女嫌いの俺が女に転生した件。
31話 何年経っても変わらない気持ち
「あああぁああああクロアちゃああぁぁぁあああん!!」
「クロアちゃん…………」
「クロアッ……!」
「……」
ティライ、ソフィア、ミリス、バルジが号泣しながら俺に抱きついてきた。
「ははは……」
10年も待たせてしまった。という申し訳なさから、俺は何も言うことが出来ない。皆、10年前とはかなり顔が変わっている。
ソフィアも、5歳の時とは違ってかなり成長している。
「お母さん、お父さん、ただいま」
「……おかえりっ……クロア……!」
「待たせすぎだぞっ…………」
俺は何度も会っているのだが、存在を認識されない為気づかれることが無かった。しかし、この4人にとっては会うこともできなかった。寂しかったのだろう。
「騒がしいわ…………ね…………」
「学園長さん、お久しぶりです」
騒ぎを嗅ぎ付けたのか、学園長が部屋にやってきた。
5年前と何も変わっていない。
「本当に……クロアさんなの?」
「はい。10年も待たせてしまって申し訳ないです」
「そう……良かった……本当に。リグリフさんに知らせないとね」
リグは今、冒険者やってるんだっけ。俺のこと覚えてるかな。
「もう……階段から落ちただけで10年も眠るなんて……寂しかったよクロアちゃん」
「ソフィごめん。後遺症を残さずに生き返るのに時間がかかったんだ」
「……バカ」
今は何も問題なく、少し身体が重いと感じるだけで後遺症は無い。やはり肉体を持つと全然違うな。
ーーーーー
その後、部屋でパーティが開かれた。
皆で俺の帰りを喜び、色んな事を話して、とにかく俺を楽しませようとしてくれた。
皆は、 "気づいたら10年経っていた" そう俺が思っている、と認識しているようで、俺が混乱しないように話してくれた。
長いパーティが朝まで続いて、皆が俺と一緒に寝ようとしていた時だ。
「クロア……目を覚ましたのか」
「……」
23歳になったリグが、この部屋にやってきた。
俺は10年前の事を謝らなければならない……今、ここで気持ちをしっかり伝えるんだ。
「「ごめん!!」」
「な……なんでクロアが謝るんだ? こうなったのは……全て俺のせいだ。俺が悪かった、罪を償わさせてくれ」
「リグこそなんで謝るんだ。10年前私がリグを避けていた事、階段から落ちてしまったこと。あれは……私の気持ちが問題なんだ」
まさか謝罪のタイミングが二人同時、というのには驚いた。10年前なら、ティライが 「二人とも付き合ったら?」 なんて言ってきそうだが……今はもう違う。
ただ静かに、俺を見ていた。
「……エミルは?」
「エミル……アイツは死んだ」
「死んだ……?」
あの図書委員のエミルさんが、死んだ?
「自殺だ。クロアに酷いことをしてしまった。とかいって……自ら命を絶った」
「嘘……」
「本当の事だ」
エミルさんは……何も悪くないのに……全て俺の心が弱いのが原因で、どうしてエミルさんが……死ぬ必要ないじゃないか。
「ほっ、ほら! どうしてクロアちゃんが目覚めたのに、そんなに暗い雰囲気なのさ!! 10年もの眠りから覚めたんだよ? 明るくしようよ!」
「先生……もう眠気が限界です……」
「あっ、ソフィアちゃんおやすみ」
……やはり、10年という年月は大きすぎた。その間にしなければならなかった事、それが手遅れになっている。
でも……仕方ない事なのだろう……これが最善策、としか言いようがない。
「リグ……私が10年前、どうしてリグを避けてたか分かる?」
これだけを、今は伝えるしかない。
「俺が……クロアに何か悪い事をしてしまったんだろ。俺はそれに気づかずに……ずっと謝ってこなかった」
「違う。リグは悪くないんだ。私は……」
言うしかない。
「リグの事が好きなのかもしれない」
「っ……!」
途端に顔が熱くなり、逃げ出したくなりそうな程の羞恥心が俺を襲った。
でも、これで逃げ出してしまえば10年前と何も変わらない。耐えるんだ。
「……俺もだ。俺はずっと……この10年間お前に色んな感情を抱いた。そして気づいたんだ……俺もお前が好きだ。
昔のことが……前世のことがなんであろうと、俺は今のお前が好きだ」
「っ……ありがとうっ……!」
「きゃ〜〜〜っ!! 10年の眠りから目を覚まして、ついに結ばれる関係!!」
「ティライさん、空気を読みましょう」
「す、すみません学園長」
10年でこんなに変わってしまった。今俺の立っているこの場所は、あの日から10年も経った場所。
世界を見る高さも、髪の長さも、皆の大きさも、全てを俺は10年前から見てきた。俺は何一つ見逃していない。それでも、俺がしなければならない事は10年も遅れをとった。
「クロア……これから、俺達の時間を一緒に取り戻そう」
「……うん。ティライ、ソフィ、学園長さん。そしてお母さんお父さん。改めて……待たせてすみません」
「いいのよ、クロア。これからの時間を大切に過ごせば……10年なんてすぐに取り戻せる」
「俺達皆、協力していく。クロアの為に、力を合わせる」
ミリスとバルジ、少しシワが増えたな。
「皆……これからも私の時間を、共に過ごしてくれますか」
「当たり前よ」
「当然だ」
「クロアちゃんと皆の為だもん」
「クロアちゃんに一生付いていくよ」
皆の意志だけは10年の時が経っても変わらないようだ。
「クロア。俺達皆から改めて言葉を送る」
「っ……」
「「おかえり」」
