女嫌いの俺が女に転生した件。
134話 隣の大陸の魔王
しばらくサタナに天使について聞いてみたが、特に今の生活に支障は出ないそうだ。天使特有の能力と力はサタナですら知らないらしく、イザナミに聞くしかない。
とりあえずルイスが天使になった事ばかり考えていても無駄だと判断し、俺はまたいつも通りの生活に戻ることにした。
その日は風呂上がりにすぐに寝て、次の日の朝から普段通りの生活をしていた。
朝、昼、晩と食べて。ルイスには魔法等を教えて、既に十分な程の魔力コントロールが出来るようになっている。
しかし、ある日の夕方にそれは起きた。
ーーーーー
「クロア、クラウディアが来たぞ」
「おっ、すぐ行く」
家にクラウディアが訪問してきた。
俺はルイスに読み聞かせていた本を机の上に伏せさせ、すぐに玄関に向かう。
「よぉクロア〜!」
「久しぶりだな。何かあったのか?」
クラウディアから会いに来るのは珍しいな。
「実はな。近々、隣の大陸にいる魔王がお前に会いに来るらしいんだ」
「あれ……? 魔王って2人?」
俺の知っている限りでは、魔王は世界に1人としか本で見ていない。
「実は大陸毎に魔王は存在してるんだ。今居るので……大体4人か。その内の1人がクロアに会いたいって言ってる」
魔王が俺にわざわざねぇ……まあ友好的ならいいけど。
「会いに来る理由は?」
「単純にクロアが神だという事。更に2人の神と契約し、神に命の契約までしてもらって悪魔を倒せる力を持つから。それだけだ」
つまり俺が強いって噂が隣の大陸まで行き渡り、興味を持った魔王が会いに来るって事か。
「別に問題は無い。いつ来るんだ?」
「呼んだらいつでも来れるらしいが、まだいいだろう。3日後にまたここに来る。その時に魔王を連れてこよう」
「分かった」
この事は後でサタナにも伝えないとな。
「話はそれだけだ」
「あっ、ゆっくりしていってもいいぞ?」
クラウディアが要件を伝えてすぐに帰ろうとするもんだから、咄嗟に引き止めた。
「いや、帰ってポチの散歩をな」
「そ、そうか。じゃあまた3日後」
「またな」
クラウディアは転移で城へと戻っていった。
リビングに戻って、クラウディアとの話を全てサタナに話したが特に驚く様子はない。
サタナも魔王が4人いる事は知っていたようだ。
「ねぇクロア。どうやらルイス君は鎧と武器を生み出す能力を持ってるらしいよ」
「……ん?」
突然何を言い……。
ルイスの方を見ると、白と黄色の鎧を着て、銀色の剣を持って椅子に座っていた。
鎧の後ろには小さな羽がついている。
「ママ、これ天使? の能力だよ」
「そうなんだ……」
ルイスが凄い能力を見せる度に、親としての威厳やら何やらが砕ける音がする……。
「あのね、いろんなの試したんだけど、武器ならなんでも出せるみたい」
そういって机の上に銀色の刺剣や鉈、ナイフに刀などがどんどん集まっていく。
「ちょっちょちょ! 凄いけど片付けれないよ!?」
「えっと〜……こうすると全部無くなる」
突然武器が光の粒に変わって、ルイスの身体の中へと入っていった。
「ルイス君は凄いね〜!!」
「ありがとうサタナお姉ちゃん」
「あはは〜♡ 撫で撫でしてあげる」
この場合、親は褒めた方が良いのだろう。しかし自分の子供がどんどんチートのイージーモードに突入していく事実を前に、俺の脳は処理落ちが始まっていた。
「クロア〜? 僕が頭叩いて治してあげようか〜?」
「ああ……頼むサタナ」
「ほっ」
サタナに頭部をチョップされた事で、脳がグラグラと揺れた。
「ん、あぁ……よし。大丈夫」
ルイスが 「ママの真似」 とか言って、ボーッと突っ立ってるような事をしないよう祈るばかりだ。
「ルイス、さっきの能力は危ないから使っちゃダメだからな」
「どうして?」
「武器が自分に当たったら痛いんだ。痛いのは嫌だろ?」
「うん分かった」
今の能力を使うのは4歳になってからでいいだろう。小さい時に大きな怪我をしてしまったら大変だからな。
 
「クロアは心配性だね〜」
「自分の子供だから当たり前だ」
「そろそろミリス達買い物から帰ってくる頃だし、夕食の準備してくるよ」
じゃあ俺は、ルイスに本の読み聞かせを再開させるか。
ーーーーー
ーーーーー
両親とリグが買い物から帰ってきて、俺はクラウディアの話をした。
ミリスとバルジも優しい魔王なら問題ないらしい。リグはクロアの夫という自分の立場を自慢するつもりでいるようだ。
「自慢にならないぞ?」
「なるんだよ。きっと魔王も悔しがってライバルになりそうだ」
リグは何を望んでるんだ……。
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