女嫌いの俺が女に転生した件。
197話 絶対的強者
どうやら俺が魔力感知のできる人間だと理解したのだろう。安易に攻めようとはしてこない。
ならば俺から攻めるだけだ。魔力を持った2匹の狼を5倍の重量を与えて動きを封じる。
こうすることで、危険な爪や牙に捕らわれることなく攻めることができる。
……本当、神しか使えない無属性魔法ってチートだな。
改めて自分の力を実感しながら、2匹の狼に止めを刺す。
一気に重力を高めると、トマトのように赤い血を吹き出しながら潰れた。
最後の1匹となり、死んだ狼の魔力が全てその1匹に戻っていった。
さて、群れから離れた狼はどうなるのだろうか。
「グルルルルル……」
諦めたのだろうか。姿を表して威嚇する表情を見せた。
「ん……? お前、もしかしてリーダーか」
全身に何度も戦いを切り抜けてきたような傷がある。
「グル……グ……」
ん? 狼の様子が変わった。
「クゥ〜ン」
舌を出し、尻尾を振ってその場に伏せた。
どういう事だ……? まさか俺を強者と認めたとか……いや、そういうのではないな。
まさか……見つめ合ったことで何らの能力が発動したのか? しかし、俺の知っている限りでは元から存在する信仰心を増加する程度の能力しかないようだが?
もし、元から信仰心のない生物と見つめ合うことで、何らかの力が働くとすれば……この狼はその効果を受けてしまった。と考えれば良いのか。
「お、お手……?」
「……?」
どうやら命令は聞けないようだ。信仰心が無いとダメなのだろう。狼は頭を傾げている。
ふと、狼の下を見る。
「っ……でっか……」
巨大で大きくなった棒があった。
なるほど。どうやら元から信仰心が存在しない生物には、好意を与える程度の能力しか働かないのか。
狼はヨダレを垂らしながら俺をじっと見つめてきている。
うぅ〜ん……好意を持たれるのは良い事だ。何ならペットにしようとも考えた。が、流石に性的な対象に見られるのは勘弁だ。
「ごめんな」
狼の心臓だけに重力を集めて潰した。
◆◇◆◇◆
何か残酷な事をした気分だが……俺にそれなりの実力がある事は分かった。
そのまま帰ろうと、剣を鞘に収めた時。俺の視界がグルんと一回転して強く頭を打ち付けた。
「かはっ……」
上手く声が出せない。何が起きたのかすら、俺には理解できなかった。
腹部にとてつもない痛みを感じ、手を当てると真っ赤な血が出ていた。
「なん……だ……」
俺の身体を、大きな影が覆った。
上を見上げると、大きなタテガミのライオンが見下ろしていた。
その更に後ろには、ヤギの顔とヘビの頭。確か……神話か何かでこういうのを見たな。名前……なんだっけ。
ライオンの手が、俺の腕を踏みつける。腕の骨がバキバキと折れる。
「お前……名前なんだっけ……」
話しても言葉は通じない。
いつの間にかヘビが足に噛み付いていて、魔力を全て吸い取られている。
あぁ……何もできずに死ぬのか。
  べナードには死んでも大丈夫だと聞いているが、やはり死を目の前にすると怖いな。
「早く殺してくれ」
目を合わせないように閉じる。
──久しぶりに地上に降りてきたのだが、貴様だけはほんの少しだけ楽しかったぞ。
そんな声が聞こえて、次の瞬間には俺の頭は潰されていた。
◆◇◆◇◆
「はっ!」
目を覚ますと、俺は寝室のベッドに寝ていた。べナードの言う通りだ。
「クロア、いきなりここに転移してきた」
「そ、そうか。頭とか潰れてなかったか?」
「怖いこと言わないで」
「あぁごめん」
死ぬ間際に聞いた声、あれはあの魔獣の声だろうか。女の声だった。
俺ですら、手も足も出せない存在。それが死神界に存在しているのか。アイツを倒せないようじゃべナードを倒すことはできない。
「ふぅ……とりあえず、今の目標は決まったかな」
「悔しそうな顔してる」
「ああ、悔しいよ。何もできずにやられた」
俺があっさりと死ぬなんてな。
それからしばらくは、悔しさから立ち直る事ができなかった。
