女嫌いの俺が女に転生した件。
185話 レン君はお留守番
体内での魔力操作を教えていくと、レンは簡単にマスターした。魔力の細かい調整、身体能力の向上。
「レン君はセンスがあるな」
「本当ですか!? じゃあ僕なら有名になれますか?」
「有名になれるかは分からないけど、行動しだいだね。この世界には沢山の転生者と転移者がいるから」
「沢山の……!? 本当ですか」
たった1人の転移者に何かができたとしても、それは既に他の転移者もやっている事。死神界を出る事ができればクラウディアの元に渡そう。
「あの、クロアさんはどんな魔法が使えるんですか?」
「うっ……今は……」
偉そうな事を言っておきながら、今は魔法が使えないなんてダサすぎる。
「も、もしかして……魔法が使えないんですか?」
「い、今はね。しばらくしたら使えるようになる」
「……頑張ってください。僕、クロアさんが魔法使えるようになるまで応援します!」
何か勘違いしてるぞ……でもまぁ、めんどくさいしいいや。変に強がることは無い。
「と、とにかく。今日は終わり! 寝るよ」
「僕はどこで寝れば……」
「そこのソファにでも寝ればいい。今日はそんなに寒くない」
「わ、分かりました」
俺と一緒に寝れるなんて思ってるんじゃないだろうなハーレム主人公。絶対ハーレムの一員にはならねぇからな、この野郎。
俺は勇者ワタルの影響でハーレム能力に対し殺意を持っている。
ハーレム能力者に鉄槌を。
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寝室に来た俺は、すぐにベッドで横になり目を閉じる。明日は訓練しないといけないし、レンには留守番を頼まなければならない。注意点を色々教えないとな。
窓開けるな。森の中に入るな。寝室に入るな。
まあそれは明日考えるとして、どういう訓練をするかが問題だ。
今日泳いだ池に行って泳ぐか。水泳は全身の筋肉を使うから良いトレーニングになるだろう。
水の中で剣の練習をすれば、体幹トレーニングもできる。池の周りを走れば体力トレーニング。
今後俺の訓練場所は池になりそうだ。
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朝から俺はバタバタしていた。
自分とレンの朝食を作り、訓練の準備をし、食器を洗い、留守番のお願いをする。
朝食は不味かったが、ちゃんと食べてくれた。留守番もしっかりしてくれるだろう。
「窓だけは本当に開けるなよ」
「分かりました。あの、本当にこの家に住んでもいいんですか?」
「今更だな……まあ、一時的ではあるが住んでいい。とある人が来たらそっち側に行ってもらうけどな」
とある人ってのはべナードかクラウディアだ。今は行く宛のないレンを仕方なく泊めてあげてるだけであって、本当は一人暮らしを満喫したいんだ。
「迷惑……じゃないですか?」
「大丈夫。しっかり留守番しててくれれば問題ない」
「分かりました。あ、暇になったらどうしたらいいですか?」
「外に出れば動物達が集まってくるから、庭で遊んでるといい」
「了解です」
レンは敬礼のポーズをとった。
本当に大丈夫かコイツ。
「じゃあ行ってくるから、頼んだよ」
「はい。クロアさんも気をつけて」
若干の心配を感じつつ、俺はあの池に向かった。
頼むこと頼んだよな? 窓開けるなって言った? 勝手に寝室入らないよな?
そういう心配が俺の心を埋めて、訓練に集中できそうにない。
「落ち着け……深呼吸」
深呼吸をすると少しだけ心配が解れた。これで訓練に集中できる。
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池に到着して、早速服を脱ぐ。
「絶対に取っちゃダメだからな」
周りの動物達に念を押して注意した後、池の中に飛び込む。
やはり、いつも綺麗な池の中は気持ちが良い。とりあえずクロールで肩の筋肉を鍛えよう。剣を扱う場合特に肩が重要になってくるからな。
俺が泳ぎ始めると、周りの動物達も池の中に入って気持ちよさそうにパチャパチャ泳ぎ始めた。
「可愛い…………はっ!」
いかんいかん。このままだと動物達と遊んでしまいたくなる。訓練に集中だ。
気分を改めて、再び泳ぎ始める。
泳いでいると、動物達が身体の上に乗ってきたり、近づいて身体を擦り付けてきたりする為常に癒されていた。疲れなんて感じず、楽しく訓練ができそうだ。
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