女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

260話 さぁ銭湯だ



「アリスのそれで最後じゃないか?」


 他の皆は種を植え終わり、エリフォラと一緒に作業していたアリスが最後の数粒を持っていた。


「アリス、植えていいぞ」
「ううん、皆で植えよう」


 アリスの提案で、皆で一緒に植えることになったのだが……。


「イザナギの分が足りないな……」


 種は俺とリグとサタナ、エリフォラとアリスの分しか残っておらず、イザナギの分は無かった。


「じゃあ僕のあげるよ」
「えっ……いいの? サタナちゃん」


 おぉ、サタナは優しいな。


「いいよいいよ」
「じゃあ皆で、植えるか」


 それぞれ、種の植えられていない場所に座る。


「それじゃあ皆、お疲れ様でした」
「「お疲れ」」


 そう言いながら、それぞれ種を植えた。
 これで俺達の仕事は全て終わったのだが、かなり汚れてしまった。
 服や手の平の土を払って、立ち上がる。


「皆ありがとう」


 セルフィリアがお礼を言いにきた。周りのメイドさん達も笑顔で汗を拭いていた。


「セルフィリアもお疲れ」
「ふふ、ありがと。これで皆の仕事は終わった訳だけど、まだゆっくりしていっていいからね。旅館には銭湯とかあるから、そこで疲れを癒したりしてね」


 おぉ、銭湯か! 大勢で入る銭湯は苦手なんだけど、この少人数なら問題ない。


「転移で送ろっか?」
「私は問題ない。皆もいい?」
「俺も問題ない」


 他の皆の問題なさそうだ。やっとゆっくりできる!


「それじゃあ今日はお疲れ様! お礼とか……してあげれないけど、ごめんね」
「いいよいいよ。旅館をタダで貸し切ってくれたのが一番のお礼だから」
「それじゃあまたね!」


 セルフィリアに旅館の前まで転移で送ってもらい、俺達はすぐさま部屋に帰った。


 やはり室内はかなり暖かい。いままで冷えていた体がどんどん癒されていく。
 テーブルの上には、桶と大きなタオルがあった。


「え、もう銭湯に行っていいのか?」
「ぽいな」


 人数分用意されてるし、外から旅館を見た時に煙突から白い湯気が出ていた。今日は貸し切りだし、入ってもいいのだろう。


「よ〜し! レッツゴー!」


◆◇◆◇◆


 男湯と女湯に別れて、更衣室にやってきた。
 俺とサタナとエリフォラとアリスの4人が、一緒に温泉に入るなんて珍しい。


「僕達の着替えはこの籠の中でいいのかな?」
「だと思う。アリス、自分で服脱げる?」
「うん。でも身体洗えない……」
「それは大丈夫。私が洗ってあげるよ」


 4人は服を脱ぎ、俺とエリフォラはタオルを身体に巻いて、いよいよ大浴場へ!!


 更衣室から扉を開けると、そこには広い雪景色と共に広いスペースに体を洗う場所、そしてサウナや水風呂なんかがあった。
 雪景色を一望できるのだが、不思議と寒さ等は全く感じられない。


「おぉ〜! 僕こんなに広いお風呂で泳ぐのが小さな夢だったんだ〜!」


 サタナがすっぽんぽんではしゃいでいる。


「ほら、まずは身体を洗うぞ」


◆◇◆◇◆


「アリスは水苦手?」
「苦手じゃない。多分」


 アリスの身体を洗いながら、そんな話をしていた。


 流石に銭湯で溺れるって事はないだろうけど、アリスを1人にさせるのは危なっかしい。俺が傍に居てやった方が良い。


「隙あり!」
「なっ!?」


 突然、背後から胸を鷲掴みにされた。


「サタナ! ちゃんと身体を洗ってから遊ぶんだ。というか、銭湯は遊ぶところじゃないからな!」
「いや〜クロアのおっぱいも揉み心地良いけど、エリフォラの胸凄いよ。ハリがあってプルプル」


 何……? そんなに凄いのか。
 俺はアリスの頭にお湯をかけて、泡を洗いながしてからエリフォラの元に行く。


「さ、触っていいか?」
「うぅ……少しだけですよ?」


──もみっ


「っ!?」


 あまりの触り心地に、俺は思わず両乳を両手で揉み始めていた。
 この綺麗に整った形、巨乳なのに全然垂れていない。そして何よりもスベスベで程よい弾力がある。


「エリフォラのおっぱい羨ましい〜……」
「んっ……そ、そんなに揉まないでくださいよ。サタナさんの胸だってフニフニですよ」


◆◇◆◇◆


◆◇◆


「柔らか〜い!」


 ……落ち着け。


「クロアさんの胸は可愛いですね」


 隣から聞こえてくる声で、俺は何を想像しているんだ。ここは銭湯。公共の場であり、癒しの空間。
 男湯と女湯が一枚の柵だけで仕切られているからって、俺は何を考えているんだ。


 一足早く身体を洗い終えた俺は、湯に浸かりながら、妻クロアの胸の触り心地の感想に耳を立てていた。


「相棒、何してんだ?」
「何してんだって……何がだ?」


 たった今身体を洗い終えたイザナギが、横に座ってきた。
 ふっ、俺の方が勝っている。


「覗かないのか?」
「馬鹿なのか? 覗くなんて……」


 いや、この世界では罪としては罰せられないんだったな。ただ見つかったら社会的に死ぬ。


「俺は覗くな〜。あそこの岩に登って、更に柵をよじ登ればなんとか覗けると思う」
「やめておけ。見つかったら殺される」


 俺は更に深く体を湯に沈め、目を瞑った。

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