女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

154話 ドラゴン発見の報酬と嫉妬



 仕事をしにギルドに向かうと、何やら建物の周りに人集りが出来ていた。
 気になって人々の目線の先を見ると、外にある掲示板にこんな張り紙が貼ってあった。


──大発見! 頭の無いドラゴンの死体を、ある冒険者の情報によって回収する事が出来た。情報を提供してくれた冒険者には報酬として金貨200枚を出そう。ギルドマスター。


 との事だ。金貨200というと200万円だ。大災害を起こすドラゴンの死体だけで200万なら、もしドラゴンを倒したと正直に言っていれば……想像もつかないな。
 周りの人達の声に耳を傾けると。


「俺が見つけた!」
「何言ってる! 俺が見つけたんだ! 200万は俺の物だ!」
「お前達嘘をつくな!」


 どうやら報酬の為に嘘ついているようだ。見つけた本人は俺達だというのに。


 人混みを掻き分けて、なんとかギルドの中に入る。


「あっ! リグリフさん! それにクロアさんにサタナさんにエリフォラさん! ドラゴン発見ありがとうございました!!」


 昨日のケモミミの受付女性が、俺達を見た瞬間明るい表情でそう言った。そのお陰で、周りにいた冒険者達の目線が俺達に集中する。


「見つけただけで200万円って凄いな」


 リグが頭を掻きながらはははと笑っている。


「もしかしてドラゴンを倒したのも貴方達何じゃないですかぁ? リグリフさん強そうです!」
「そ、そうか? ははは」
「ふんっ」
「痛てっ! わ、悪い悪い……」


 何デレデレしてんだ。あの時一目散に逃げようとしてたのお前だろ。


「リグリフさんとクロアさんってご結婚なさってるんですよね? 今度お話聞かせてもらえませんか?」


 また冒険者達に注目される。


「ん、ん〜……そんな時間はないかな〜……」


 俺はエリフォラを見てそう言った。
 なるべくエリフォラには思い出を作ってほしいし、俺は少しでも強くならなければならない。話している暇があるなら訓練だろう。


「嫉妬するなクロア、大丈夫だ。話すくらいでお前から離れたりしないよ」
「「おぉ〜!」」
「流石夫!」
「大事にしてやれよ!」


 リグのせいで周りに大きな勘違いを起こさせてしまった。サタナとエリフォラも微笑んで拍手してやがる。
 とにかく今は戦闘経験を身につけることが大事だ。


「仕事」
「あぁそうだ。何か依頼入ったか?」
「あんまり来てないですけど、2つか3つは受けられると思いますよ」


 ギルドは常に依頼がある訳じゃない。依頼が全くない時なんかもあり、そういう時は魔物を狩って金にしている。


「じゃあまた森に行くか」
「気をつけてくださいね。ドラゴンだけじゃなく、他の凶暴な魔物も出現しているようなので」
「大丈夫だ。俺は死なない」


 さっきからリグ、受け付けの人にデレデレしすぎじゃないか? 死なない。なんてカッコつけやがって。


「あっ、クロアさんが不機嫌になる前に私はこれで。ではいってらっしゃいませ」
「あ、ああ。……別にデレデレしてないからな」
「してた」


 嫉妬というのは何とも言えない感情だ。
 リグは俺の物だと見せつける為に、腕を組んでギルドを出た。


「二人ともラブラブだね〜」
「サタナさん、私達も腕を組みましょう」
「えぇ〜巨乳の人と組みたいなぁ……まあいいや」


 後ろでサタナとエリフォラがレズカップルのような事をしているが、俺とリグは気にせず人混みの中を進んでいった。


ーーーーー


 また昨日の森に到着し、早速魔物狩りの開始。


 昨日とは違う魔物が増えていて、小さな人の姿をした魔物ゴブリンが武器を持って歩いてたりしている。


「今日は集中的にクロアに戦わせるが、2人はいいか?」
「僕はいいけど〜?」
「どうしてクロアちゃんなんです?」
「ん〜……まあちょっとした事情だ」


 エリフォラに説明するのは難しいよな。
 と、その時だった。


「うわああぁぁぁぁああっ!!」


 どこからか男性の悲鳴が聞こえた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品