ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

レッツチャレンジ

「あっ!?」

 え〜、これ私キッカケ? 違うよね。違うと言って欲しいなぁ……駄目か。

 洞窟に侵入した私は、自分が感じた違和感と気になる部分を探し求めて、色々とうろちょろしていた。

 壁をペシペシ、床をペシペシ、気になる部分を通ったり、その空間を触ってみたり、引っ掻いてみたり。

 そうして何度となく繰り返した結果、とある一点の空間に、何故か強く私を惹き付けるポイントがある事に気が付いた。

 それに気が付けば後は簡単。

 そこを中心にウロウロと歩き回り、その空間辺りを探りながら動けば良いのだ。

 とはいえ、そんな怪しい所が気になるのは危なそうなので、細心の注意を払いながら続ける。

 そしてようやく探り当てたのは空間を切ったかのように、斜め一直線に気になるポイントだった。

 幅数ミリ、長さはおよそ1メートル程のポイント。

 触れる度に違和感が大きくなるそれは、正確になぞる部分が広いほど、それがより大きくなる。

 と、言う事は頭からしっぽまで正確にそれをトレースすれば何かが起きそう。

 その考えが正しいとでも言うように、私の背中をそわりとしたものが伝う。

 よーし。やってみんべ。

 そんな理由でレッツチャレンジ。

 と、ここまでは良かったんだけど……正確になぞった結果、空間にこんな風に亀裂が入るとは思わなんだ。

 しかも私と来たら黙って隠蔽すれば良いものを、ちょっとビックリして声を出してしまった。

 私ったらドジっ子である。

 後ろ向くの怖いなぁ。でもきっと気が付いてるよなぁ。

 勇気を出してゆっくりと後ろを向くと、案の定全員が今度は何やりやがったという目でこちらを見ている。

 だから無駄だと知りつつも弁明してみる。だって諦めたらそこで試合終了だって言ってたから。

「私のせいじゃないんだよ?」

「「「それは無理!」」」

「ですよね」

 駄目でした。

「とりあえず調べるからハクちゃんは少し退いとこうか?」

「えっ、私が見付けたのに」

「退いとこうか?」

「……はい」

 酷い。横暴だ!

 私を遠ざけたテアとソウの二人は亀裂の検分を始め何やら話し込んでいる。

 ぼーっと、その光景を眺めているとテアが何故か私を手招きしている。

 なんだろ。もういいのかな?

 手招きに応じてトテトテと走って近寄る私。しかしその瞬間ものすごく嫌な予感がした。

 何がヤバいのかわからんがヤバい!

 そう思った私はその場で急停止&急反転して逃げの姿勢。

 しかしいつの間にやら移動していたテア達に肩を掴まれ、そのまま亀裂に向かい投げ飛ばされた。

「ギャース!」

「「「えぇ〜!?」」」

 投げ飛ばされ亀裂に当たった瞬間、亀裂からバリンと何かが砕ける音がして、空間に大穴が空きその中に入ってしまった。

「と、危ねぇな」

 体を回転してなんとか着地。

 十点満点である。

「まあ、空間も壊してるので芸術点加算ですかね」

「そりゃどうも! どういう了見でい!?」

 空間の中と外に隔てられながら食って掛るが、テア達は何処吹く風。

 ぐぬぬ。

「白亜さんが見付けた亀裂は、その別空間が出来た事で生まれたものです。それが白亜さんの中の神の力に反応したのでしょう」

「それでなんで投げられましたの!?」

「私達では亀裂を広げられそうになかったので、亀裂に反応した白亜さんならそれが出来るだろうと結論が出ました」

「それ投げなくても良くね!? ただその場所殴るとかでも大丈夫だったよね!?」

「だってハクちゃん。そんな事しろって言ったら絶対警戒するでしょ」

「うっ……」

 確かにそんな怪しい指令は警戒する。

 でもそれで次案が投げ飛ばすのはどうかと思うの。

「まあ、ちゃんと上手くいったんだから結果オーライだよ」

 それ言うとしたら私の台詞のはずだが?

