女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

141話クロアの性癖調教

「ふんふふ〜ん」


 今、俺の横には本が入った袋を抱えてゴキゲンにスキップしている魔王エリフォラがいる。
 今度は疲れた日の夜に行くと落ち着く、という場所まで向かっている。


「エリフォラちゃん、それ持とうか?」
「大丈夫です。幸せの重みを感じなくてはダメなのです」


 幸せの重み、ね。俺もゲーム機とか買って箱を運んでいる時のワクワク感は凄かった。


「そろそろ到着です」
「どこに?」
「温泉です。城よりも施設が充実していて、美味しい飲み物が沢山飲めるんですよ!」


 温泉か。確かに疲れた日は良さそうだけど、昨日城の風呂に入ったしな。


「今日は場所を見るくらいでいいだろう」
「はい。場所を知ってもらおうと思いまして。その温泉、凄く人気で朝から入る人もいるんです」


 まあこの世界に温泉なんてそんなに見ないからな。


ーーーーー


ーーーーー


 しばらく歩いていると、屋根の煙突から煙が出ている建物を見つけた。ここが温泉だろう。


「到着しました」
「お〜確かに朝早いのに入る人いるな」


 桶を持って入っていく人が数人。出ていく人が数人。朝からかなり忙しそうだな。


「いつか一緒に行きましょうね」
「ああ。その時は他の人も連れてきたいな」
「いいえ、私とクロアちゃん2人きりですよ」
「わ、分かった」


 何故そうも俺と2人きりが良いのだろうか。
 というか、使い魔のカーカー君がいるから2人きりではないような。


「ではでは、次は美味しいところに行きましょう」
「美味しいところ! 良さそ……ちょっと待て」
「どうしました?」


 ふと、温泉の建物と隣の建物の間の道を見ると、子供達が肩車なんかをして中を覗いていた。
 その子供達の中には、今朝謝ってきた少年もいる。


「あのガキ共……エリフォラ、ちょっと待っててくれるか?」
「は、はい」


 俺は覗きをしているガキ達の元に向かった。


「朝から堂々と覗きとは、いい度胸してるじゃねぇかエロガキ共」


 指の骨をポキポキと鳴らしながら、ガキ達に近づく。
 あの少年が俺に気づいた。


「あっ、この人が俺が言ってた人だよ。"貧乳ゴリラ"」
「"貧乳ゴリラ" だ〜!!」
「や〜い "貧乳ゴリラ" !」
「なっっ……こっっっっっのエロガキ共ッッ!!」


 貧乳ゴリラと呼ばれて、俺の怒りのボルテージはMAX。
 昨日に続いて今日も覗きをして、更に全く反省していない少年に対する怒り。それらが合わさって俺は全身の魔力を放出した。


「うわっ逃げろ! 貧乳ゴリラが襲ってくる!」
「やべぇっお前が貧乳ゴリラって言うからだろ!」
「美人じゃねぇか!!」


 エロガキ共を捕まえる為に、俺は足に魔力を集中させて逃げるガキ共を追いかける。
 身体の50%を雷に変えて、風魔法で音を消す。そのままガキ共に狙いつけて、地面を蹴るだけ。


「うわぁっ!!」
「捕まえたぞクソガキィ……」


 約100m以上はあった距離を、一瞬で詰める。
 素早い動きで屋根の上まで逃げた少年を目で確認し、1人少年を片手に屋根まで一飛び。


「やべぇ1人死んだ!!」
「バラバラに逃げろ!!」
「逃がさんっっ!」


 全身の100%を電気に。後ろの空気を光の速さで蹴ることによって、空気抵抗の力は壁のように固くなる。
 そのまま目にも止まらない速さでエロガキ達の元に到着し、まとめて捕まえる。


