魔王LIFE

フーミン

11話 作戦後の休み

ㅤ次の日の朝、偵察部隊の人達の前に俺も姿を現して分かれることにした。


「なんだあの美人!?」
「あれがこの城の主!?」
「男かと思ってた」


様々な声が、城の前で挙がっている。


「じゃあルト。今度は街で会おう」
「はい。それと昨日の事ですが、忘れてください」
「あ、『好きでいて……』かな? 泣きそうになりながらそんな事言うルト、凄く可愛かったよ」


くそっ……あれは絶対に俺の本心じゃないんだ! 俺はホモじゃねぇっ!! 認めんぞ……。


「じゃあ、皆が準備できたみたいだし。帰るよ」
「あぁぁぁ〜可愛いメイドさん〜……」
「リアンちゃ〜ん」


皆がお気に入りのメイドに別れを惜しみながら、城から去っていく。俺達は横に並んで皆に手を振っていた。
ㅤ完全に姿が見えなくなり、気配も感じなくなった。


「だぁぁぁぁ……疲れた」
「成功……しましたね」


幻影魔法が解け、元の姿に戻った。


「ヴァンパイア達、ご苦労様」
「ありがとうございます」


魔物達は地下の家で休んでいるが、魔族組は最後まで城の中にいた。


「ルト様の演技力には驚きました」
「あ、あはは」
「人間の権力者に惚れさせ、交渉しやすくするとは。私も勉強になりました」


演技か……そう思ってくれていると嬉しい。


「さっ! 今日はしっかり休もう! 全員にご褒美をあげるよ!」
「「全員っ!?」」


その後、地下の広場で俺が椅子に座り、皆が交代で抱きついていくという不思議な行事が行われた。


ーーーーー


部屋に戻って、ドレスを脱いだ。


『ルト……とても美しいね』


ミシェルの昨日のセリフが脳内再生される。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」


その度にベッドの上で悶える。まるで病気のようだ。
ㅤこのままだと恥ずかしさで胸が張り裂けそうだ。


「うぅ……くそっ……」


変わってしまった自分に涙を流しては、セリフが再生されニヤけた後悶える。そしてまた涙を流す。
ㅤこんな事がしばらく続き、ついには考えることすらできなくなった。


「はぁ……いいや。どうでもいい。
ㅤだって俺女じゃん。好きになるとは当然、男だったのは前世まで、いいや……もう」


枕に抱きつきながら放心状態だ。


コンコン「ルト様、捕まっていたヴァンパイアが帰ってきました」
「何っ!? 大丈夫だったのか?」
「はい。なんとか逃げ出したそうです」


そうか、良かった。


「これからの予定はありますか?」
「ん〜……とりあえず地下3階に学校作って、賢いヴァンパイアを教師に魔物組魔族組の知能を上げようかと」
「では地下空間の拡大が出来次第、ドワーフに教育に向いた施設の建設を頼むことにします。では失礼しました」


ま、それは明日で大丈夫だ。今日はみんな疲れてるだろうし、しっかり休んで。明日から作業開始だ。


ㅤ結局その日は、ルトも合わせて全ての仲間達が休み。何もすることなく1日が終わった。




ーーーーー




次の日、さっそく忙しい日々に戻った。
ㅤ俺はなるべく広めの地下3階を作り、その後ドワーフの店に向かった。


「これは魔王様。どうなさいましたか」
「できれば服を作ってほしい。なるべくオシャレな私服で」
「分かりました。ヴァンパイアにデザインを考えさせてすぐに作成いたします」
「完成したらリアンに渡してね」
「了解しました」


さてと、服が完成したら街に行くとして。俺にはすることがある。
ㅤリアンの元に転移した。


「っ! ルト様、どうしました」


どうやら走って汗で濡れた服を着替えていたようだ。


「そ、そのだな。なるべく自分で幻影魔法を使えるように練習しといてほしい」
「分かりました。理由をお尋ねしても?」
「今後、2人で人間の街に行くから。自分で使えた方が良いでしょ?」
「分かりました。練習しておきます」


伝えたい事を伝えて、俺はリアンの裸を眺めた。


「ど、どうしました?」
「ん〜……魅力的に体はしてるよね」
「ありがとうございます……嬉しいです」


でも前世のような感情は芽生えない。
ㅤ諦めるか。


「なぁリアン」
「何でしょう」
「リアンから見て私の事どう思う?」


リアンは俺にどういった感情を持っているのだろうか。


「それはもう、尊敬と敬意と愛と。もう大好きでございます」
「大好きか。私もリアンが好きだ」
「っ……て、照れます……」


ん〜……リアンは俺に恋愛的感情を持ってるみたいだな。


「リアンが幻影魔法使えるようになったら、デートしようか」
「ほ、本当ですかっ!?」
「人間の街で一緒にね」
「は、早くデートする為に頑張ります!!」


裸で喜んで跳ねるリアンの胸。ポヨンポヨンしてる。


「じゃ、私は部屋に戻る。頑張って」
「はいっ!!」


で、今日することは終わった。
ㅤ後は周りが発展してくれるのを待つだけだ。
ㅤ俺の仕事は簡単、魔王として仲間達を支持をして発展させていく。暇つぶしに仲間と遊んだり、散歩したり。


「魔王って楽勝だな」


このまま城の周りに人間の街が出来ていけば、この世界で最も発達した国となる。そして同盟国が増えれば、魔王として世界の支配も出来るし、普通の生活もできる。
ㅤ他にも色々としたい事はあるけど、とりあえずはこの城を一つの国にすることが目標だ。


「さ〜てっ! 寝よう寝よう!!」


寝て起きれば発展してる! 最高の放置ゲームじゃねぇか!


ーーーーー


ㅤしかしその頃、どこか遠くで新たな魔王が誕生した事は誰も知らない。


「やっぱ日本とは違うな。おい執事、とりあえずどっかの国から奴隷集めてこい」
「承知しました魔王様……くっくっくっ」


その男は、ドラゴンの死体の山の上に寝転がり、大きく欠伸をすると赤い瞳を閉じた。

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