世界一の魔術鍛治師〜どんな剣も名剣へ〜

海月結城

side~ルーク~ 報酬

今日の名言
「人生という試合で最も重要なのは、
休憩時間の得点である。」

ナポレオン・ボナパルト

祝20話


 魔石がまだ空中を漂っている時、王都では団茶騒ぎだった。

「助かったぞー!!」
「今日はお祭りだーーー!!!」
「英雄に感謝を!!!!」

 そんな言葉が、あちこちからルークの耳に届いていた。

「パパは、やっぱり、凄いね」

 マリーが隣で褒めてくれた。

「おう、ありがとうな」
「でも、あの魔石、どう、するの?」
「それはな」

 ルークは、手のひらを魔石が浮いている方に向けて魔術を使った。

「時空魔術『アイテムボックス』ベクトル魔術『方向転換ベクトルチェンジ』」

 アイテムボックスは、時空に人それぞれの部屋を作り、そこに無機物のみ(植物は可)を収納できる。死んでいる生物も入れることができる。
 方向転換ベクトルチェンジは、魔石のベクトルの方向を変えて、進む道を変えている。今回は、魔石のベクトルをアイテムボックスに向けている。

「これで、全部の魔石を回収可能だ」
「古代魔法を、こんな、使い方。すごい」

 その光景を見ていた、王都の住人と冒険者は、なにが起こっているのか全然分からず、唖然としていた。

「よし、回収完了! マリー。ギルドに戻るぞ」
「ん」

 二人でギルドに向かっていると、英雄の帰還とでも言う感じで、歓迎された。

「あの人よ、王都を守ってくれた人。素敵」
「貫禄があるよ。結婚したいわ」

 そんな声が聞こえていたが、マリーはムッとしている。

「どうした? マリー」
「私の、パパが、奪われる」
「なに言ってんだ?」

 ルークには、何が何だか分かっていないようだ。
 そして、ギルドに戻る。

「来たぜ、英雄様だ」

 ルークとマリーがギルドに入ると、騒がしかったギルドの中は一瞬で静かになった。

「ルークさんこっち!」

 シャルベールさんがこっちを手招きで呼んでくる。ルークとマリーは、シャルベールさんに着いていき、ギルドマスターの部屋に着いた。

「マスター。シャルベールです」
「おう、入ってくれ。久しぶりだな、その子の冒険者登録依頼か?」
「そうですね。それで、なんで、ここに呼ばれたんだ?」
「それはな、今回の報酬と、ランクアップ。そして、ルークが使った魔法を研究したいと、魔術師たちが言っていてな」
「ランクアップって、いくつまで、あげるんですか?」
「ルークはSまであげることにした。その子は、そのままだな」
「流石、パパ」

 ランクがSに上がると、貴族と同じぐらい(男爵ぐらい)の権力を得ることができる。

「まぁ、それはいいな。けど、面倒なのは嫌だな」
「大丈夫だろう。あの魔術だったら、一国をいとも簡単に、崩壊できるんだからな。……するなよ?」
「しないですよ」
「そして、報酬だが、白金貨6枚と金貨70枚だ。そして、この街のなんでも無料券だ」
「何ですかそれ?」
「簡単に説明すると、その街のもの全てが無料だ。期限はあるがな」
「それは、何というか、すごいな」
「俺もびっくりだ。最後に、なにやったんだお前は。魔物をあんなキラキラに変えちまって、素材が取れなかっただろうが」

 ルークよ、粒子に変えちゃって、いけない子だな。


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