女嫌いの俺が女に転生した件。
219話 愛する人との再開
ついに……ついにリグに会える。
いつもより早起きした俺は、いつ来るのかのソワソワしていた。
窓から外を見たり、リビングで椅子に座っては立ち上がって2階に戻る。このまま続ければ良い筋トレになりそうだ。
「クロア〜来たぞ〜!」
「っ!!」
リグの声が聞こえて、俺は無意識に転移で玄関にやってきた。
「はいっ!」
思いっきり玄関の扉を開き、リグと久しぶりの再開だ。
◆◇◆◇◆
「クロア〜来たぞ〜!」
べナードに突然、 「クロアに会いたくないか?」 って言われたから即答で答えたら今日来ることになった。
転移で送ってもらった俺は、すぐにクロアの家で名を読んだ。
「はいっ!」
元気の良い声と同時に玄関の扉が勢いよく開かれ、とても嬉しそうな笑顔のクロアが現れた。
しかし、何故かクロアの左目が青い。
「その目どうし──」
「リグッッ!!」
クロアは俺を見た瞬間に強く抱き締めてきた。
前より積極的になったなぁ……、と幸せを感じながらクロアの頭を撫でる。
「その目は──」
「ほら、上がって上がって!」
と、俺の手を引っ張って家の中に入れようとしてくるクロアは実に可愛かった。
流されるがままにリビングの椅子に座らされ、お茶を出してくれた。
そしてクロアが隣の椅子に座ると、腕を組んで顔を近づけてきた。
「久しぶり!」
「久しぶりだけど、落ち着け」
俺も久しぶりに会えて喜びたいところだけど、俺よりも喜んでるクロアを前にすると流石に冷静になる。
「あぁ〜懐かしい臭い……」
「元気にしてたか?」
「そりゃ勿論! もう訓練も順調よ!」
そういって拳を握った。
「リグの方こそ、私がいない間に問題とか起きてない?」
「問題か〜……」
基本的に問題だらけの家だからな……色々とありすぎて言いきれないな。
「この前はサタナが難しい料理を作って爆発してたな」
「だ、大丈夫なのか……?」
「まあ大丈夫だ。誰も怪我はしてないし」
これが日常になりつつあるからな。クロアの生活も聞きたいな。
「クロアは……何か神様と一緒に住んでるんだっけか?」
「ああ。竜人のアリスっていう女の子なんだけどな、ここの地下に封印されてたんだ。その子と一緒にな」
聞いたことあるようで知らない名前だ。
「何か困ったとかあるか?」
「今のところはないよ。ただリグがいなくて……寂しいというか」
ほんの少し顔を赤らめながら寂しいなんて言われたらどうなると思う。
「やっぱり可愛いな〜クロアは!」
クロアを全身で抱きしめてやると、一瞬ビクンと身体を固めた後全身の力を抜いて俺に身体を預けた。
「お前がクロアの夫かぁぁぁあああ!!」
クロアの小さな膨らみを堪能していると、急にどこからか男の声が聞こえた。
「あっお前!! 私とリグの時間を邪魔するな!」
「クロアは静かに。これは男同士の戦いだ」
「ク……クロア? こいつは?」
クロアと親しいみたいだけど……それにイケメンだし。まさか浮気……?
「イザナギだよ」
「イザナギッ!? おまっ、大丈夫なのか!?」
イザナギって危ないんじゃなかったのか? それに呼ぶにはクロアの魂が犠牲になるとかで……。
「えっと……説明すると長くなるんだけどな──」
クロアによって詳しい説明を受けて、俺はなんとなくではあるが理解した。
ついでに最初から気になっていた青い左目についても聞いた。
「……そっか……じゃあ浮気相手じゃないんだな」
「浮気なんてする訳ないだろ……」
「クロア……」
「リグ……」
お互いに強く抱きしめ合うと、クロアの愛の強さが分かった。
ギュッと締め付けてくる逞しくも守ってあげたくなる腕。俺の胸に当たる小さな膨らみ。黒い髪の匂い。全てが俺を幸せにさせる。
「おいっ! 無視するな!」
「あのさイザナギ。ずっと言ってるけど私はイザナギに嫁になる気なんて微塵もないし、リグと別れる気もない。しつこい男は嫌われるよ?」
「そんなっ……いままで俺を弄んでたのか?」
「違う違う。イザナギは友達としては好きだよ。ただ、リグの代わりになる存在なんてないって事」
「うぐぐ……」
イザナギは悔しそうに俺を睨んできた。
「悪いな……クロアの全ては俺の物だ」
「くやしぃぃぃぃぃいいいっっ!!!」
そう泣き叫びながらどこかへ去っていき、再び二人だけの空間ができた。
「モテる女ってこんな気持ちなんだな……」
「大変そうだな」
「本当に大変だよ……今日リグに会えて本当に良かった……」
「っ……」
クロアは無意識なんだろうけど、上目遣いで甘えてこられると理性が吹っ飛びそうになる。
落ち着け俺。クロアはただでさえ訓練で疲れてるんだ。
「リグも私がいなくて寂しかっただろ?」
「ま、まあな……すげぇ寂しかった」
「ふふ〜ん。今日は好きなだけ甘えていいぞ!」
そういって嬉しそうに両手を広げるクロア。
す……好きなだけ……。
その言葉に釣られて、俺の思考回路が下半身と繋がった。
「クロアッ!」
「ま、待てっ! それ甘えるって言わなっ」
クロアを近くのソファに押し倒し、上から覆いかぶさる。
「おはよ〜……お客さん……?」
まるでタイミングを見計らったかのように、誰かの声が聞こえて俺は理性を取り戻す。
「あっ……ああおはようアリス。私の夫のリグリフ。で、この子が竜人のアリスだ」
「す、すまないクロア……。よろしくアリスちゃん」
「クロアの夫……羨ましい……敵」
どうやらクロアの知り合いは俺を敵と見なす人が多いみたいだ。
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