女嫌いの俺が女に転生した件。
295話 特別授業 〜魔法とは〜
「今日はクロアさんに魔法について教えますよ!」
「絶対に寝たりしないように」
私は今、リアンさんとチヒロさんに魔力の授業をうけている。
黒板に白い石で大きく"リアンとチヒロの 魔法教室♡"と書かれている。
「そもそも魔力って何? って思いますよね」
「はい!」
「魔力というのは、空気中の魔素を人体に吸い込んだ時に体内で作られるのが魔力です。酸素のような物ですが、未だに魔素の正体が何なのかは誰も分かりません」
魔素を吸って魔力を……魔力は体内に留まるのかな?
「魔力を吐き出す、という事はあるのですか?」
「魔力は気体ではなくエネルギーです。その為、意図して身体の一部から魔力を放出する事は可能ですが、自然に漏れることはありません」
なるほど。じゃあ私も魔力って出せるのかな……。
試しに手の平を上に向けて、でろ〜、と念じてみる。
「っっ〜〜……出た」
「えっ!?」
「嘘……コツも知らないのに……」
二人共驚いているけど、確かに手の平から物凄いエネルギーが溢れているのが分かる。目を凝らすとうっすらと見える……。
「あ、あれ……目が痛い……」
「クロアさん目の色が……」
「えっ?」
チヒロさんに鏡を渡されて、痛みを感じる左目を確認する。すると、色が段々と水色に変化してきている。
『魔眼の能力が戻ってきたみたいだね』
魔眼の能力……?
『どうやら前のクロアから能力だけは受け継がれてるみたいだよ。ただ一時的に使えないっぽいけど、魔力を使った事で解放されたのかも』
よ、よく分からない。
でも目の痛みは無くなってきてるし、特に違和感を感じる事はない。うっすらとリアンさんとチヒロさんの周りにオーラのような物が漂っているのも見える。
「これ……ルト様に報告に行った方が良いんでしょうか」
「不思議な魔眼ね」
チヒロさんは魔眼について知っているようだ。
「魔眼って何ですか?」
「目に魔力が通うことによって、通常では見えない物を見たりする事が可能なのよ。例えば相手の魔力とかね」
じゃあ皆の周りに見えるオーラは魔力なのか。
「特に異常はありませんので、授業の続きをお願いします」
「クロアさん凄いですね……」
リアンさんが驚きながらも、授業を再開してくれた。
そうして私は魔力について知る事ができたのだが、実際に魔法を使うのは禁止された。また体に異常が現れたら責任が取れないかららしい。
◆◇◆◇◆
魔眼のことをルト様に報告すると、左目をじっくりと観察された。
「ほへ〜……魔眼もそうだけど、クロア魔力増えた?」
「え? そうですか?」
そう言われて自分の身体を見るが分からない。
「もしかしたら戦いの才能があるかもしれないし、暇潰しがてらに遊びに行く?」
「で、でもリアンさん達に魔法は禁止されてて」
「良いって良いって! 私が許可する」
怒られそうで心配だけど、ルト様からの誘いを断る訳にもいかず。ルト様にとある場所に連れてきてもらった。
「ここは?」
「草木が黒いでしょ? それにここは魔物が沢山いるから魔の森って呼ばれてるんだ」
魔の森ってそんな物騒な名前な場所に来て、私は何をさせられるのだろうか。
「あ、ほら早速イノシシがいるよ」
「イノシシ……? 本で読んだイノシシとは見た目が……」
本で読んだのは、小さくて身体が丸い生き物。牙はそれなりに鋭かった。
しかし、今目の前にいるのは私の身長ほどある大きさ。身体は丸いものの、凶悪そうな筋肉がゴツゴツついている。牙なんて下手したら私の胴体くらいの太さがある。
「魔力を放出しながら、えっと〜……よし、炎のイメージをしてみて」
「ま、待ってください! 来てます来てますっ!!」
イノシシがこちらに向かって突進してきている。このままだと潰される!
「そう! 来てます来てますハンドパワーだよ!」
「えっ、えぇぇい!!!」
どうにでもなれと、思いっきりエネルギーを放出した。
「っ…………?」
イノシシの足音が聞こえなくなり、ゆっくりと目を開ける。
「あれ?」
目の前には、周りと同じ黒い地面が広がっているだけだった。
「……うわぁっ!?」
ゆっくりと下を見ると、そこには真っ黒になったイノシシの骨が落ちている。
「凄いよ。もしかしたら魔法の才能あるのかも」
「これを私が……」
自分の手を見てみるが、目の前の光景を作り出した手とは思えない程綺麗な手をしている。
「よし、どんどん狩っていこう!」
「は、はい!」
謎の無敵感を得た私は、調子に乗ってルト様と笑顔で森の中を散歩した。
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