は・み・る・な日常

リーズン

~~白亜の日常=裏側澪サイド2~~

 朝食を終えて家を出るとそこには何時も通りの人物達が待っていた。


「みーちゃんおはようございます」


「おはようございます皆さん」


「ああ、おはよう二人共」


 私が挨拶を交わした二人の人物。片方は幼馴染みの一人彼方  瑠璃だ。


 彼女は彼方グループの令嬢で在り、古くから伝わり警察の人間も教えを乞いに行く水転流の現当主でも在る人物だ。


 まあ、今は学生としての生活を重点に置いてるから顔を出す程度だけどな。


 見た目は長く淡い栗色のフワッとした髪に、幼い顔立ちながらも、見るものを虜にするような顔立ち。危なっかしく放って置けない様な、雰囲気を纏った流石令嬢といえる美少女だ。


 危なっかしく見えるのはアイツ以外眼中に無いだけだし、見た目と違って意外に腹黒い思考してるけどな。


 そしてもう一人が、瑠璃の家のメイドで瑠璃の専属で在る纏井 テアだ。


 彼女に付いては謎が多い。聞いた話では怪我をしている所を瑠璃に拾われたのだとか。そしてその仕事ぶりは完璧の一言。メイドとしての業務から車の運転、事務仕事まで完璧にこなしているスーパーメイドだ。


 正直羨ましいレベルだな。


 見た目はこれまた美しいの一言だ。銀髪を頭の後ろで纏め、顔は作り物の様に綺麗なのだ。そして表情の変化に乏しい為より一層そう見える。冷たく厳しい印象だが実際は割りと感情豊かな人間で、実は可愛いもの好きだったりもする。プロポーションは抜群の完璧さ。なのだが、たまの発言が残念だったり。見た目によらずイタズラ好きな一面が在る。


 あの馬鹿とメイドに付いて三日三晩不眠不休で語って居た時は素で引いたな。


 そんな二人は、実は毎朝車で迎えに来てくれる。


 理由としては瑠璃の安全の為と、車を出すのなら手間は変わらないと言う事、そして何より、私と瑠璃のもう一人の幼馴染みの家へと向かう為だ。


「今日はちゃんと起きてますかね?」


 車に乗り込むと瑠璃が何時もの様に話し掛けて来る。


「どうだろうな?早く寝ろとは落ちる時に言ったが・・・」


「・・・五時までは一緒に狩りしてましたが?」


「あの馬鹿・・」


「あはは・・」


 私と瑠璃、テアと件の馬鹿は同じオンラインVRゲームをやっている。中々に面白いゲームでは在るが、アイツの場合は生活を削ってでものめり込むからたちが悪い。


「と、言うか。早く寝かせてくれ」


「無理ですね。私が言って辞める人では無いですよ」


 確かにその通りだ。しかし、これで毎回寝不足になっているのだから少しは学習して欲しい物何だがな。


 そんな当たり障りの無い会話をしていると漸く目的地に到着する。


「では、行ってらっしゃいませお二人共。夜に又お迎えに上がります」


「はい、お願いします」


 去って行く車を見送った後、私と瑠璃は早速幼馴染みの部屋へと向かいチャイムを鳴らす。


 ピンポーン!


「出ませんね?」


 ピンポーン!ピンポーン!


「やっぱり寝てるんでしょうか?」


 いや、多分狸寝入りだろうな。


 ピンポーン!ピンポーン!ピピピピピンポーン!


 回を増す毎に激しくなるチャイムを聞きながら、若干ストーカーチックな闇を、幼馴染み兼親友に感じながら待つが一向に出てくる気配が無い。


「仕方無い。強行手段だ」


 ガチャガチャ!バンッ!


「いい加減起きんか馬鹿者!」


「ハーちゃーん朝ですよ~」


 家に押し入り声を掛けるもやはり返事は無い。


「ク~」


 ほう、ここまでしても寝た振りをするか?


「あれ?みーちゃん、ハーちゃん本当に寝てますよ?」


 ・・・確実に狸寝入りだろ。


「ちっ!」


 分かりやすい狸寝入りに苛ついた私は、舌打ちしながら台所へと行く。


 確か、まだ残っていたな?おっ!発見。


 私は冷蔵庫から取り出した納豆を気持ち辛子多めで練りながら部屋へと戻る。


 しかし、こないだ片したのにまたゴミが増えたな?独り暮らしに向かん奴め。


「起きてくれないとチュ~しますよ?」


 ・・・何を朝から欲望垂れ流して居るんだこいつは?


「瑠璃、そこ退どけ」


「みーちゃん?」


 瑠璃を退かせると、私は今まで練っていた納豆を寝た振りしている奴の口を無理矢理開き突っ込む。


「これでも食って目を覚ませ!」ガボッ!


「うげっ!がふっ!んっぐっ!はっ!何しやがる!」


「ふん。漸く起きたか」


「ハーちゃんおはようございます」


「おはよう瑠璃。じゃなくて!寝てる人間の口の中にいきなり納豆詰め込むとか!何なんだお前!人としてどうかと思うぞ!そんな人の道から外れた行為!」


「五月蠅い。人生のレールから外れかけている奴に言われる筋合いは無い!」


 私の言葉にわざとらしくショックを受けた振りをして、布団を頭から被り泣き真似を始める。


「しくしくしくしく」


「もう、みーちゃん」


「私は悪くないぞ」


「ホラホラ、ハーちゃん大丈夫ですよ~。出て来て下さい」


「ううう~~」


「余り甘やかすなよ瑠璃」


「良いんです。ハーちゃんはタップリ甘えてくれて良いんですよ~。ちゃんと面倒みます!」


 おい、先から欲望がだだ漏れだぞ?


 そう言って瑠璃は布団から顔を出した人物。私のもう一人の幼馴染み兼親友の士道 白亜を、高校生にしては豊満な胸に抱き締める。


 全く毎朝毎朝困った奴め。


 そんな風に思いながら私は白亜を見詰める。


 士道 白亜。私の幼馴染み兼親友そして、何より私の大切な人間だ。


 頭脳明晰、容姿端麗、夜を写し取った様な日の光に煌めく黒髪、漆黒の瞳、透き通る様な白い肌に触れれば容易く折れそうな華奢な身体、顔の作りなど先のテアと同じかそれ以上に、人形の様な精緻な作りをしているのにも関わらず、自分ではモブだ何だと自己評価が低く卑下している。それが士道 白亜だ。


 まあ、口を開けば残念さが際立ち、行動は突飛、その上何を仕出かすかわからないけどな。それでも一緒にいたいと思うのは惚れた弱味と言う奴か?


 ・・・私個人としてはあの人よりもこいつの方が余程完璧な人間何だがな。


 ・・・それは、誰よりもこいつが認めないだろう。


 私はそう思いながら、瑠璃を押し倒し抱き枕にしてまた寝直そうとする白亜にもう一度雷を落とすのだった。


「だから起きろ!この馬鹿者が!!」



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