魔王LIFE

フーミン

1話 プロローグ

此処はどこだろう。気づけば真っ暗で何も無い空間にいた。
ㅤ体を確認するが、真っ暗で何も見えないのか。それとも本当に無くなっているのか分からない。何も見えない。


ㅤどうしてこんな場所にいるのか。俺には心当たりがある。


ーーー


ㅤ俺は普通の高校生で、成績は平均より少し下。普段は1人で本を読んでいるような奴だ。人に話しかけられれば、それなりに話を合わせて仲良くなれるが友達にはなりたくない。俺はそんな人間だった。
ㅤいつものようにバイクに乗って帰っている時だった。横断歩道を信号無視して渡る女子高生。俺の通っている高校とは制服が違う。
ㅤ俺はよそ見をしていた為、その女の子に気づくのに遅れてしまった。


ㅤとっさにブレーキをかけるが、この距離だと止まりきれずに轢いてしまう。とにかく轢かないようにクラクションを鳴らしながらハンドルを右に切った。
ㅤすると、あろうことかその女の子は俺がハンドルを右に切ったにも関わらず、同じ方向に避けてしまい衝突してしまった。


バンッッ!!


っという鈍い音。他の女子高生達の悲鳴。視界に映る赤い液体。
ㅤそのままタイヤを滑らせて倒れ、道路を滑っていき、たまたま通ったトラックに轢かれた。
ㅤとにかくまあ、不運な事故といったところだろう。


ㅤあの女子高生は多分助からなかっただろう。俺も助からなかった。最も不運なのは俺を轢いたトラックの運転手だな。で、気づけば真っ暗な空間に居たって訳だ。


ㅤここがどこなのか大体予想は付く。死後の世界、霊界とも言うのだろうか。
ㅤ俺が生まれ変わるまで、この暗い世界で記憶を失い、彷徨い、新たな体に宿るのだろう。


「ふぃ〜…俺もついに死んだのか」


震えた声で、そう呟いた。
ㅤいままで生きていた世界に心残りがあるとしたら、彼女と夢の国に行きたかった。他にも親孝行だってしてないし、不登校の弟に偉大な兄の姿を見せることもできなかった。


「彼女さえ作れたらな…」


生まれて此の方、彼女なんて作ったことがない。
ㅤ小さい頃に女の子とプニキュアごっこの悪役をしてた時が1番リア充してたな。


「はぁ……次こそは…」


そう願いながら闇の中を漂った。


ーーー


それからどのくらいたっただろうか。
ㅤ突如、これまで代わり映えの無かった暗い世界に一つの光が現れた。


「こんにちは」
「……」


その光が言葉を発した。
ㅤ俺はビックリして固まった。まさか人生でこんな不思議な事を体験するとは思わなかった。
ㅤ既に不思議な体験してたんだけどな。


「こ、こんにちは…あれ? 聞こえてますよね?」
「あ……あぁうん。聞こえてる」
「こほん。貴方にはこれから、選択していただきます」


選択……ってあれか? 見た目はブスになるけど不自由のない人生と、見た目は美人だけど不自由な人生どっちか選ぶやつか?


「あれ? もしかして記憶まだあります?」
「え、あるけど…なんで?」
「はわわわ!! す、すみません! ……また後で」


そう言うと、目の前の光は消えていった。


「…なんだ?」


よく分からないが、記憶を持っていたら不味いのだろうか。
ㅤこれは悪いことをしたな。次はちゃんと忘れてることにしよう。


ーーー


それからしばらくして、また新しい光が現れた。


「こんにちは」
「こんにちは」


最初は必ず "こんにちは" なんだな。


「今から貴方には選択していただきます」
「はい」
「…もしかして記憶残ってます?」
「ノコッテナイヨ」
「そ、そうですか。では。
ㅤ貴方にはこれから、3つの人生の中から選んでいただきます」


3つの人生を選ぶ…か。何か自分の好きな人生を選んだら楽しくなさそうだな。


「1つ。剣や魔法を使う世界で魔王として生きる。


ㅤ2つ。魔法の無い世界で社長の娘として生きる。


ㅤ3つ。幽霊となり好きな世界を自由に彷徨う」




お、なんか面白そうな選択肢が出たな。
ㅤ剣や魔法を使う? ラノベみたいな人生だな。他にも社長の娘、幽霊か。
ㅤ社長の娘ってのも良いが…娘か。男が良いんだよな。幽霊は論外だ。


「1つ目のやつで」
「分かりました。ではこれから技能を選んでいただきます」
「技能?」
「簡単なものです。他の人よりも優れた脳、であったり。美しさ、であったり。色々とあります」


へぇ〜ってことは前世の偉人とかも良い技能を貰ったのか。


「この中からポイントを消費して選んでください」
「おっ」


目の前にトランプのカードのような物が現れた。


「前世での行い、前々世で使わなかったポイント、等が現在のポイントに溜まっています。
ㅤどうやら貴方の前々世がかなり貯めていたようで、8211ポイントあります」


8211ポイントか。カードには10ポイントの物だったり50ポイントの物だったりあるな。


「前世はどのくらいポイントを貯めてたんだ?」
「丁度211ポイントですね」


少なっ! え、何? もしかして前々世の俺って8000丁度になるようにポイント使ったってこと? つーか8000って…使い切るか。


ㅤ目の前のカードを見ると、面白そうなのが沢山ある。


《再生する体》- 500ポイント
《全能力2倍》- 2000ポイント
《モテモテ》 - 200ポイント
…etc


とりあえずモテモテは必要だと思い、カードを手に取った。
ㅤというか手があった。いつの間にか知らないが、白い右手だけがあった。


「残り8011ポイント」


神が残りポイントを教えてくれた。


ーーー


それから面白そうな技能をどんどん取っていき、最終的にこうなった。


《モテモテ》- 200
《カリスマ》- 250
《透明化》- 500
《全能力2倍》- 2000
《冷静な心》- 100
《仲間外れにされない》- 20
《ラッキースケベ》- 1000


とりあえず欲望丸出しの構成だな。
ㅤ残り4141ポイント残っているが、これは来々世の俺にプレゼントだ。


「よろしいですか?」
「よろしいです」
「では、良い魔王ライフが送れることを心より祈っております」
「ありがーー」


そこで俺の意識はプツンと、電気のように切れた。
ㅤ最後まで言わせろやクソ神。

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