「……ただいま」
「クロアちゃん…………」
「クロアッ……!」
「……」
ティライ、ソフィア、ミリス、バルジが号泣しながら俺に抱きついてきた。
「ははは……」
10年も待たせてしまった。という申し訳なさから、俺は何も言うことが出来ない。皆、10年前とはかなり顔が変わっている。
ソフィアも、5歳の時とは違ってかなり成長している。
「お母さん、お父さん、ただいま」
「……おかえりっ……クロア……!」
「待たせすぎだぞっ…………」
俺は何度も会っているのだが、存在を認識されない為気づかれることが無かった。しかし、この4人にとっては会うこともできなかった。寂しかったのだろう。
「騒がしいわ…………ね…………」
「学園長さん、お久しぶりです」
騒ぎを嗅ぎ付けたのか、学園長が部屋にやってきた。
5年前と何も変わっていない。
「本当に……クロアさんなの?」
「はい。10年も待たせてしまって申し訳ないです」
「そう……良かった……本当に。リグリフさんに知らせないとね」
リグは今、冒険者やってるんだっけ。俺のこと覚えてるかな。
「もう……階段から落ちただけで10年も眠るなんて……寂しかったよクロアちゃん」
「ソフィごめん。後遺症を残さずに生き返るのに時間がかかったんだ」
「……バカ」
今は何も問題なく、少し身体が重いと感じるだけで後遺症は無い。やはり肉体を持つと全然違うな。
ーーーーー
その後、部屋でパーティが開かれた。
皆で俺の帰りを喜び、色んな事を話して、とにかく俺を楽しませようとしてくれた。
皆は、 "気づいたら10年経っていた" そう俺が思っている、と認識しているようで、俺が混乱しないように話してくれた。
長いパーティが朝まで続いて、皆が俺と一緒に寝ようとしていた時だ。
「クロア……目を覚ましたのか」
「……」
23歳になったリグが、この部屋にやってきた。
俺は10年前の事を謝らなければならない……今、ここで気持ちをしっかり伝えるんだ。
「「ごめん!!」」
「な……なんでクロアが謝るんだ? こうなったのは……全て俺のせいだ。俺が悪かった、罪を償わさせてくれ」
「リグこそなんで謝るんだ。10年前私がリグを避けていた事、階段から落ちてしまったこと。あれは……私の気持ちが問題なんだ」
まさか謝罪のタイミングが二人同時、というのには驚いた。10年前なら、ティライが 「二人とも付き合ったら?」 なんて言ってきそうだが……今はもう違う。
ただ静かに、俺を見ていた。
「……エミルは?」
「エミル……アイツは死んだ」
「死んだ……?」
あの図書委員のエミルさんが、死んだ?
「自殺だ。クロアに酷いことをしてしまった。とかいって……自ら命を絶った」
「嘘……」
「本当の事だ」
エミルさんは……何も悪くないのに……全て俺の心が弱いのが原因で、どうしてエミルさんが……死ぬ必要ないじゃないか。
「ほっ、ほら! どうしてクロアちゃんが目覚めたのに、そんなに暗い雰囲気なのさ!! 10年もの眠りから覚めたんだよ? 明るくしようよ!」
「先生……もう眠気が限界です……」
「あっ、ソフィアちゃんおやすみ」
……やはり、10年という年月は大きすぎた。その間にしなければならなかった事、それが手遅れになっている。
でも……仕方ない事なのだろう……これが最善策、としか言いようがない。
「リグ……私が10年前、どうしてリグを避けてたか分かる?」
これだけを、今は伝えるしかない。
「俺が……クロアに何か悪い事をしてしまったんだろ。俺はそれに気づかずに……ずっと謝ってこなかった」
「違う。リグは悪くないんだ。私は……」
言うしかない。
「リグの事が好きなのかもしれない」
「っ……!」
途端に顔が熱くなり、逃げ出したくなりそうな程の羞恥心が俺を襲った。
でも、これで逃げ出してしまえば10年前と何も変わらない。耐えるんだ。
「……俺もだ。俺はずっと……この10年間お前に色んな感情を抱いた。そして気づいたんだ……俺もお前が好きだ。
昔のことが……前世のことがなんであろうと、俺は今のお前が好きだ」
「っ……ありがとうっ……!」
「きゃ〜〜〜っ!! 10年の眠りから目を覚まして、ついに結ばれる関係!!」
「ティライさん、空気を読みましょう」
「す、すみません学園長」
10年でこんなに変わってしまった。今俺の立っているこの場所は、あの日から10年も経った場所。
世界を見る高さも、髪の長さも、皆の大きさも、全てを俺は10年前から見てきた。俺は何一つ見逃していない。それでも、俺がしなければならない事は10年も遅れをとった。
「クロア……これから、俺達の時間を一緒に取り戻そう」
「……うん。ティライ、ソフィ、学園長さん。そしてお母さんお父さん。改めて……待たせてすみません」
「いいのよ、クロア。これからの時間を大切に過ごせば……10年なんてすぐに取り戻せる」
「俺達皆、協力していく。クロアの為に、力を合わせる」
ミリスとバルジ、少しシワが増えたな。
「皆……これからも私の時間を、共に過ごしてくれますか」
「当たり前よ」
「当然だ」
「クロアちゃんと皆の為だもん」
「クロアちゃんに一生付いていくよ」
皆の意志だけは10年の時が経っても変わらないようだ。
「クロア。俺達皆から改めて言葉を送る」
「っ……」
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