女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

266話 面倒ごとを避けるため



 可愛いヒヨコのような生き物のアクセサリーを見つけたので、この生き物の名前が何なのか観察している。
 羽も何もなく、黄色いモフモフにクチバシと真ん丸な目があるだけ。鳥ではないのか?


「よぉ姉ちゃん、奢ってやるから俺らと遊ばね?」
「ひひひ」


 アクセサリーを観察していると、以下にも悪そうな見た目の大きな男2人が話しかけてきた。


「すまないが、私は今忙しい」
「んな事言わずにさ、一緒に遊ぼうよ」


 1人の男が俺の腕を掴んできた。
 しつこいな。


「今この店には連れが5人いる。もしこれ以上邪魔をするならんぐっ!」
「口を抑えれば助けは呼べねぇよ、ひひひ」


 もう1人の男が背後から口を抑えて、片手をがっちりと掴んできた。


 面倒事は起こしたくないのだが、仕方ない。
 俺は光魔法で全身に電気を纏った。


──バチッ
「痛ぇっ!?」
「なっ、なんだこいつ!」


 大きな男2人がたった1人の俺から離れた。


 さて、この2人をどう叱るべきか……、
 そんな事を考えていると、リグが駆けつけてきた。


「おいクロア、どうした?」
「この2人が絡んできたから抵抗しただけだ」
「……そうか。おい二人共」


 リグはすぐに状況を理解したのか、それなりに身長差のある男二人の前に立った。


「俺の嫁に手を出すな。分かったか?」
「は、はいぃっ!! すいませんっした〜っっ!!!」
「ひぃぃぃ!!」


 牙を剥き出しにして、威嚇するように言葉をかけると、男2人は一目散に逃げていった。
 やはりリグの顔は凶悪だな。


「変なところ触られなかったか?」
「大丈夫だ。というか、助けは必要なかったんだけど……」


 わざわざリグが来なくても俺一人で対処できたというのに、心配性だな。


「でももし助けなかったら怒るだろ?」
「まあな。カッコよかったよ」
「そ、そうか……」


 それじゃ、またお土産探し再開とするかな。


◆◇◆◇◆


 とりあえず俺が買うのは剣にも付けれる蝶のアクセサリーにした。
 綺麗な青い蝶々のアクセサリーは羽の部分が半透明になっており、光を通して綺麗に輝くのだ。これが置いてあったすぐ横には、


──これは面倒事を避け、体調が良くなるお守りです。


 と、丁寧に説明文が書いてあった。


 後は両親の分のお土産だけど、2人には美味しい食べ物が良いだろう。特産品の煎餅せんべいを二種類取って、皆の元に戻る。


「あっ! 来たよ」
「私達はもう買いましたから、後はクロアさんだけですよ」


 どうやら待たせてしまっていたようだ。


「おじさん、これ全部買うよ」
「よし、おじちゃん君が一番好みだから特別に……この三つ合わせて銅貨3枚にしよう!」


 何? ということは、1つ銅貨1枚? 安すぎる……。


「じゃ、じゃあ他にももっと──」
「クロア。早くしてくれ」


 リグが若干不機嫌そうに言ってきた。そのイライラの対象はおじさんに向いていた。
 どうやら、自分の嫁を好みと言ってきたのが許せないんだろう。独占欲でも働いているのか。


「じゃ、じゃあこれで……銅貨3枚、はい」
「どうも。またこっちに来ることがあったらおいで!」
「ありがとうございます」


 優しいおじさんだったな。まるで孫のように扱ってくれる。
 そして次はいよいよ、食巡り! ここらへんの美味しい食べ物屋さんを回ろう。


「じゃあ皆、お昼ご飯食べに行こう」
「僕丁度お腹空いてたんだ〜!」
「私もです。行きましょう!」
「行く」


 女達は皆賛成だ。リグとイザナギはどうだろう。


「そんなに腹は減ってないが、皆が行くなら俺も行こう」
「俺も勿論行くぜ!」


 よし決まりだ。
 どこの店に入るかが問題だが、この近くにはオシャレな飲食店が多い。外にある看板見て選ぶとするか。

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