女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

290話 バグを使った攻略法



「それで、今から具体的にどう動くのか考えはあるのか?」


 クラウディアさんに少し怖い目付きでそう聞かれて、私は考える。


「……とにかく色んな人に会わないといけないね、俺1人じゃ厳しいから、強力してよ」
「ふっ……生意気な奴だな。良いだろう、一先ず俺の城に来るといい。転移者や転生者、大勢の能力持ちがいる」


 おぉ! それで一気に強くなろうって作戦だね。流石この国の魔王様。


「じゃあすぐに行こっか」


 自分が頼られているという優越感で身体が軽い。
 私はクラウディアさんと一緒に大きなお城まで転移した。


◆◇◆◇◆


「わぁ……今まで遠くから見てたけど、近づくと凄く大きいね」
「着いてこい」


 クラウディアさんの後ろを着いていき、たまにすれ違う執事服を着た人なんかの能力もコピーされていく。


 しばらく庭を歩いていくと、大勢の人達が集まっている広場にやってきた。


「あらクラウディア。その子がクロアさんの子供ね」
「ベリアストロ。クロアの話は聞いてるよな」
「……ええ」


 な、何か凄いスタイルの良い女の人がいる……大人の色気がムンムンだ。私だって前世で頑張っていればこんな美人さんになってたのに。


 クラウディアさんにベリアストロと呼ばれている女性が、私の方へやってきた。


「初めましてルイスさん。ベリアストロって呼んでいいわ」
「……初めまして」


 凄い。この人の魔力や能力は物凄い物ばかりだ。相手の能力を封じる力まで持ってるし、使える。


「ふふ、クロアさんに似てるわね」
「ほ、本当ですか!?」


 ママに似てると言われて、あまりの嬉しさに大声を出してしまった。


「ええ、目元なんか特にね」


 目元かぁ〜……もっと大きくなったら顔もママに似て……ふふ。


「それでベリアストロ。協力してくれるか?」
「勿論よ。ルイスさんを強い生き物に会わせるだけでいいのよね? 理由は分からないけれど、それくらいなら簡単よ」


 どうやらママの子供ってだけでかなり優遇されるみたい。特にこのベリアストロさんはパパと同じくらいママを愛してる。
 でも、一番ママを愛してるのは私だけどね。


「とりあえず、しばらく転移者や転生者達と遊んできていいぞ。転生者なら話も合うだろう」
「行ってきま〜す」


 クラウディアの言う通り、私は転移者や転生者の群れの中へ飛び込んだ。
 凄い勢いで能力がコピーされていく。


◆◇◆◇◆


「あぁ〜……俺もクロアさんの子供に産まれたかった」
「クロアさんの乳吸えるとか最高だよなぁ!?」


 この人達はほとんど男ばっかりで、あまり話が合いそうにない。
 ここにいる全員の能力をコピーして、私はクラウディアさんの元へ戻った。


「もう終わったか?」
「終わったよ。良い感じの能力が手に入ったけど、最も色んな能力も欲しいかな〜」


 もうこれくらいでママを助ける事はできる。でもやっぱり、色んな能力を見てみたいっていう好奇心が湧いてきた。
 この身体になってから好奇心旺盛になった気がする。


「よし、どんどん世界を回るから覚悟しろよ」
「どんどん強くなるから腰抜かすなよ〜?」


 何故か私とクラウディアさんは段々と仲良くなってきている。このまま世界一周でもするつもりなのだろうか。


◆◇◆◇◆


「あぁ〜なんか無敵になった気分」


 クラウディアさんと世界一周どころか何十周もしたんじゃないかってくらい移動した。
 ドラゴンだったり、巨大な鯨だったり。色んな生き物の能力をコピーしてもうお腹いっぱい。全部把握しきれないよ。


「もうクロア助けれるだろ?」
「でもルシファーがいる場所に行く方法は?」
「……それを考えてなかったな。どうにかできないのか?」


 クラウディアさんが困ったように聞いてきた。


「転移はできるけど1度行った事のある場所じゃないと無理だね」
「そうか……じゃあ悪魔達が占領してる神界を通って、その先のゲートを通って行くしかないな」


 ゲートを通るしかない、ね。まあそれしかないよね。


 私はクラウディアさんのペットのポチの背中で、空の雲を風魔法で動かして絵を書いて暇潰ししていた。
 クラウディアさんは順調過ぎる現状を見て、何か見逃していないかと必死に思考を働かせている。


 何が起きても問題ないね。
 ママ、待っててね。

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