女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

186話 お料理のレン先生



「ふぃ〜ただいま」
「あ、クロアさんおかえりです」


 腹が減ったので帰ってきた。


「レン君は料理とかできるか?」
「卵ってありますか? 目玉焼きっていうのなら……下手ですが作れますよ」


 ほへ〜凄いな。俺何も作れねぇや。


「あ、作り方教えましょうか? 簡単ですよ」
「本当? じゃ、お言葉に甘えて教えてもらおうかな」


 俺がそういうと、レン君は少し嬉しそうな顔をした。いつもは俺がこの世界について教えているから、逆の立場になると楽しいのだろう。


◆◇◆◇◆


「そろそろ蓋開けても大丈夫だと思います。多分」
「よし……」


 レンの指示通り動いたし、きっと大丈夫だろう。
 ついに俺も美味しい料理を作れるようになるんだ。


 蓋を開けると、良い感じの焼き加減の目玉焼きがプクプク動いていた。


「ほわぁぁ〜……美味しそう……」
「へぇ〜この世界って結構色んな食材とか調味料あるんですね」


 レン君が食器棚の上にある塩や砂糖、コショウ。冷蔵庫の中にある食材や調味料を見て驚いている。


「まあ、日本の文化を沢山取り入れてるからな」
「やっぱり転移者や転生者が多いとそうなるんですね」


 さて、後は目玉焼きを皿に移して醤油をかけるだけだ。


 「レン君お願い。私はご飯用意するから」
「あ、はい」


 何か夫婦みたいだな。リグとこういう生活をしたいものだ。


◆◇◆◇◆


「美味しいな」
「クロアさんの愛がこもってますからね」


 くっ、ハーレム主人公め。さらっと言いやがって。それも笑顔……俺が俺じゃなかったら落ちてたぞ。


 俺が作った目玉焼きを食べながら、レンはふと食器棚に目を向けた。


「あの食器棚の裏って何があるんですか?」
「あ〜あれ、私も分からないんだ。できれば後で一緒に見に行くか」


 すっかり忘れていた。レンなら身体強化で動かす事ができるだろう。


「そっか、クロアさん力が無いから動かせないのか」
「酷いなぁ……ヒョロそうに見えるけど筋肉はあるんだぞ? まあ力が無いのは否めないけど」


 筋肉と力は比例しない、かもな。


「ご馳走さまです。美味しかったですよ」
「良かった良かった」


 レンが完食したので、俺も急いで残りを食べる。


◆◇◆◇◆


「よし……身体強化はできるよな」
「はい。家で練習してました」
「じゃあ頼む」


 レンが身体を強化して、食器棚を抱き抱えて持ち上げる。


「あっ、軽い。身体強化って凄いですね」


 俺も改めて魔力の力って凄いと思ったよ。
 レンが食器棚を隣にズラすと、裏から下へと続く階段が現れた。真っ暗で何も見えないが、どこに続いているのだろうか。


「明かりは壁に魔道具があるし、それ使って進もう」
「俺が先に進みますから、クロアさんは後ろで」


 レンに魔道具を持たせて、階段を降りていく。
 この先には一体何があるのだろうか。


 ドキドキしながらレンの後ろを着いていくと、どうやら広い空間に出たようだ。


「何も見えないですね」
「怖いな……魔物とかいないだろうな」


 念の為に剣と魔力を貯める魔道具を持ってきてはいるが、咄嗟にレンを守れるだろうか。


「どう探索します?」
「まずは壁から……だな」


 他の部屋に続く道や、壁画なんかがあれば良い発見となる。ロマンだロマン。


「では行きましょう」
「っ!」
「あ……ごめんなさい」


 レンが手を繋いできたから、咄嗟に振り払った。


「いや、いいんだ。ただちょっとな」


 う〜ん……やはり、以前にリグと喧嘩して酔っ払った時のアレが少しトラウマになってるな。リグ以外の男に腕を引っ張られると恐怖を感じてしまう。


「気にしないで進んでくれ」
「分かりました」


 まあレンもレンだ。ちょっと好感度が上がったからって簡単に手を繋げれるほど俺はちょろくない。恋愛ゲームだったら即嫌われて主人公自殺endだ。
 そんなの無いけど。


 しばらく壁に沿って進んでいるが、特に変わった様子のない土の壁だ。


「あっ何か……って入り口か」


 一周して階段に戻ってきてしまった。


「広さはそんなに無いみたいだし、真ん中に何かあるのかもな」


 この空間は一体何なのだろうか。

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