世界一の魔術鍛治師〜どんな剣も名剣へ〜

海月結城

side〜カナハルム〜 聖女探し

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 聖女ユリーカが連れ去られ、ハンゴナンの街はいつも通りの騒がしさを保っていた。
 しかし、それも街の中だけ。教会、領主の屋敷は、街の騒がしさとは違った、ピリピリとした騒がしさを保っている。

「聖女が連れ去られたのは本当か?」
「はっ! 教会のものにも連絡し、この目で確かめて参りました」
「そうか。して、誰が攫ったかは分かったか?」
「いえ、それが、全然分からないのです」
「証拠が一切出て来てないのです。手馴れています。裏の組織の犯行ということしか、分かりません」

 今回の犯行は、とても綺麗だった。ヘマを一つもしていない。

「どうするか」
「では、騎士たちに出てもらいますか?」
「まずは、情報収集だ。お前たちに任せるぞ」
「はっ!」

 そうして、領主と男の会話が終わった。

 その頃、カナハルムは、街の異変に少し気づいていた。

「なんか、偶に見る騎士たちの空気がピリピリしてる?」

 まだ、未熟ながらにそこに気づけたのは、少しは成長しているようだ。

「あの、騎士さん。何かあったのですか?」

 カナハルムが、騎士に問いかける。

「……いえ。何もありませんよ」
「騎士の皆さん。ピリピリとした空気を纏っているので、気になりまして」

 カナハルムが、そう聞くと同時に、近くにいる冒険者の人の会話が聞こえた。

「なぁ、なんで聖女様いなかったんだろうな。この間帰って来たばっかりだよな」
「そうなのよね。この間は、どこかに行ってた、違う人から回復魔法を受けたけど、今日は聖女様から受けられると思ってたのにね」
「少し、残念だな」

 そこで、カナハルムは気づいた。

「もしかして、ユリーカさんに何かあったんですか?」

 騎士は、一瞬目を逸らした。

「動揺しましたね。もしかしなくても、ユリーカさんに何かあったんですね。何があったんですか!?」

 騎士は一瞬思案したが、何かを決めたような顔をしたが、教えてくれた。

「これは、教会と領主様しか知らないことです。聖女様が連れ去られました」
「っ!? 誰に?」

 事の重大性に気づいたカナハルムは、静かな声で聞いた。

「分かりません」
「証拠が無かったんですか?」
「はい。どうやって侵入したか、どうやって攫ったのか何も分かってません」
「そうですか。ありがとうございます」

 カナハルムは、少し考え、

「僕も、ユリーカさんの捜索をお手伝いします」
「いえ、しかし……」
「ユリーカさんとは、面識があるので、放っておけないです」
「そうですか。では、お願いします」

 そう言って、騎士と別れた。

「さてと。「探知」」

 カナハルムは、探知スキルを発動して、探索に繰り出した。

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