ならば俺から攻めるだけだ。魔力を持った2匹の狼を5倍の重量を与えて動きを封じる。
こうすることで、危険な爪や牙に捕らわれることなく攻めることができる。
……本当、神しか使えない無属性魔法ってチートだな。
改めて自分の力を実感しながら、2匹の狼に止めを刺す。
一気に重力を高めると、トマトのように赤い血を吹き出しながら潰れた。
最後の1匹となり、死んだ狼の魔力が全てその1匹に戻っていった。
さて、群れから離れた狼はどうなるのだろうか。
「グルルルルル……」
諦めたのだろうか。姿を表して威嚇する表情を見せた。
「ん……? お前、もしかしてリーダーか」
全身に何度も戦いを切り抜けてきたような傷がある。
「グル……グ……」
ん? 狼の様子が変わった。
「クゥ〜ン」
舌を出し、尻尾を振ってその場に伏せた。
どういう事だ……? まさか俺を強者と認めたとか……いや、そういうのではないな。
まさか……見つめ合ったことで何らの能力が発動したのか? しかし、俺の知っている限りでは元から存在する信仰心を増加する程度の能力しかないようだが?
もし、元から信仰心のない生物と見つめ合うことで、何らかの力が働くとすれば……この狼はその効果を受けてしまった。と考えれば良いのか。
「お、お手……?」
「……?」
どうやら命令は聞けないようだ。信仰心が無いとダメなのだろう。狼は頭を傾げている。
ふと、狼の下を見る。
「っ……でっか……」
巨大で大きくなった棒があった。
なるほど。どうやら元から信仰心が存在しない生物には、好意を与える程度の能力しか働かないのか。
狼はヨダレを垂らしながら俺をじっと見つめてきている。
うぅ〜ん……好意を持たれるのは良い事だ。何ならペットにしようとも考えた。が、流石に性的な対象に見られるのは勘弁だ。
「ごめんな」
狼の心臓だけに重力を集めて潰した。
◆◇◆◇◆
何か残酷な事をした気分だが……俺にそれなりの実力がある事は分かった。
そのまま帰ろうと、剣を鞘に収めた時。俺の視界がグルんと一回転して強く頭を打ち付けた。
「かはっ……」
上手く声が出せない。何が起きたのかすら、俺には理解できなかった。
腹部にとてつもない痛みを感じ、手を当てると真っ赤な血が出ていた。
「なん……だ……」
俺の身体を、大きな影が覆った。
上を見上げると、大きなタテガミのライオンが見下ろしていた。
その更に後ろには、ヤギの顔とヘビの頭。確か……神話か何かでこういうのを見たな。名前……なんだっけ。
ライオンの手が、俺の腕を踏みつける。腕の骨がバキバキと折れる。
「お前……名前なんだっけ……」
話しても言葉は通じない。
いつの間にかヘビが足に噛み付いていて、魔力を全て吸い取られている。
あぁ……何もできずに死ぬのか。
  べナードには死んでも大丈夫だと聞いているが、やはり死を目の前にすると怖いな。
「早く殺してくれ」
目を合わせないように閉じる。
──久しぶりに地上に降りてきたのだが、貴様だけはほんの少しだけ楽しかったぞ。
そんな声が聞こえて、次の瞬間には俺の頭は潰されていた。
◆◇◆◇◆
「はっ!」
目を覚ますと、俺は寝室のベッドに寝ていた。べナードの言う通りだ。
「クロア、いきなりここに転移してきた」
「そ、そうか。頭とか潰れてなかったか?」
「怖いこと言わないで」
「あぁごめん」
死ぬ間際に聞いた声、あれはあの魔獣の声だろうか。女の声だった。
俺ですら、手も足も出せない存在。それが死神界に存在しているのか。アイツを倒せないようじゃべナードを倒すことはできない。
「ふぅ……とりあえず、今の目標は決まったかな」
「悔しそうな顔してる」
「ああ、悔しいよ。何もできずにやられた」
俺があっさりと死ぬなんてな。
それからしばらくは、悔しさから立ち直る事ができなかった。
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