女嫌いの俺が女に転生した件。
136話 エリフォラの常識
「では、まず最初に私がクロアに興味を持った理由から話しましょう」
「必要な分だけでいい」
俺はテーブルの上にある紅茶を1口飲み、長い話に付き合う覚悟を決めた。
「最近、急に隣の大陸の戦力が上がったので、カーカー君に調べてもらったところ貴女が原因だと言われまして」
「原因って……まあ、それで……?」
エリフォラは神に祈るように手を組んで、俺に話し始めた。
「貴女の強さ、全ての理由を知りたいのです」
「強さと全ての理由……」
まあ、ほとんどはイザナミの計画の駒にされたっていう理由と今は亡き魔王に命の契約とやらをされたくらい。
ほぼ運が良かった……いや、運が悪かったとしか言いようがない。
俺はエリフォラにイザナミの計画と魔王ルトについて話した。
長くなる話なのに、エリフォラは熱心に聞いてくれて、少しだけエリフォラに対する好感度というのも上がったな。
「それは大変な人生を歩んできたのですね……」
「エリフォラさんはどういう経緯で魔王に?」
「特に理由はありませんが……私が戦っている姿は魔王そのものだと言われて、気づいたら魔王に……」
それはそれで凄いな。ちょっとエリフォラの戦いに興味が湧いてきた。
「ですが私、争いなどは嫌いなんです」
「まあ平和が一番だよな」
クラウディアの言っていた通り、この人はとても優しい方だ。そんな人が真央なんて事も有り得るんだな。
「ですので、クロア達のように魔王と人間が分かり合えるような関係になりたいのです」
「ん〜……実はこっちも魔王軍と人間の関係は悪い。魔王と仲の良い人間は多分私の家族と友人くらいだ」
そういうと、エリフォラがぱぁっと明るい笑顔を見せた。
「では! 私もクロアの友達になれば仲良く出来ますか!?」
「う、うん。私の身近にいる人となら仲良くなれる」
「そうですか! では……そこから少しずつ、人間との仲を深めていきたいですね……」
エリフォラは魔王軍と人類の共存世界を望んでいるらしい。きっと隣のグルコ大陸は平和な世界なんだろうな。
「では……次の話に行きますね」
「ああ」
「もし良ければ、私の国に来てみませんか?」
「嬉しいお誘いだ。実は話している間に行きたいって気持ちが出てきてた」
それを聞いたエリフォラは、笑った。
「しかし、招待するのはクロアだけになります」
「なんでだ?」
「クロアがいいのです」
「……う、うん?」
「私はクロアに国を案内したいのです」
そ、そうか。
「だって、クロアは私の初めての友達ですから」
「……え? クラウディアとかと友達じゃないのか?」
「そんな事は1度も言われてません……」
いや、わざわざ口で言わなくても、クラウディアはエリフォラの事を友達と思ってるだろうし……。
まあいいや、面倒臭い。
「私のエリフォラは友達……でいいんだな?」
「はい! 魔王だからといって気を使われると悲しいので、友達として気軽に接してください!」
「じゃ、じゃあエリフォラも敬語辞めよう……?」
相手が敬語で話してると気軽に接せない。
「えっと……? クロア、これで大丈夫か?」
「いや……それは私の口調だから、それにエリフォラに似合わない」
「あまり口調を変えるのは得意ではないのです」
ん〜まあ仕方ないか。
「まあ少しずつでいいよ。エリフォラちゃん」
「ちゃん……?」
「友達の名前を呼ぶ時に使うんだ」
「クロア……ちゃん?」
「そう」
エリフォラはちょっと不幸で魔王になったみたいなもんだからな。こうして友達が出来るのは嬉しいのだろう。
「クロアちゃん! 私とクロアちゃんは友達です!」
「ああ、エリフォラちゃんと友達」
「ふふふふっ友達っていいですね」
「気とか使わずに、気軽に何でも話していいからな」
友達同士での嘘やらは嫌いだからな。基本的に言いたいことはいって、まるで恋人のような友達関係というのが理想だ。
俺は前世じゃ狭く深い友情関係しか持ってなかったから、それに慣れたのだろう。
「ではお願いしてもいいですか?」
「なんだ?」
「セック〇というのをしてもらえないでしょうか!」
急にどうしたエリフォラ。
「せ、セック〇が何なのか知ってる……?」
「はい。とても親密な関係の者同士が行う儀式ですよね? 男と女が一般的と言われていますが、女同士や男同士もあるそうで、もし良かったらセック〇したいです」
そ、そんな真面目な顔でセック〇について語られると俺も困惑するのだが……。
「クロアちゃんは私と親密な関係ではないのですか……?」
「あ、ああいや……セック〇っていうのはね──」
俺はセック〇という行為の本当に意味を教えた。いや、本当の意味というのは実際違うのだけど、この場合ジャパニーズイングリッシュの性行為についてだ。
それを話すと。
「愛し合ってる者同士が子作りを行う為の行為ですか」
「まあ子作りをしない場合もあるんだけどね」
「では、私とクロアちゃんは子作りをしない場合に当てはまるので、セック〇は可能ですよね」
……エリフォラにとって友達というのは愛し合ってると同じ意味なのだろう。愛し合ってないとは言えない。
「その……」
「どうしてセック〇を嫌がるのですか? 子作りをしない場合ですし、お互いにデメリットは無いはずです」
う、うん言ってる事は正しいんだと思う。
「その……セック〇をする場合の愛し合ってる。と、友達の場合の愛し合ってるは違うんだ」
「セック〇をする場合の愛……難しいんですね」
エリフォラは少しだけ常識が無いようだ。
「クラウディアに聞くといいよ」
「分かりました。ではキスだけでも」
まだ諦めてなかった……!?
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