女嫌いの俺が女に転生した件。

フーミン

21話 お化け怖いから一緒に、ね?



「で、いつ帰るんだ」
「今日はクロアちゃんの部屋に泊まろうかなって……」
「このベッドは私とクロアちゃんのっ!」
「あっちのベッドで寝るならいいでしょ?」
「うんっ!」
「ありがとう」


 お、おいおいちょっとまて、勝手に話を進めるんじゃない。


「なんで泊まる事になったんだよ……」
「あの……言いにくいんだけどね」
「うん」
「お化け……怖くて1人じゃ眠れなくて」


 お化け……? 確か俺もこの前そんなの見たな。いや、見てはいないけど……お化けらしきモノに会ったな。


「お化け、見たの?」
「えっ……信じてくれるの?」
「うん。私とソフィもお化けと会ったから。ね?」
「うんっ! その後クロアちゃんと沢山話した!」
「そ、そうなんだ」


 まさかティライもお化けに遭遇していたとはな……この学園は一体どうなってるんだ。


「だから……泊まってもいいかな?」
「ん〜いいよ」
「ありがとう!!」


 ティライが部屋に泊まったところで困る事は何も無いしな。それに、人は多い方が楽しい。


コンコン 「クロア〜いるか?」


 この声はリグリフか。


「どうぞ〜」
「クロアちゃん……入れちゃっていいの?」
「いいよ。ティライと変わらない」
「酷い!」


 リグリフの他に男子生徒2人入ってきた。


「あれ、ティライ先生もいるのか」
「その2人は?」
「俺達のグループの代表二人、的な奴だ」


 なるほどね。


「僕はレオです。よろしくお願いします、サブリーダー」
「僕はテオです。初めましてサブリーダー」


 ん……サブリーダー? どういう事だ?
 疑問の視線をリグに向けると、ちょっと言いずらそうに口を開いた。


「実はクロアが俺達のグループのサブリーダーになった。本当はリーダーにしたかったんだがな」
「えっ、いやいいよ。5歳がサブリーダーなんて」
「おぉ……5歳なのに歳上に敬意を……天才だ」
「流石リグリフさんが選んだだけある」


 勝手に俺に対する評価が上昇していってる気がする。


「今日私はクロアちゃんと部屋に止まるからね!」
「お、そうか」


 ティライはまだリグに対する警戒を解いていないみたいだ。まあ仕方ないか。


「出来ればリグも泊まってほしい」
「えっ……どうしてだ?」
「実は……三人ともお化けに怯えてて」


 それを聞いたリグは、ニヤッと笑った。


「なんだお前ら、お化け怖いのか?」
「せ、先生は大丈夫ですもん! クロアちゃんを守る為に泊まってるんです!」
「ティライは怖くて眠れないから来たんでしょ?」
「言わないの!」


 もしリグが泊まってくれたら、心強いんだがな。この中で唯一頼れる体を持った男だ。それに獣人族だから第六感も優れてるんじゃないか。


「リグ……お願い!」
「っ……まあクロアにそう頼まれたら仕方ないな。おい二人共、自己紹介終わったし帰っていいぞ」
「「失礼しました!!」」


 あの2人の出番はここで終わりか。


ーーーーー


 それぞれの寝場所を確認する。俺とソフィは同じベッドで眠ることになり、ティライは部屋の奥のベッド。リグは扉の前で寝るらしい。


「本当にいいのか?」
「ああ、硬い場所で寝た方が落ち着くんだ」
「……変だな」
「しばらく話すか?」
「……」


 ソフィとティライは一緒に遊んでるみたいだし、俺とリグで何か話しててもいいか。
 リグの横に座る。


「クロアは俺の身体、どう思う」
「凄く……カッコイイです」
「いやそういう事じゃないんだが……そうか、カッコいいのか」
「なんでそんな質問を?」


 黒い狼ってカッコイイじゃないか。


「いや……全身毛だらけっていのうが慣れなくてよ。草原で横になれば汚れが尽くし、それに醜いしな」
「そんな事ないぞ? 前世のお前より遥かにカッコいいよ」
「酷いなぁ……でもありがとう」
「声も低くてカッコイイしな」


 ネガティブ思考になったいるリグに、とりあえず良いところを褒めていく。


「クロアも可愛いほうだよな」
「そうか?」
「口調とかは前世通りだけど、成長したら良い感じになるんじゃないか?」
「へぇ〜……それ他の女に言ったら簡単に惚れそうだな。その見た目なら尚更」
「はははっ、俺は恋愛する気なんてないよ」


 リグも俺と同じ考えだったのか。


「あれれ〜? 二人共イチャついちゃって!」


 するとティライがからかうようにこちらへやってきた。


「「何?」」


 あ、ハモった。


「……二人とも付き合ってるの?」
「「は? んなわけ……」」


 またハモった……。


「邪魔してごめんね」
「「違うから!!」」


 ティライが変な勘違いをしてソフィの元に帰っていった。俺とリグは付き合ってなんかいない!


「お前先生と仲良いよな」
「まあ、1歳から一緒にいるしな。家庭教師」
「そんな小さい頃から勉強してたのか?」
「まあな」
「すげぇな」


 リグは若い頃何をしていたのだろうか。前世は80代まで生きてたんだし、人生の生き方も完璧に理解してそうだけどな。


「俺は……親も獣人だから最初はビビって何も出来なかったな」
「ああ…………そりゃ残念だったな」


 神にあった後に獣人か……大変そうだな。


──コツン……コツン……


 あっ……この音はお化けだ。


「クロアちゃん! 来たよ!」
「分かってる」
「これがお化けか?」
「ああ、姿を見ようとしたけど何も見えなかった」
「クロアちゃんっ!」
「ゔっ」


 一気に部屋が騒がしくなり、幽霊の足音(?)もそんなに怖く感じない。


「……なるほど。見てくる」
「気をつけて」


 ソフィに抱きつかれながら、ドアから距離を置く。
 まさかこんなに早い時間からお化けがくるとはな……。


「……」
「何か見えたか?」
「うっすらと何かがな。ただそれ以外は何も」
「そうか……」


 獣人族でも幽霊を見る事はできないか。そりゃそうだ。


「でも、光魔法使えば良いんじゃないか?」
「光魔法?」


 つってもただの電気だぞ?


「次足音が聞こえた時に魔法使ってみろ」
「わ、分かった」


 何か変わるのだろうか……幽霊に電気……分からないな。

「女嫌いの俺が女に転生した件。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ノーベル

    誤字発見

    草原で横になれば汚れが尽くし

    汚れが付くし だと思います。

    0
コメントを書く