をしようとすると強制的に電流を流して動けなくするんだ。
ㅤさて本題だが。君には僕の国の王女、そして僕の婚約者となってもらう。
ㅤそれさえ理解してくれれば、君を困らせるような事はしないよ。十分な生活を送らせてあげるよ。怠惰な君にはその方が嬉しいだろう?
ㅤ詳しい話は後からにしよう。
ㅤby.サハル
■□■□■
それを読んだ俺は、紙をビリビリに破いて投げ捨てた。
「冗談じゃねぇっ!!」
思いっきり叫んだ。しかしその声を聞いている者はこの部屋にいる俺。そして部屋に入ってきたサハルにしか届いていない。
「やぁ、よく眠れたかい?」
「このっっ……」
ニコニコと笑うサハルの顔を見ると、心の奥底から怒りの感情が込み上げてくる。
「そう怖い顔をしないでくれ、僕は君の "ダーリン" なんだから」
「ダーリッ……気持ち悪い事言うんじゃねぇ……」
「まあそうイライラするのも仕方ないね。でも段々とここでの生活が好きになってくるだろう。君を洗脳以外の方法で、僕のお嫁さんにしてみせるよ」
こんな奴の嫁になってたまるか。ミシェル……早く助けに来てくれ……。
「あ、そうそう。特別に君の大事なリアンとかいう女の子を、君の身の回りのお世話をさせることにした。ありがたく思え」
「リアン!? 早く会わせてくれっ!」
リアンがいるのなら、少しでも早く会いたい。
コンコン「失礼します」
聞き慣れた懐かしい声で、リアンが部屋に入ってきた。
「この度、ルト様のお世話をさせて頂くことになりました。リアンと申します。以後よろしくお願いいたします」
「リ……リアン……?」
リアンの様子がおかしい。まるで……初めて会ったような、俺の事を忘れているような……。
「おかしな行動をされると困るからね」
「お前のせいかよっ……くそがぁっ!!」
「おっと」
「があ゛っっ!?」
「紙は読んだかい? 攻撃しようとすると電流が……あぁ、バラバラに破かれているね」
くそ……俺は抵抗することも出来ないのかよ……。この怒りを何にぶつけたら……。
「ストレスが溜まったら、この子を殴るといい」
サハルがそういってリアンを前に出した。
「どこまでも……侮辱しやがって……」
「すまないな。君が不自由のない自由な生活を送れるよう、今後君の要望を聞いていくつもりだ。何なりと言ってくれ」
「リアンの記憶を戻せ……」
「それは無理だ。何故なら二人の為でもあるからね」
くそ……こいつは何をしたいんだ。
ㅤ俺を訳の分からない状況に入れて、更にはリアンの記憶まで消して……俺は何したらいいんだ……。
「話ができる状況じゃないみたいだね。僕は部屋から出ていくとしよう」
「早く出てけっ!!」
サハルが部屋から出ていき、残ったのは俺とリアンだけだ。
ㅤリアンは部屋にある花瓶やテーブルを拭いたりしている。
「リアン……」
「はい。なんでしょうルト様」
「本当に……覚えてないのか?」
「覚えてない、とは何のことか分かりませんが、ルト様とは今初めてお会いしました」
本当に覚えてないのか……。
ㅤ俺は寂しさと怒りと、様々な感情が渦巻いて涙を流してしまった。
「どうしたのでーー」
「触るな」
リアンが別のタオルで俺の涙を拭こうとしたが、つい強い言葉で払ってしまった。
「ご無礼を申し訳ありません」
頭を下げてリアンは謝った。まるで俺が悪いみたいに……いや、今のは俺が悪いのか……もう何が何だか分からない。
ㅤもう……どうしたら良いのか分からない。
「1人にさせてくれ……」
「分かりました。では、失礼しました」
俺は1人、ベッドで横になり泣いた。
ㅤ本当に、何もかも終わった。仲間を悲しませ、ミシェルを悲しませた。ただ絶望感しか心に残っていない。
「くそっっ……くそっ……」
指輪も外れない。窓は開かないし、部屋には何も無い。魔法は使えるものの、壁などを破壊しようとすると電流が流れて動けなくなる。
ㅤ俺はここで、ただ生活することしかできない。
ㅤ涙が止まらない。
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