「ひぃっ!!」
「化け物……」
「お、おいそんなこと言うからっ」
「ごめんなさいぃっ!!」


 全員で合計4人。その内の1人は昨日の少年。


「おいお前……朝から謝りに来た態度はなんだ?」
「ま、まさか街で出くわすとは思ってなくて……」


──バチィンッッ!!
「ひぃっ!!」


 俺は右手の人差し指に全ての魔力を集めた。


「この3人は仲間か?」
「そ、そいつがリーダーです!」
「はっ!? お前が覗こうって言ったんだろ!」
「やめろぉ……死にたくないぃぃ……」


 そうか。昨日の少年が主犯格で、昨日に続き今日も覗きを……俺は少年の目を見る。


「ご、ごめんなさい」
「謝れば何でも済むはずないよなぁ?」
「ごめんなさい」
「2度と覗けないようにその目玉潰してやろうか?」
「嫌です……ごめんなさい……」
「リーダー……情けないっす……」
「いつものリーダーならこんなに弱らないよ……」


 他の3人は今までに見たことないリーダーの様子にビックリしていた。


「あ、君達3人は1回目の覗きと私に対する暴言だけだから許すよ」
「ほっ……」
「良かった……」
「ありがとうお姉さん」


 だがしかし。


「お前は2回の覗き、殺人未遂、俺に対する暴言。反省の色が見えない」
「……」


 少年はまるでこの世の終わりのような目をしている。この世を終わらせたのはお前の行動のせいだと俺は言いたい。


「罰として、昨日部屋で一人で何をしていたか言え」
「え……皆の前で……ですか?」
「言え」
「何したのリーダー」
「言ってよ」
「私の体を見た後、何してた」


 精神的に追い詰めてやろう。


「オッ、オナ**してました……」
「リーダーまじ!?」
「そんなことしてたの!?」
「ぅうぅうるさい!」


 まだこの程度じゃ終わらせない。


「この場でやってみろよ」
「えっ」
「流石にそれは」
「えげつない……」
「しゅごい……」
「俺が目の前にいるんだ。俺見ながらやってみろよ。謝罪しながらな」


 これもう、こっちが犯罪レベルになってる気がする。
 しかし、俺の怒りのボルテージはまだ下がらない。


「うぅ……うぅ〜……」
「リーダー……」


 少年は素直にズボンを脱いで、子供のチ**を露出させた。
 そしてそれを掴んだ。


「ほら、俺を見ながらしてみろよ。謝罪しながらな」
「うっ……ごめんなさい……」


ーーーーー
省略
ーーーーー


──「お姉さんありがとうございます!」
「いつもこいつにこき使われてたんです!」
「お姉さんの舎弟にしてください!」


 少年の仲間だった子供達が、俺の方に寝返ってきた。


「まあ待て。こいつはもう人の上には立てない」
「どういう事ですか?」


 子供の1人が聞いてきた。


「こいつはもう、屈辱を受けるのが大好きになった。人の下で今のように罵られ続けるのが快感になったんだ」


 今度はこの子供たちがこの少年を使う番だ。


「おいエロガキ」
「は、はひっ……」
「反省したか」
「はんせぇしました……」


 また、詰まらぬ人の性欲を捻じ曲げてしまった……。


「じゃあ君達、2度とこういう事はしないようにな。じゃあな」
「「……」」


 俺は3人に手を振って、エリフォラの元に帰った。


「あっ、クロアちゃん遅かったですね」
「つい感情的になって理性が吹っ飛んでさ、めちゃくちゃな事しちまった……」


 今になって、今さっきした事はかなりマズい事だと理解するが遅い。


「もしかして……殺したんですか!?」
「ちっ、違う! ちょっと異常性癖に調教しただけだよ」
「っ……調教……?」
「あ、あぁ……後悔してる……」


 エリフォラに説教されてしまう。


「あ、あの……」
「ん?」
「私も……クロアちゃんの忠純な犬に調教してもらえないですか……? この本のように……」


 あぁ……エリフォラは既に異常性癖だから何も問題なかった。
 俺は一安心すると共に、さっきの少年の精神が無事か心配してしまった。

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