「んで、ここってなんなん? おばあちゃん達も知らないんでしょ」

「ええ、正直ここにこんなものがあるだなんて全く知らなかったから、今すごくビックリしているわ」

 トリスとシフィーもうんうんと頷いている。さもありなん。

「……そうですね。ここは擬似的な神の空間です」

「擬似的な神の空間?」

「ええ、恐らく龍神はここで修行して神へと至った。その際に発生した神の力でここは特殊な領域になった。ここまでは全員分かりますね?」

「ええ、そのおかげでここは私達龍族の修行場になっていますから」

「そうです。こうして生まれた神の力が残る領域、そして数多の才能溢れる龍族が修行した事で、ここは神の力と龍の力が混ざりあった空間が発生する程の場所となったのです」

「んー、つまり、強い力が相互作用した結果?」

「簡単に言うとそうだね」

「じゃあここってそんな空間がありましたー。ってだけの場所?」

 後ろを見ると真っ白な空間が広がっている。いや、何処までも続いているといったほうが良いだろうか。

 目の前の空間が割れた場所があるからいいが、こちら側から見ればそれは壁掛けテレビが宙に浮いてるように見えるくらいだ。

「そんな事ないよっと」

 割れた空間をまたいでソウが侵入してくる。そしてそれに続いてテアがスカートを捲ってまたいで来なかった。

 ソウに気を取られた一瞬の隙に、私の横へ移動していた。

 なん……だと。あの高さならスカート捲って入ってくるの思ったのに。

「メイドとしてそんなことは致しません」

 くっ、相変わらず無駄に高いメイド意識である。

「これ私達も入って大丈夫っすか?」

「いいんでない?」

「いえ、止めた方が良いです」

「なんで?」

 いじめ? いじめなの?

「違います。ここの神の力の濃度はそちらを軽く凌駕します。貴方達の中で入れるとしたらミコトと水龍王くらいです」

「えっ、私例によって例の如く全くなんの違和感もないんですが?」

「白亜さんはただ単におかしいだけなので参考になりません」

「なんだと!?」

 言い争いをしている内にミコトとおばあちゃんが入ってくる。

 だが、二人はテアが言うようにかなり苦しそうだ。

「二人ともそこから動かないほうがいいですよ。そこはまだ入口なので軽いですから」

 くっ、なんだその私にはなかった注釈は、私は投げ入れられたのに、これではまるで私がおかしいみたいじゃないか。

「だからそうなんだって。そろそろ認めなよ」

「呆れながら言うのはやめて!?」

「さて、漫才はこれくらいにして本題に入りましょう」

 私の尊厳の話を漫才と言われた……。

「つっても、さっきも言ったけどなんにもないのに本題も何もなくね?」

「そんなことはないですよ。今の白亜さんならちゃんと分かるはずです」

「んな事言われても……」

 テアの言葉に従い視線を走らせる───が、やはり何もない。




 ……いや、あれなんだ?




 さっきまで気にならなかったのに、改めて観察すると視界いっぱいに広がる白の中に僅かな歪みがある気がする。

 一度気が付くとそこにしか視線が行かない。

 じっと見る。

 何故か視線がそこから離せない。

 その間にも歪みは次第に広がって行くように見える。

 そしてそれが臨界を越えた瞬間、目の前に金色に輝く池が見えた。

「のわ!? あれなんぞ!?」

「あれがここに隠れていたものです」

「何……あれ?」

「えっ、ミコト達も見えるの?」

 私の言葉に頷くミコトとおばあちゃん。

 何故に?

「白亜さんのチャンネルが合ったから、あの池がこちらに現れたんですよ」

「私が見付けたら皆見えるシステムとか狡くない?」

「流石ハクちゃん感想そこなんだね」

「んで、あれって何?」

「あれは神水です」

 ほう、また新しいワードかぁ。

「あれを修行に使えば効率がかなり上がりますよ」

「なるほどお宝か」

 効率アップアイテムとか大好きです。

「とはいえ、白亜さんにはもっといい物があります」

「えっ、なになに?」

「あの池の中心深くにあるので取ってきて下さい」

「……あそこの?」

「あそこのです」

「深くに?」

「深くにだよ」

「大丈夫です。あの中では呼吸も出来ますので」

「断るぅニャーーーーー!?」

 またも二人に脇を抱えられた私は、本日二度目の強制フライトを味わった。

 扱い酷い!

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