は・み・る・な日常

リーズン

~~白亜の日常3~~

 下駄箱から教室近くまで、無理矢理澪と瑠璃に連れられやって来た私は、深呼吸をしながら精神を落ち着ける。


 大丈夫、大丈夫、私みたいなモブに皆興味ない!挨拶!あの誰か入って来たらそれが誰かも確認せずに、条件反射でかます挨拶だけ処理して、さっさと机に行けば良いだけだ。


「お前、毎朝の事なんだから慣れろよ」


 うるさいよ!集中が乱れるでしょ!


「はぁ~、テンパってるハーちゃんも可愛いです」


「で?今日こそはまともに挨拶返せるのか?もう五月だっつうに」


「・・・・大丈夫?」


「「不安しかない」」


「ダイジョブだもん!アレでしょバルスって言えば良いんでしょ!」


「お前クラスメイトに朝の挨拶でバルスとか、喧嘩うってんのか?」


 アレ?何か違ったっけ?


「本気で混乱してますね」


「情けない」


 好きでこんなんな訳じゃないやい!


 だが、遂に教室まで辿り着いてしまう私。最後にドアの前で深呼吸をして・・・・・良し!


 ガララララっ!


 私がドアを開けようとして手を出すと、丁度良いタイミングでドアが開く。


 わぁ~、自動ドアだ~。ラックチンだね♪


 一瞬で現実逃避する私。だが現実は情け容赦無く私に襲い掛かって来る。


「あっ、士道さん、安形さん、彼方さんおはよう」


「あぁ、おはよう」


「おはようございますカナミさん」


「あぅ・・お、おはようございます・・・」


 何とか挨拶を返し早足で机に向い突っ伏す私。   


 いきなりは反則だよ・・・・。


 私は自分のタイミングを外され、いきなり野生のクラスメイトにエンカウントしてしまった事に、多大な心的ダメージを負いながら何とか再起動を掛ける。しかし、思いの外ダメージは大きく未だに心臓がバクバクと音を立て自己主張している。


「大丈夫ですかハーちゃん?」


「ん、平気・・・」


「机に突っ伏しながら言っても説得力が無いぞ」


「うるさいボケ~・・・・」


「はぁ」


 澪の溜め息が聞こえるがこればかりはどうしようもない。そのまま再起動を図っていると、ガララララッ!と音をたてながら野生の教師が入ってくる。そしてホームルームが始り教師が挨拶ラリホーを唱える。私は勿論眠気が襲って来るのに逆らう積りない。


 昨日は激しい戦いネトゲのイベントを繰り広げたからこればっかりはしょうがない。


 私の席はドアから一番遠い窓側、それも最後尾の絶好の居眠りポジションだ。ここまで環境が整っていれば、それはもう私に寝ろと言う事に決まっている。そう、きっと女神とかが言っているに違いない!私はそんな風に自分を正当化して教師の挨拶ラリホーを受け入れる。そして私は眠りに落ちる。


▼▼▼▼▼▼▼▼▼
「起きろ」


 その声と共に目覚める私は目の前の人物、澪の事を見る。


「もう帰る時間?」


「ハーちゃん、まだホームルーム終わったばかりですよ」


 瑠璃の言葉に絶望する私。


「いや、むしろ何でそこまで絶望できるんだ?と言うか、来て早々寝るなよ・・・」


「だって眠かったし・・・・」


「はぁ、夜更かしも大概にしておけよ。もうすぐ授業が始まる、起きておけよ?」


「何で?」


「起・き・て・お・け・よ」


「ラジャ」


 私は澪の圧力に負け返事をする。その時、ふと視線を感じその位置に視線を向け見てみると何人かと目が合う。しかし、向こうは私と目が合うと同時に目を逸らす。


 うぅ、人好き合いは苦手でもあからさまに目を逸らされるのは少し堪えるよ~。


 そう、私は常に澪や瑠璃と一緒に居るため、割りとずっとこうやって見られては、ヒソヒソと話しのネタにされているようだった。正直人気者二人と居る事で、物凄く悪口を言われていると思う。なので私は絶対に内容は聴かないようにしている。


 別に不特定多数になに言われようと気にしないけど!気にしないけどな!!気になんないんだからね!!!


 そんな事を考えて居ると、今度は野生の国語教師が教室に乱入して来る。そして、すぐに授業が開始されてしまう。


 とは言え私はモブ。慌てず騒がず、空気の様にしていれば何事も無く終わる筈。


 ・・・・・そんな事を思っていた時期が私にも在りました。チクショウ!


 何と教師の爺いは何人かに教科書を読ませていたが、事もあろうに次に私を指名しやがった。


 何だよ!良いからその脈絡の無い「じゃあ、適当に何日だから何番で」って止めろよ!適当にやるんじゃねぇよ教師!


 それでも指名されてしまってはどうしようもない。私は諦めて朗読を始める。


 あぁ、こんなことなら休めば良かった(泣)


「えと~~~~~・・・・・・。」


「はい、そこまでで」


 地獄の様な時間が終わり、私は安堵と共に席に着く。しかし、やはりと言うべきなのか何時もの様に、何人かの人間がヒソヒソと私を見ながら話している。


 あ、アレ?駄目だった!?結構頑張って読んだつもりなんですけど?!うぅ、やっぱ声小さかったのか?


 私は皆の視線や声を避ける様に耳を塞ぎ、目を閉じて外界全てをシャットアウトして眠る事にする。


「・・・ど・・・しど・・・士道・・・・・士道白亜!」


「ふぁい!」


 私が再び起きたのは三時間目、数学の時間だった。そこで見た物は何故か青筋を立て、口元をピクピクとしている教師だった。まだ眠い私は何故呼ばれたのか分からずに首を傾げる。


「く~!士道白亜!前に出てこの問題を解いてみろ」


 何故か喧嘩腰の教師。この数学教師は有名大学を出ているらしく、何時も生徒に嫌味を言うので人気が無い。


 良いのかそれで数学教師よーーーと、思わなくも無いが大人しく黒板に向かう。しかし、注目と共に微妙に非難がましい目を向けられている様な気がするのは何故なのだ?解せん?


 不思議に思いながらも黒板に書いてある問題を解く。すると何故か数学教師は口をポカンと開け、後ろからは「おお~」と、感嘆したような声が聞こえる。


 その声に急に恥ずかしくなった私は、足早に席に戻るが、その最中も何故か注目を浴びる。


 私だってあれ位なら解けるのに、何か「おお~」とか言われた。何?解けないと思われてたの?


 そんな事を思い、微妙にショックを受けつつ席に着き再び眠るのだった。グスン。





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