女嫌いの俺が女に転生した件。
254話 魔王集結
意外と快眠する事ができた俺は、目を覚ました時には気持ち悪さなんてどこかへ吹き飛んでいた。
「あっ、クロアさんおはようございます」
エリフォラがベッドに座ったたま本を読んでいた。
俺もこの前買った本は時間を見つけて読んでるんだよな。エリフォラは暇そうにしている。
「ん、あれ? リグとかサタナは?」
寝起きで気づかなかったが、2人がいない。荷物は持っていってないし、家の中にいるのは確かだ。起きてるなんて珍しいな。
「何やらクラウディアさんと他の魔王が来るそうですよ」
クラウディアと……他の魔王?
「それって、どういう事だ?」
「数百年ぶりに魔王が4人集まることになって、今日この家で会議が行われるそうです」
っ!? か、会議!? っていうか、数百年ぶりって歴史的じゃねぇか! それがこの家で!?
前に買った本で四人の魔王について書かれていたが、二日酔いで苦しんでいた時に来るとは思っていなかった。
「そ、それで魔王はいつ来るんだ?」
「クラウディアさんが連れてくるそうなので……分かりません。それと、クロアさん私も魔王って事覚えてますか?」
……?
「……あっ、エリフォラも魔王だったな。確か隣の大陸の」
「わ、忘れないでくださいね! タダでさえ突然力を失って、不安なんですから」
そうだな。今まで死神のべナードがエリフォラを守ってくれていたから、その姿のせいで魔王になったんだ。つまり、今は魔王としての力は無いという事になる。
下手したら魔王じゃなくなるかもしれない。
「まあ落ち着いて。ってことは、リグとサタナは下で準備?」
「あ、はい。料理をご馳走するみたいです」
料理……! サタナの料理美味しいんだよなぁ〜……あぁやばい。気持ち悪くて何も食べてなかったから、食欲が。
「行ってくる!」
「ヨダレ拭いてからですよ〜!」
◆◇◆◇◆
リビングに来ると、テーブルが綺麗に並べられていて、その上には美味しそうな料理達が……!
「うわぁ……うまそ……」
「魔王さん達が残したのは食べていいからね。我慢しよう」
──ギュルルルルル
俺のお腹は我慢できそうにない。
あまりの空腹に、準備をしているリグとサタナに目線を向ける。
「……じゃあサタナ、軽く作ってやってくれ。まだ時間はある」
「分かった。あ、じゃあ僕も食べよっと」
サタナに卵かけご飯を作ってもらった。どうやら醤油もちゃんとあるらしく、好きなだけ掛けて食べていいらしい。
俺はほんのちょっと醤油で黒みがかるくらいかけるのが好きだな。卵のマイルドな味と醤油の突き刺さるように濃い味が合わさり、程よい味になるのだ。
「美味しい〜! お腹空いてる時には何食べても美味しいかも」
「そだね〜! また戻さないか心配だけど、とりあえずこれでお腹いっぱいになるかも」
俺はサタナは、クラウディア達が来るまで卵かけご飯の味をしっかり感じながら待った。
◆◇◆◇◆
インターホンが1回。と思ったら、その後更に3回連続で鳴らされた。何を急いでいるのだろうか。
すぐにリグが玄関に行った。
「すまない。セルフィリアがインターホンを連打した」
「あ、いや……」
「凄いね〜インターホンっていうんだ。押すだけで音がでるんでしょ? 私じゃ考えられないかな」
「後で俺も押していいか? 面白そうだ」
何やら一気に騒がしくなったな。
「よぉクロア」
クラウディアがリビングにやってきて、それに続いて背の高い女性と同じくらいの身長の男性が入ってきた。
女性は、白い肌に白い長髪。まるで雪のように白い身体と氷のように透き通った眼をしている。
「皆さん初めまして〜、魔王セルフィリアです。姉です」
セルフィリアさん。本で読んだことがある。
それに続いて男性の方も自己紹介を始めた。
「バルディリス。一応弟だ」
バルディリスは赤髪に日焼けした肌。そして細マッチョである。運動が得意そうだ。
しかし、バルディリスとセルフィリアが姉弟だったなんて初耳だ。
本で呼んだだけだと、セルフィリアは極寒の大陸に住む魔王とだけ。バルディリスも暑い大陸に住む、くらいしか書かれていなかった。
「あっ、エリフォラを呼んできます」
リグが2階に上がっていった。俺もとりあえず立ち上がって、部屋の隅に移動する。
「わぁ……すっごい美味しそうな料理が沢山。これ全部食べていいの?」
セルフィリアが俺に尋ねてきた。
「は、はい。どうぞ」
緊張したまま、なんとか受け答え成立させてリグが来るのを待つ。
「あ! 皆もう来てたんですね。お久しぶりです」
「お久〜エリフォラ元気にしてた?」
「なんか魔力が弱いぞ」
う〜ん……なんだろう。今この瞬間、魔王が数百年ぶらに四人集まった瞬間だというのに……何とも楽しそうな空気だ。
「ほらお前ら、とりあえず椅子に座れ」
「もう〜……クラウディアはほんと堅物なんだから」
良かった。クラウディアはいつも通り場を仕切ってくれる。
これからどんな話が始まるのだろうか。
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