幼女に転生した俺の保護者が女神な件。
114話 認めない
お、おおおおお、俺は一体何を!? 昨日の夜俺はアマデオと寝て……寝ただけだよな!? というかなんで寝たんだ!?
目を覚ましたシンシアは身体を丸めて布団の中で固まっていた。
アマデオは子供なんだぞ!? そして俺は男だぞ!? 俺はなぜアマデオに一緒に寝ようって誘ったんだ!?
「……うぅぅ〜ん」
「っ!?」
後ろからアマデオの声が聞こえてビクンと震える。
シンシアは今、緊張してベッドから出れなくなっていたのだ。
同じベッドの上、アマデオの体温で温かくなっている布団の中を変に意識してしまう。
「……シンシアちゃんまだ寝てるのか……」
まずい……アマデオが起きてしまった。
「…………バレないよな」
い、一体何をするつもりなんだ!?
──チュッ
その時、頬にアマデオの顔が近付き唇が触れた。
シンシアは自分の中の男としてのプライドや、今まで守ってきた何かが壊れたような感覚がして意識を失った。
◆◇◆◇◆
「ほ、本当に起きてないよな……」
アマデオはベッドから降りて、シンシアの寝顔を確認する。
「……やっぱ可愛いなぁ……女の子と寝るのなんて初めてだ……」
目を瞑っているシンシアをぼんやりと眺めて、アマデオはシンシアの寝た事に喜びを感じていた。
シンシアの寝息はスゥスゥととても心地良さそうにしていて、両手を胸元に持ってきて自分の胸を守るようにして眠る様子はまさに天使。
「俺……シンシアちゃんと両想い、って事で良いんだよな……じゃなきゃ一緒に寝ないもんな……」
初めての経験に、アマデオはドキドキしながらシンシアの銀色の髪に触れてみた。
シンシアは自分の物。そんな独占欲が働いて、触りたくなったのだ。
「女の子の髪ってこんなに綺麗なんだ……」
初めて触れる女の子の髪に驚きを隠せないアマデオは、シンシアの髪の毛を触って楽しんでいた。
しばらくして我に帰ったアマデオは、なんとなく恥ずかしくなってきてシンシアの部屋から出ることにした。
「ふぅ〜……」
「あっ! リーダー! シンシアちゃんの部屋で何してたんですか?」
「げっ!!」
部屋を出て一息ついた時、舎弟達がゾロゾロとやってきた。
「お、お前達こそ何してるんだよ」
「見回りですよ! 平和を守る為に毎日欠かさずやってるじゃないですか!」
「見回り……あっ、そうだった」
「リーダーが決めたんですよ?」
シンシアちゃんの事で頭一杯だったから見回りの事をすっかり忘れていた。
「ごめんごめん。行こう」
「あれ、俺何かリーダーに質問しようとしてた気が……」
「気のせいだ。行くぞ」
「ま、待ってくださいよリーダー!!」
シンシアちゃんの部屋から離れる事に不安を感じつつも、いつもの日課である施設内の見回りを初めたアマデオ。そして少年達。
少年達はアマデオがいつもの雰囲気と少し違う事に気付いたが、質問する事でもないかと思いしなかった。
◆◇◆◇◆
「はああぁ〜……うわぁ〜……」
その頃、目を覚ましたシンシアは鏡の前で真っ赤になった自分の顔を触っては機能のことを思い出して悶えていた。
指を絡めて一緒の布団の中にもぐり。確か……俺はアマデオの腕に抱きついていた気がする。
しかも朝からキスされたんだぞ!? 俺の中身は男だってのに……男なのに。なんで嫌じゃないんだ?
嫌というより嬉しさが勝っている。普通有り得ないはずだ。俺はホモにでもなったというのか?
おかしい……サラがいなくなったから気が狂ってしまったのかもしれない。とりあえず今日は父さんや姉ちゃんと何も考えずに過ごそう。
アマデオの事を意識したらまた恥ずかしく…………。
「うはあぁぁぁ……」
シンシアはまだ認めていない。その感情に。
◆◇◆◇◆
「アンタ今日どうしたの? 昨日はセシリータさんとずっと施設内走り回って苦しそうな顔してたのに、今日も変な顔してるわよ。……元々?」
「うるせぇっ! 気にすんな!」
食堂で朝ご飯をモリモリ食べていると、たまたまやってきたコリン。つまりは姉ちゃんに茶化されてしまった。
「……サラさんがいなくなったのは辛いと思うけど、あんまり悩んでても仕方ないよ」
「そ、そうだな」
案外気にしてない様子のシンシアに、コリンは目を丸くした。
「アンタ本当にどうしたの? いつもならグチグチ悩んでる癖に、おかしいわよ?」
「別に……ただ成長しただけだよ……」
「ふぅん」
その時、食堂に少年達がやってきた。
「あっ」
「あっ」
シンシアとアマデオは目を合わせると、昨日の夜の事を思い出してお互いに咄嗟に目を逸らした。
「……ふぅ〜ん?」
「リーダーどうしたんですか?」
コリン、そして少年達はそんな2人の様子を見て不思議そうな顔をした。
「アンタ、マジ?」
「知らん……何も知らん……」
シンシアは必死に逃げる方法を探そうと脳をフル回転させていたのだが、姉のコリンに睨まれて 「あっ、これ絶対色々と聞かれるパターンだ」 と確信した。
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