女嫌いの俺が女に転生した件。
192話 スキルの能力確認
しばらくいつも通りに生活していたのだが、特に変わった様子はない。セシルさんは信仰心と少し関係があると言っていたが、どういう事なのだろうか。
もしかすると、既に能力が発動しているけど気づいていないだけの可能性もある。
「なぁアリス、ここ目について何か気づいた事ってあるか?」
いつものようにベッドで寝ながら、ダラダラと過ごしているアリスに聞いてみる。
「ない。けど、かっこいい」
それだけかぁ……【女神の魔眼】っていうくらいだし、凄そうなスキルだとは思うんだけどな。
「そろそろ夕食にするから、下行くよ」
「分かった」
「……あれ?」
「どうしたの?」
アリスが素直に言う事を聞くなんて珍しい。いつもなら 「面倒臭い、持ってきて」 なんて言いそうなのに。
こんなことを聞くのもアレかと思うが。
「面倒臭くないのか?」
すると、アリスは少し考えるような仕草をした。
「面倒臭い。でも、なんとなくそんな気分になった」
いや、アリスが面倒臭がらないなんてありえない。もしかすると、これが【女神の魔眼】の能力の一つだろうか。
「料理作ってみて」
「初めてだけど、頑張る」
やはり……今のアリスはどんな命令にも従ってくれる。
「あ、やっぱり作らなくていいよ」
「そう」
これは目と関係しているのだろうか。試しに、アリスを見ないで命令してみるか。
「部屋の掃除して」
「それは面倒臭い、嫌」
ほほ〜? 対象を見ながら命令しないといけないのか。しかし、そうなるとべナードを操って殺す事だって出来てしまう。何か穴があるはずだ。
その穴を早く見つけて、どうにかしなければならない。
「とりあえず、夕食作るから行こう」
「うん」
俺はアリスをリビングに連れていき、サラダを作った。
◆◇◆◇◆
次の日の朝から、池の近くで【女神の魔眼】の能力を試す事にした。
とりあえず猫に、『鳴いて』 と命令する。
が、俺に甘えてくるばかりで鳴く様子はない。
「言語が理解できないと意味がないって事か」
少しずつ分かってきたかもしれない。ただ、大きな穴は今のところ見ていない。本島に最強の能力なのだろうか。
「よしよし」
木の影で猫を撫でながら、俺は思考を回転させた。
「ちょっと目に魔力を集中させてみるか」
試しに、目に魔力を集中させて猫を見る。
すると、猫の身体の中に青い血管のような物が助けて見える。もしかすると、魔力が見えるのだろうか。
猫が動かしている部位は、青色が濃くなる。もしこれで魔力が見れるのなら、戦いで有利に立てるはずだ。
帰ったらアリスの魔力を見てみるか。
「よし、ちょっとどいてね」
「にゃあ」
膝の上から猫を降ろそうとした時、猫が自らの意思で降りた。
「……たまたま? 鳴いて」
これが命令になったのか確認する為に、最初に命令した事をもう1度命令する。
「ニャ〜」
鳴いた。……どういう事だ?
最初は命令を無視していたが、後になって命令を聞くようになった。時間が関係するのだろうか。
好感度……って訳ではないよな。よく分からないが、一旦帰ろう。
俺は持ってきた荷物をまとめて、左目に魔力を集中させながら帰り道を歩く。
野生の生き物達の魔力がはっきりと見えて、隠れている動物達の居場所も簡単に把握できる。
この目を使って気づいたのは、木や草にも魔力があるという事。そして空を見上げると、うっすらと風のように魔力が流れている事。
空気中のは魔素だろう。魔力を視認できるというのは便利だな。
◆◇◆◇◆
「ただいま〜」
「おかえり」
家に帰ると、アリスはしっかりと留守番をしていた。
とりあえずアリスの魔力を確認する。
「……」
全身が青く染まっていて、かなりの魔力量だということが分かる。
もう魔力は完璧に回復してるんだし、そろそろ散歩しても良いだろう。
「たまには外を散歩しないか?」
「面倒臭い……」
おろろ、今度は命令を聞かない。
どういう事だ……いまいち条件が分からない。
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