女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

155話 オーク×男の娘



 男性の悲鳴が聞こえた方へすぐ駆けつけると、美少年なのか少女なのか分からない顔をした人間が座り込んで、オークに襲われそうになっていた。
 オークは大きな棍棒を振り下ろそうとしている。


 咄嗟にオークと人間の間に入り、能力によって防御。
 そしてサタナが鋭い氷を発射して、オークの頭に貫通してなんとか人間は助かったようだ。


「大丈夫か?」


 振り返って人間の安否を確認すると。


「あ……ぁ……ありがとう……ございます……」


 お股から黄色い液体が流れている。
 というか、この人間は男なのか女なのか分からない。顔は完全に整った美少女だ。だが声が男……いや、女に聞こえなくもないが男だ。


「……女?」
「いっ、いえ! 男です! リョウタっていいます」


 なるほど、日本人転移者か。となると、戦闘経験はまだ浅くいきなり死にそうになったところを、俺達に助けられた、と。


「最近は魔物が凶暴になってるらしいから気をつけるんだぞ。ほら、立て」
「あ、その……腰を抜かしてしまって……良ければ手を……」
「ほら」


 リョウタに手を貸して立ち上がらせると、漏らしてしまった事に気づいたのか恥ずかしそうに股を抑えている。
 にしても、立ってると本当に女に見える。髪も肩まで伸びてるし、女に間違えられてもおかしくないな。


「1人で帰れるか?」
「帰るって、どこに?」
「あぁ……じゃあ近くの国まで連れてってやるけど、しばらく付き合ってもらうぞ」
「は、はい!」


 転移者なら何か能力を持ってるはずだし、見てみたいな。


 それから俺達は、リョウタを引き連れて魔物を狩り。自由気ままに戦っていた。
 いくら凶暴になっているとはいえ、流石に俺達ほどになるとここらへんの魔物は楽勝だ。今度はもっと遠く離れた場所に行くようリグにお願いするか。
 手応えのある戦闘じゃないと、俺の腕も上達しない。


「リグ、ちょっと森の奥に行かないか?」
「そうだな。ここら辺の敵はもう狩り尽くした」
「き、危険です! 奥にはオークがうじゃうじゃと──」
「じゃあ尚更行こう!」


 リョウタの情報提供によって、俺達は更に気合を入れて森の奥へと進んでいった。


ーーーーー


ーーーーー


 リョウタの情報通り、森の奥にはオークが集まっていた。どこに集まっているのか気になって見てみると、オーク集団の真ん中に、小さく丸まったオークがいた。
 そのオークを、周りのオークが蹴ったりの暴行。虐めだ。


「漁夫の利!!」


 俺は身体の90%を雷に変えて、風魔法で防音。そのままオーク達の頭を切り落とす。


「これでかなり儲けられたな」
「やっぱお前すげぇよ……」
「これでもクラウディアにゃ勝てない」


 だが、まだ虐められていたオークは殺していない。そいつに知性があるかないかの判断で、生きるか殺すか決めなければならない。


 オークが立ち上がって周りをキョロキョロした後、俺を見つめてきた。


「……」


 しばらく見つめていると、オークの下半身の布から黒い何かがはみ出してきた。


「グフゥ」
「気持ち悪っ……」


 ニヤッと汚い笑みを浮かべたオークの頭を、風魔法で切断した。
 やっぱり野生のオークはまともな奴がいない。


「クロア、リョウタが気分悪いってよ」
「ん? 大丈夫か?」
「実は……オークのアレを見て思い出してしまって……」


 思い出した?


「僕……実は何度もお尻の穴に入れられた事があるんです……男の人に」
「オークじゃなくて良かったな」
「いえ……実はさっき助けられる前も、オークやゴブリンに犯されまくって……必死に逃げていたら追手に見つかったところです」


 あぁ〜……リョウタの尻はガバガバになってるのか。


「気分が悪いなら休むか?」
「は、はい……ありがとうございます」


 まあいくら男だとしても、こんなに女みたいな顔してたら男なら反応するだろうな。俺はしないけど。


「ねぇ君、今お尻の穴はどうなってるの〜?」
「サタナ変な事聞くな」
「……まだ……色々入ってます……うぅ……」


 あ〜あ、泣いちゃった。
 

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