世界一の魔術鍛治師〜どんな剣も名剣へ〜

海月結城

side〜カナハルム〜 突撃

 カナハルムが聖女探しを始めた頃、聖女を攫った組織は、聖女に魔術をかけていた。

「ん〜。ハズレか」
「そうですか」
「そう落ち込むな。候補はまだまだあるからな」

 組織は器を探している。それを探す魔法もきちんと用意してある。しかし、そう簡単には見つからないようだ。

「聖女はどうしますか?」
「そうだな。放置でいいだろう。どうせ、だれか助けに来るんだからな。それまでに、ここは片付けておくぞ」
「はっ!」

 その頃カナハルムは、探知スキルを使って走り回っていた。

「人が隠れやすい、建物を探さなきゃ。ん? 全く動いていない人がいる!?」

 カナハルムは、さっきから全く動かない人がいることに気づいた。寝てても、寝返りを打つことで動くから、わかるが、さっきから死んだ人の様に動かない人が存在している。そこに聖女がいると思ったのだろう。

「ここか。でも、探知スキルに何も反応しないようだし、大丈夫かな?」

 カナハルムが中に入り五分。

「ここに、いるのか」

 そして、ドアを勢いよく開けた。そこには、明日に縛られた人だけがいた。

「!? ん! んーーーー!!」 
「ユリーカさん!? 今ほどきます!」

 ユリーカさんの後ろに回り、手を拘束していた縄を解いて、口を拘束していたものも外す。

「大丈夫ですか!?」
「う、うぅ……こわかったよ〜〜〜!」

 その後十分ほど泣き続けたユリーカさんが、やっと落ち着いた。

「う、うぅ。助けて、くれて、ありがと」

 涙目で上目遣いを使い、お礼を言ってくる。不覚にも、胸がドキッとしてしまった。

「当たり前ですよ」

 カナハルムがそう言うと、ユリーカさんは、顔をポッと赤くした。

「さ、帰りましょう」
「う、うん」

 こうして、カナハルムは、聖女を連れて教会に向かった。

「せ、聖女様が帰ってきたぞ!」

 教会の前にいた兵士が教会の中に向かって叫んだ。

「おかえりなさい!」
「大丈夫でしたか!?」

 みんな聖女様を心配する声をかけた。

「まさか、君が助けてくれるとはな。感謝するぞ」
「当たり前のことをしただけですよ」

 その後は、数日間は聖女様の体調が良くなるのを見て、何をされたかを聞いたりしていた。そこから数日後、カナハルムはまた、教会に呼ばれた。

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