女嫌いの俺が女に転生した件。
225話 健康の為だよ
適当にリグの似顔絵を書いてみたが、酷かった。もう言葉に言い表せないほど気持ち悪い絵の完成だ。
「怖っ……」
「"完成したかな〜?"」
「したけど……これが完成と言えるかは微妙」
しかし、俺の中での精一杯がこれだ。本気を出して崩れた目玉焼きのような絵になるならこれ以上は何も無い。
「"他にも自由に描いていいけど、もういいかな?"」
「ああ。もういい」
これ以上絵を描いても恥ずかしいだけだ。
すると、部屋に研究員が入ってきて絵を回収していった。あの研究員、この絵を見て少し笑ってたぞ。
「"お疲れ〜薬飲んで自由に過ごしていいよ"」
部屋の隅に2錠の薬と水が転移されてきたが、またあの気持ち悪い感覚になるんじゃないかと不安になり手を出そうとする気分じゃない。
「"その薬は大丈夫だよ。定期的に気分が悪くなるのを抑える薬だから"」
「……そ、そうか」
じゃあ大丈夫……だよな?
2錠まとめて飲み込み、喉奥の異物感に耐えながら横になる。
「あ……眠くなってきた……」
「"薬の効果だね。気にせず眠っていいよ"」
眠気に抗うなんて事はできないからな。俺はそのまま重い瞼を閉じた。
◆◇◆◇◆
次に目を覚ました時には、部屋に2本の剣を持った研究員がいた。
「んぇっ? な、何?」
「"この人と身体を動かしてもらうよ。健康的にね"」
ああそういう事か。
「よろしく〜」
顔の見えない研究員が、剣を渡してきた。
とりあえず立ち上がってみたものの、何をしたらいいのだろうか。
「んじゃあ、行くよ〜」
研究員がゆっくりと剣を振り始めた。このくらいなら問題ないか。
適当に剣を受け止めて、お互いに剣で攻撃し合う。
実に詰まらない。
◆◇◆◇◆
「そろそろかな~?」
「……ん? 何が?」
突然、部屋の隅に1錠の薬と水が転移してきた。もう薬の時間が来たのだろうか。
「飲んで」
「粉薬? これ何?」
「いいからいいから」
いままでと違う薬に不信感を覚える。
「"心配しなくても健康の為の薬だから問題ないよ"」
そうなのか。しかし、粉薬は苦手なんだよな……口の中に残るというか……まあ我慢するしかない。
「あ、出来れば水もっとほしいんだけど」
「"了解〜"」
意外とこちらの要望にも答えてくれて、少しだけ研究員たちに対する好感度が上昇した。
「……よし」
二つの紙コップの前に座り、一気に粉薬を口の中に入れる。そして唾液で溶け始める前に、さっと水を入れて飲み込む。
「残ってる……」
すぐにもう1杯の水を使って、口の中でうがいした後に飲み込む。
「ふぅ……」
「じゃあ俺はここで」
部屋の中にいた研究員が帰っていった。
──ギュリュリュリュリュリュ〜
「え……」
突然の便意。それもかなり強い。
「"強力な下剤だよ。それ飲ませないと自分でトイレしなかったでしょ?"」
た、確かにトイレは我慢してた。
「やばい……」
すぐにでも漏れそうな感じで、その場で無駄な動きをしないように静止した。
「"ほらほら、出すならそこ袋に"」
「話しかけるな……」
「"どんなに耐えても便意は収まらないし、健康に悪いよ"」
くそっ……俺はこいつらの前で……出すのか。それもかなり大きい方を……。
「くぅっ……」
腹痛までやってきて、かなり耐えるのが辛い状況になってきた。
「"仕方ない。手伝ってあげて"」
研究員が部屋にやってきて、巻かれた紙と袋を持って近づいてきた。
「な、名にする……やめろ……」
研究員が近づいてくるが、俺は身体を動かせない状況にいる。このままだとやばい。
研究員が袋をお尻の下にやって、手を俺の腹に当ててきた。
「ま、待て……やめ」
──グッ
「あ゛ぁ゛っ」
その瞬間、ブボッブボッと音と共に研究員の前で勢いよく出てきた。
「あぁっ……あっ……そんなっ……」
力が入らず、止めることができずに全てを出し切った。
「あ……あぁ……」
研究員に袋を見せられ、中の物の大きさと臭いがはっきりと分かった。
その瞬間、俺の中の何かが壊れたような気がして、その場に力無く倒れる。
涙を流しながら、考えることを止めた俺の尻を研究員が拭いていく。それすらも、もうどうでもいい。
こんな姿……もしもリグに見られたら幻滅される。
「あは……あははっ…………リグ……」
リグに汚い物を見るような目で睨まれるのを想像した瞬間、涙と笑いが止まらなくなってきた。
「"う〇ちしたくらいで恥ずかしがる事ないよ。これから毎日するんだから、せめて1人でできるようになってもらわないと"」
「あはっ……」
「"聞いてないや……君、帰ってきていいよ。それも使うから"」
俺はしばらく放心状態で倒れていた。
このまま消えてなくなりたい……そう思いながら、目を閉じた。
コメント