世界一の魔術鍛治師〜どんな剣も名剣へ〜

海月結城

side〜カナハルム〜 器

今日の名言
「人生は
むつかしく解釈するから
分からなくなる。」

武者小路実篤


 カナハルムが聖女から回復魔法をかけてもらい、ゴブリンを倒した報酬を得るために、またギルドに戻ってきた。

「スーリンさん、報酬をもらいにきましたよ」
「あ、カルくん。報酬の用意ができてるよ。はい、これが今回の報酬の銀貨3枚よ」
「ありがとうございます」
「そうだ、怪我はもう大丈夫?」

 スーリンさんが心配してくれているようだ。いい人だな〜。
 カナハルムは、怪我をした方の腕をブンブン振り回して見せた。

「もう、この通りピンピンしてますよ」
「ほっ、そうですか。よかったです。そう言えば、これからどうするんですか?」
「宿を探そうかなと思ってます」
「それなら、オススメの宿屋がありますよ。地図を渡しますので、そこに行ってみてください。きっと、気にいると思いますよ」

 スーリンさんのオススメの宿屋に向かう途中、夜ご飯を買い食いしながら、その宿屋に向かった。

「ここが、その宿屋か。木造で暖かそう。それに、綺麗だな」

 カナハルムの目の前には、木造建築で作られた三階建ての建物がある。
 カナハルムが中に入ろうとした時、中から一人の女の子が出てきた。

「? もしかしなくても、お客さん?」
「そうだね、ここの宿屋に泊まりたいんだ」
「ほんとですか! どうぞどうぞ、中に入ってください。お母さん! お客さんだよ」

 女の子は、この宿屋を経営している夫婦の娘のようだ。

「こんばんは、何泊ですか?」
「一週間ほどで、お願いします」
「一週間ね。銀貨一枚と銅貨四枚よ」
「はい、これで」

 カナハルムが、お金を払うと、部屋の鍵を貰った。

「部屋は、二階の一番奥よ」
「ありがとうございます」

 ゴブリン討伐で疲れた身体を今日はいっぱい寝て、癒した。
―――――
 みんなが寝静まった夜。教会では、慌ただしく、人々が右往左往していた。

「おい! 聖女さまがいないぞ!」
「なっ!? それは本当か!?」
「夜のみんなでの食事にも来ていなかった。心配して、ご飯を部屋に運びに行ったが、そこには誰も居なかったようだ」
「そこには、手がかりになるようなものはなかったのか」

 男がそう聞くと、もう一人は、顔を俯けて首を横に振った。

「ふ〜。そうか。今日はもう遅い。明日全員で探しに行くぞ」
「あぁ、勿論だ。必ず聖女様を助けに行くぞ」



 そして、またあるところでは、

「あぁ、器の捕獲に成功しました」
「よくやったな。それで、器はどこに?」
「すでに、儀式の間に連れてきています」
「そうか、悪いが、あの部屋に連れてきてくれないか? 器か、そうじゃないかを見極めておきたい。儀式に使う魔力がもったいないからな」
「わかりました」

 男たちは、器を探している。何か適合する器を探している。
 だが、それを探すのも簡単ではない。何億、何十億といる人や精霊、獣人の中から一体を器として探さなければならないからだ。

「さて、器であることを願うが、どうだろうか」

 男は、部下が捕獲してきた器らしき人を見に、その部屋を出た。


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コメント

  • Kまる

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    1
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