女嫌いの俺が女に転生した件。
175話 連続死
それからというもの、俺は子クロアに連敗続きだ。最初に勝てたのはたまたまだったという事だろう。
時には心臓を貫かれ。
時には肋骨を折られて、骨が内蔵に刺さり。
時には死ねなくて痛みにもがいたり。
しかし、たまに子クロアが地面に溜まった血で足を滑らせてチャンスが生まれる時もある。俺はそれを狙って戦っていた。
そして、段々と身体が悲鳴を上げてきた。上手く動かなくなってきて、身体が重い。
「そこまで。休憩にしよう」
べナードがやってきて、子クロアが煙に戻って瓶の中に戻る。
「あっ……」
「ん? どうした」
「い、いやなんでも」
子クロアが煙に戻った時、何故か悲しくなった。あれで思考も全てリセットされたんだよな。……もう二度とあの子クロアには会えないのか。
「しばらく休憩だ。クラウディア、マッサージでもしてやれ」
「ああ。クロア、こっちに来てくれ」
血だまりの無い場所まで移動して、クラウディアに寝させられると、いつの間にか筋肉痛になっていた場所をモミモミされはじめた。
「あぁ〜……気持ちぃ〜……」
「辛かったろ」
「ん、まあ何回も死ぬのは嫌だね……死んでから3秒待ってる間、いつも生き返れなかったらって考えて怖くなってた」
クラウディアに全身をモミモミされながら、今までの疲れを全て吐き出す。
「辛くなったらいつでも俺を頼るんだぞ。なんでも息抜きに付き合う」
「ありがと。……いつも本当にありがとう」
改めて、日頃の感謝をクラウディアに伝えると、驚いたように顔を赤くした。
「礼を言われるのは慣れていない」
「本当に感謝してるよ。子供生まれた時も、リグが浮気した時も。全部感謝してる」
「そうか」
嬉しそうな笑顔を見せたクラウディアに、ついドキッとしてしまう。
「次リグが浮気したら、私も本気でクラウディアに恋しようかな」
「はははっ、俺は別に構わないが子供が悲しむ」
ま、リグには絶対に浮気なんてさせないからな。死ぬまで愛してもらうんだ。
ーーーーー
ーーーーー
「こら、尻を抑えるな」
「うぅ……」
──ぷぅ〜
休憩が終わって、またコピー作成の時間だ。
地獄のオナラが止まり、全裸の俺が現れる。
「服はどこだ」
「ほら」
クラウディアが、さっきのコピーが着ていた服を渡すと、ちゃんと着始めた。
さっきのコピーと違って、服装が整っている。
「そんじゃ、また合図するから頑張れよ」
べナード達が結界の外に出て、合図を送る。
「始めっ!」
今度は先行を取って先に殺してやろうと、子クロアの懐に飛び込む。
さっきの戦いで分かったのは、この結果内では能力が発動しないという事。お互いちゃんとした戦いになるよう封じられているのだろう。
どこから攻撃されても大丈夫なように、しっかり防御を取りながら魔力を右手に集める。
いける。
魔力を大量に溜めた右手を、子クロアの腹部へと──。
「なっ!?」
「カウンター成功」
子クロアが俺の右腕を掴み、肘を曲げられる。
そのまま右手が俺の顔に……。
そうして、俺の顔はグチャグチャに爆発して死んだ。
どうやら今度の子クロアはカウンターに特化しているようだ。新鮮だが、さっきの子クロアよりも迂闊に手は出せないな。さっきのようにスピード型よりは死なないだろうがな。
そうして俺は、カウンターされながらも確実にに勝利数を上げていった。
さっきの子クロアよりは弱い。そう調子に乗り始めた時だ。
剣を持っている左手が、急にグッと曲がって自らの胸を突き刺した。
「な゛っ……」
子クロアを見ると、フワフワと浮いている。
どうやら無属性魔法で重力を操ったのだろう。重力で潰されないだけマシだと思ったが、次の瞬間には潰れていた。
マズイ。これは逃げられない。生き返った瞬間に潰されるの繰り返しだ。
なんとか生き返った瞬間に子クロアの背後に転移を試みたが、まるで虫のように重力で潰される。
「終了だ」
そこにべナードがやってきて、訓練は終わった。
「うぅ〜……潰されるの痛すぎる……」
一瞬とはいえ、全身に激しい激痛が走るんだ。トラウマレベルだな。
「今日の訓練はここまでだ」
そうして今日の訓練が終わった。
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